第158話 フローラさんへの手紙
No158
フローラさんへの手紙
親愛なるフローラさんへ
フローラさん、手紙をありがとうございます。私は火水季も体調を崩さずに怪我もなく無事に生きてます。
冒険者ギルドでのランクアップ試験も無事に終わりBランクへとなりました。私自身はあまり望んでいたわけじゃないのですが.......
先日、海辺で遊ぶ海水浴イベントを開催しました。水を弾く服、水着を作りました。その水着を着て浜辺や海辺で遊ぶイベントです。
本当ならフローラさんにも着てもらいたかったのですが.....来年は一緒に海辺で水着を着て遊びましょう。
海水浴イベントでは冒険者ギルドやマーマン種の方達にも協力してもらったんですよ。さらに、火水季の用な魔法演舞も開催しました。
観客の方には結構な称賛をもらい、今後は冒険者ギルドが主催し来年以降はもっと大規模になると思いますよ。
もうじき火水季も終わり水風季になります。ルインマスの水風季が終わる前にハルジオンの街に帰りますので会えるのを楽しみにしてます。ルインマスの魚介類やお土産を買って帰りますから楽しみにしていて下さいね!
貴女に会えるのを楽しみにしてるセイジロウより。
△▽▽▽△△△▽
海水浴イベントも無事に終わりすでに、十日が過ぎた。その間に海水浴イベントについて関係各所と今後についての話をした。
冒険者ギルドは今後も海水浴イベントを開催するにあたり、海辺での魔物討伐をマーマン種の人達に依頼する方向で話が進んだ。
やはり、海水浴イベントで重要なのは安全に海に入れる環境作りだとギルドマスターのサーシャさんは言っていた。
それと同時に浜辺周辺の警備警戒を冒険者達に依頼するようだ。
これにより今まであまり深く関わっていなかったマーマン種達との関わりが増えていった。
水着に関しては服飾師のレイリーンさんが商業ギルドと一緒に水着販売に向けて動き始めた。
海水浴イベントが終わりすぐに街の住人も水着を求めにきたそうだ。すでに、量産体制の備えをしていたのが吉となり、順調に販売を始めているらしい。
さらに、マーマン種達や漁業関係者や船乗り達にも話が広まり忙しい日々を送っていて幸先は順調のようだ。
アンリエッタさんの鉄板焼き出張店も大いに宣伝出来て街中に展開してる鉄板焼き店も客足が伸びてるそうだ。
露店商達との住み分けも出来そうで、今後の海水浴場では露店商が展開するそうだとアンリエッタさんは言っていた。
アンリエッタさん的に今回は鉄板焼きの宣伝が出来れば満足だったので特に異論はないらしい。
それとエールサーバーの魔導具も順調なウレユキらしく火水祭から現在までかなりの数が売れているそうだ。それでもまだまだ不足していて錬金術ギルドは魔導具製作に忙しい。
そして、俺とマダラは海水浴イベントで世話になった各所へ挨拶をしたり冒険者ギルドの討伐を受けたりと普通の毎日を送っていた。
すでに、火水季は終わりを迎え始め水風季へと季節は移動を始めている。
△▽▽△△▽△▽
火水祭や海水浴イベントを終えて俺はのんびりとした日常を過ごしていた。いつものように"餌付け亭" で朝食を食べてマダラと一緒にメイン通りを歩いている。
「マダラ、今日は露店で買い溜めをしたら、キャンプでもしにいくか?」
『なんじゃ、いつものように街の外で狩りをするのではないのか?』
「街中でちょっと話を聞いたら、ルインマスの街から少し離れた場所に綺麗な湖があるらしいんだよ。そこでちょっとキャンプでもしてゆっくりしようと思ってさ。街中でのんびりと過ごすのも悪くないけど、自然の中でのんびりと過ごすのも悪くないと思ったんだよ」
『別にワレは構わんぞ。狩りも出来るし自由に体を動かせるなら』
「そっか、じゃあキャンプでもしようぜ! あとは、天装具の訓練をするからまた教えてくれよ。自分なりに考えてはいるけどやっぱりマダラに教わるのが一番だからな」
あとは、水風季の中頃になったらハルジオンに返って氷雪季はフローラさんと一緒に過ごそう。
そして、俺達はメイン通りでそれなりの量の食材やら料理を買い込んでルインマスから四日ほど離れた【ルインラクス】へと向かった。
四日ほどと離れた場所だがマダラに跨がって移動するとほぼ一日の距離で移動出来る。通常なら馬車で森林道や街道を通って移動するがマダラなら特に関係なく、森や草原、丘などを突っ切って移動できるし、走る速度が違う。
ルインラクスへの道すがらに出会う魔物や動物は行き掛けの駄賃で狩っていく。俺はマダラに跨がったままで特に戦闘する分けでもなく、マダラは魔法を巧みに放ちながら魔物を狩っていく様は道端の雑草を刈るように簡単に狩っていった。
その様子を見ながら改めてマダラの実力を認識した。普段はワガママだったりバカな事やったり言ったりする従魔だが、戦闘となると全く違う。漫画やアニメのように人とは違う隔絶した存在なんど内心で思った。
そんな風に一日ほど走ると目的地であるルインラクスへと辿り着いた。すでに、陽暮れの空模様となっていて、すぐに夜営の準備をしてから夕食の料理を始めた。
「マダラ、今日はバーベキューだから肉と野菜と貝類を出してくれ。それと鉄串だな」
『ふむ、これじゃな。スープとパンはないのか? 焼いた肉をパンに挟んで食べたいぞ』
「そうだな....じゃ、鍋とパンも出してくれ」
と、すっかり俺達は息の合ったタイミングで夕食を準備していった。と、言ってもマダラは影から食材と魔導具を出して下準備をするのは俺だけど.....
でも、前の世界じゃ考えられない事をしてるわけだ。でっかいライオンみたいな動物と会話をしながら一緒に夕食の準備をするなんで.....ハハ、なんか考えると可笑しくなってくるよな。
『セイジロウ、何をニヤついておるのだっ! そこの串焼き肉をひっくり返さんと焦げてしまうではないかっ! それに、貝類はそろそろ開き始めておるぞ。バターをいれるのじゃ!』
と、俺が内心でこの現実を可笑しく思ってニヤついてると、マダラが横から口を出してきた。
まったく.....最初に見た時はちょっとビビってた自分が今では食いしん坊でグルメな召喚獸とバーベキューとは.....世の中、何が起こるか分からないな。
「はいはい、分かってるって.....あとは野菜も焼くか。マダラは野菜も食べるんだからな。肉ばかり食ったら承知しないからな!」
『ワレは肉だけで十分じゃぞ.....野菜はあまり旨くないのでな....』
と、ちょっと小声でそっぽを向きながら思念が返ってきた。
お前はこどもかっ! 肉と野菜はセットだと昔から相場が決まってるんだよ。
「誤魔化し方が子供なんだよ! ちゃんと食わなきゃマダラには肉を焼かないからな。分かったか?」
『.......せめて、肉を多めにしてくれたら食べれるぞ....』
どんだけ野菜が嫌いなんだよ....まぁ、食べようとする意思があるならいいか。俺もマダラには甘いな....
「明日は天ぷらにしてやるから、今日は我慢しろよ。ほら、そろそろ出来上がるから受け皿を用意しとけよ」
マダラと俺の分の受け皿を用意してスープと焼いた貝類をそれぞれに盛り付け、それと串焼き肉から串を引き抜き受け皿に盛り付け終わったら夕食の出来上がりだ。
この夜は、互いにお腹一杯まで食べてから就寝した。明日から訓練の日々が始まる。
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