第156話 水着宣伝イベント・10

No156

水着宣伝イベント・10




 海水浴イベントの目玉である、マーマン種とマダラの水魔法遊戯も終わりイベント客も盛り興奮冷めぬ中、水魔法遊戯で分裂した小さい水蛇や水獅子達と戯れてる中、俺は休憩所で体を休めていた。 


 休憩所で休んでいると冒険者ギルドのシンディとギルドマスターのサーシャさんが水着姿で現れた。

「セイジロウさんっ! お疲れ様です。さっきの催し物は最高でしたよ! 見ていて楽しかったです!」

「セイジロウっ! なかなかのものね、わたしもついつい見とれてしまったわよっ!」

 と、催し物の称賛を二人からもらった。


 二人と水着姿が眼福で俺はその姿に見惚れてしまった。

 受付嬢のシンディさんは、ビキニスタイルに薄いカーディガンのような上着を纏っていた。

 ピンク色の上下のビキニで真っ赤な小さなリボンがアクセントで飾り付けられている。盛り上がった胸に細くくびれた腰、柔らかそうな臀部にスラッと伸びた美脚が男性心をかきたてる。


 ギルドマスターのサーシャさんは、薄い黄色のワンピーススタイルの水着を着ていた。腰回りにはアクセントの濃い紫色をした大きなリボンを飾り付けている。

 肩口に見える素肌とワンピースの裾から見える太股のチラリズム感が魅力的だ。


 そんな二人の水着姿を見つつも返答に答えた。

「ありがとうございます、シンディさんにサーシャさん。それと、二人の水着姿は良く似合ってますよ! 二人ともいつも以上に魅力的ですね」

 と、笑顔で答えた。


 すると、二人とも少し恥ずかしそうな感じで話した。

「そっ、そうですか....で、ても嬉しいっ! ありがとうございます、セイジロウさん!」


「なっ、と、当然よっ! わたしが選んだ水着だもんっ! で、でもお礼は言っておくわよっ! あっ、ありがとうっ!」


 二人の恥じらう水着姿は初々しくとても可愛い! これだけでも海水浴イベントをした甲斐があったと言うものだ。

 これが仮に自分の好きな人や恋人だったら.......夜も水着姿でお願いしまっス!!


「どういたしまして! きっと来年にはまた新しい水着が出るでしょう。それも楽しみにして下さいね。それで、私のとこにどんな用事で?」


 俺は、休憩所に置いてある果実水サーバーから冷たい果実水を二人に出しながら要件を聞いた。


 二人は、海水浴がこんなにも楽しいものだとは知らず驚きと喜びを伝えた。それと、魔法遊戯に目を奪われた事を称賛してくれた。


「それは良かったです。楽しんでくれた事が何より私は嬉しいですよ!」

「これなら、今後も海水浴をやっても大丈夫だと思ったわ!」

 サーシャさんは、残りの火水季間で海水浴を定期的に開催する計画を話した。


「火水祭だけでなく、海水浴もルインマスの名物になります。ランクの低い冒険者達にも定期的な依頼も出せます」

 と、受付嬢のシンディさんは冒険者ギルドにとってもルインマスの街にとっても良い催し物になると言ってくれた。


「そうなる事を私も思ってますよ。まだ、改善する事もありますし、街の人達や近隣の人達にも宣伝が必要です。今回の海水浴イベントは小規模ですが、冒険者ギルドや漁業関係者、マーマン種の方達と協力すれば来年は数倍規模までに膨れ上がりますよ」


 すでに関係各者達には海水浴の情報は知れている。街の住人も興味を持ち始めてるし後はこの流れを大きく拡げていき来年の火水季までに地盤を築き上げれば......


「そうね、今回限りでなんて勿体ないわ! 必ずこれからも、来年も続けて見せるわ! そうと決まればわたし達がたくさん楽しんで海水浴イベントを知らなければいけないわ! 行くわよ、シンディっ! もっと海で楽しむわよ!」

 と、サーシャさんとシンディさんは海へと向かって駆けていった。


「うん、たくさん楽しんでくださいね。私が出来るのはキッカケまでです。あとは、地元の人達が協力して発展して下さい。来年の海水浴を楽しみにしてますよ」

 俺は、海へと向かうサーシャさんとシンディさんの後ろ姿を見ながら呟くように言った。


△▽▽△△▽▽


 それから、小一時間ほど休憩所で浅い睡眠をとり夕方の催し物の話を皆にしようと休憩所を出ようとしたときに、一人の老人に声をかけられた。

「もし....ちょいとよいかな?」


 んっ? 街の住人の人か? なんだろう?


「はい、なんでしょうか?」

「この祭り事は何かの祝いなのかな? ワシは旅の者での。数日前にこの街に来たんじゃよ。そしたら何やら海辺で祭り事をやってると話に聞いてきたんじゃが」


 そうなんだ。やっぱり街中の噂は拡がってるみたいだな。しかし、旅人か.....見た感じは好好爺風の老人だな。白髪の短髪にアロハシャツ? なんか不思議な老人だな。


「いえ、祭りじゃなくて海辺で衣服を着て水浴びをする遊びですよ。今日が始めての開催でこれからルインマスの街の名物になる予定です」


「ほぅ、そんな遊び方があるんじゃな。なかなかに面白い事をしておるのぅ。左様か....では、あの肌着を着て遊ぶのかのぅ?」

「えぇ、そうですよ。よかったら着てみますか? あちらに肌着、水を弾く服を売ってますから案内しましょうか?」

 と、老人をレイリーンさんの水着販売所に案内した。


 俺は、レイリーンさんの販売所に老人と一緒に訪れた。

「レイリーンさん、お客さんを連れて来ましたよ......この老人が.....あれ?」

 と、レイリーンさんに紹介しようとして老人がいた方を振り向くがさっきまで一緒に歩いていた老人がいなかった。


「セイジロウさん? どうしましたか?」

 と、小首を傾げながらレイリーンさんが話しかけてきた。

「あれ? さっきまで老人がいたのに....」

 俺は、周りを見渡していると女性の悲鳴が聞こえた。


「キャァっ!」


 その悲鳴先を見ると、女性店員が胸や臀部を腕で隠しながら俺たちの方に走り寄ってきた。

「どっ、どうしましたっ?! 何かありましたかっ!」

「急にあのおじいさんが胸やお尻をさわってきたんですっ!」

 と、女性店員が指を指す先にはさっきのアロハシャツを着た老人がいた。


 俺は女性店員をレイリーンさんに任せてアロハシャツの老人に歩みよった。

「ご老人、女性店員に触ったのはあなたですか? もし、そうなら謝罪を要求します!」

 水着姿の女性には触ってはならないっ! 海水浴イベントでは見るのは自由だが、直接触れてはいけないんだっ!


「すっ、すまんのぅ。つい、不思議な服での好奇心が抑えられなかったんじゃよ。それに、そんな魅力的な姿をしておればこんな老いぼれでも手が出てしまうわい。すまんなかったなお嬢さん」

 その老人はすぐに頭を下げて謝罪をした。それを見た女性店員は謝罪を受け入れ今後そういう行為をしないければいいと言って穏便に事がすんだ。


「ご老人、今回は目を瞑りますが今後は許しませんからね!」

「ほっほっ、すまんかっのぅ。そうじゃ、お嬢さん、詫びにコレをやろう」

 と、老人が小袋を女性店員に渡した。


 女性店員は、老人から小袋を受け取り中身を確認すると、

「っ!! こ、これっ!!」

 女性店員は驚きの声を出し、俺とレイリーンさんは小袋の中身を覗き見た。すると、小袋の中身はキラキラと光る宝石類が入っていた。


「ほっほっ、旅先で見つけた物じゃよ。ワシが持っていても使わんからのぅ。お嬢さんが好きに使うといいわい。では、ワシにも水着とやらを見繕ってくれるかのぅ」

 まるでお菓子を与えるような軽い感じで話をして水着コーナーへと向かって歩いていった。


 レイリーンさんは慌てて老人の後をおって、俺と女性店員は顔を見合わせた。

「あの老人は何者なんですかっ! コレどうしましょう?」

「どうしましょうって......もらっておきなよ。不安ならレイリーンさんと後で相談すれば良いと思うし。私は老人のところに行ってきます」


 俺は、得体の知れない老人の後を追いかけた。

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