第147話 水着イベント・1

No147

水着宣伝イベント・1



 昨日はスレイブさんに水着の宣伝イベントの交渉した。スレイブさんと話した感触としては行けそうな雰囲気があった。


 今日はアンリエッタさんの所に行って宣伝イベントの交渉をしようと思う。

 まずは朝食を食べてからだ!


 いつも通りに身支度を整えて宿の食堂に向かう。

「おはようございます、ロゼッタさん!」

「おはようさんだねっ! 今日はいつもより元気だね! 何かあるのかい?」


「えぇ、これから友人のとこで大事な話があるんですよ。その為にちょっと気合いが入っちゃいました」

「そうかい! その話が上手くいくと良いね! 朝食を用意するからテーブルで待ってなっ!」


 俺は空きテーブルで朝食を待っている間に今日の予定を考える。

 まずは、アンリエッタさんのところで鉄板焼きの出張営業の確認と水着の完成報告を知らせて、そのあとは冒険者ギルドに行ってシンディさんにも水着の完成を知らせる。あと、浜辺で海水浴のイベント開催の話し合いかな?


 と、考えてるとロゼッタさんが朝食をテーブルに用意してくれた。

「お待ちどうだよ。しっかり食べて今日も頑張っておいで!」

「はい、ありがとうございます」

 さっそく朝食を食べる。朝からボリュームたっぷりだけど、不思議と食べれちゃうんだよな。前の世界では朝食を食べたり食べなかったりだったけど、こっちの世界に来てからはしっかり食べるようになったな。


 ボリュームたっぷりの朝食を食べ終わり、準備をしたら宿を出てマダラと一緒にアンリエッタ邸へ向かう。


 マダラと思念で話ながら歩いていく。

「マダラ、今日からちょっと忙しくなりそうだけど平気か?」

『また何やら考えてるおるんじゃろ? ワレは退屈だがセイジロウがやらなければならない事をやればよかろう。暇が出来たら街の外で狩りをすればよい』


「悪いな、火水季中に何とかこのイベントはやって起きたいんだよ。時期が過ぎてしまうと来年に持ち越しちゃうから」

『ふむ、余程に大事な事なんじゃろ。思う存分とやるがよい。ただし、食事は怠るでないぞ! ホレ、あの露店で貝を買うんじゃ! 旨そうな匂いを出しておるではないか!』


 はいはい、りょーかいです。今回は突然の思いつきだから、マダラにはちょっと大人しくしてもらうからな。旨い料理ぐらいなら目をつぶるさ。


 俺は、マダラと一緒にメイン通りで旨そうな串焼き肉やパン、魚介類をそれなりに買ってマダラの影に保管していく。


 それからしばらく歩きアンリエッタ邸へと着いた。アンリエッタ邸のドアノッカーを鳴らして執事のシバスさんを待った。少しして扉が開きシバスさんが現れた。

「おはようございます、シバスさん」

「おはなしございます、セイジロウ様。今日はどういったご用件でしょう?」


「今日はアンリエッタさんに水着の完成報告とそれに関する催しの話をしに来ました。アンリエッタさんはいますか?」

「そうでございますか。はい、アンリエッタ様はいらっしゃいます。ご案内しますのでこちらへどうぞ」

 と、執事のシバスさんに客間へと案内された。


 客間へ入って少しすると、メイドのメイリーンさんが紅茶と焼き菓子を用意してくれた。

「メイリーンさん、実は以前から新しい衣服の制作がありまして、つい先日に完成したんですよ」

「それは、おめでとうございます。そのお話は以前、アンリエッタ様から聞いた覚えがあります。水を弾く服だと」

「はい、そうです。水着といいます。昨日、その完成した水着を実際に見たのですがとても良く出来てましたよ。きっとメイリーンさんにも似合うはずです」


 メイリーンさんは見た目も若いし、スタイルも悪くない。顔が可愛い系だからきっとワンピース型の水着が似合うはずだ。


「そうでしょうか? わたしなんかが着ても似合うですか?」

「はい、きっと似合います。ぜひ、一度着てみて下さい。そして、一緒に海水浴をしましょう!」


「海水浴ですか.....」

 と、ここまでメイリーンさんと話してると、部屋の扉がノックされ返事をすると執事のシバスさんとアンリエッタさんが一緒に入ってきた。


「セイジロウさん、おはようございます」

「アンリエッタさん、おはようございます。朝から来てしまい申し訳ありません」


「いえ、セイジロウさんならいつでも歓迎しますよ」

 と、アンリエッタさんが対面に座り、メイドのメイリーンさんが手早くアンリエッタさんの紅茶を用意した。


「ありがとうございます。今日は一つ話がありましてきました。もし、良ければシバスさんとメイリーンさんにも聞いてもらいたいのですが」

 と、シバスさんとメイリーンさんを誘った。他にも聞いてくれる人がいれば意見もそれなりに出るし、水着の宣伝もしたい。


「そうですね.....シバス、何か予定あるかしら?」

「いえ、急ぎ予定はありません。わたしも、メイリーンも話を聞く事はできます」

「なら、同席してセイジロウさんの話を聞きましょう。きっと今回も楽しい話でしょうしね?」

 と、アンリエッタさんが俺に向かって笑顔を向けてきた。


「もちろんですよ! きっと楽しいですよ!」

 みんなの水着姿を堪能するんだ! 楽しくないはずが無いではないか!


「ふふ、では話を聞きましょう」

 と、部屋の中にはアンリエッタさんと、シバスさん、メイリーンさん、俺が席につく。マダラは、アンリエッタさんの横で寝転がって大人しく撫でられてる。


「では最初に、以前マレアナレアの糸を使った衣服を作る計画がありました。それがついに完成しました」


「あの手触りが滑らかな糸ですね。ちゃんと覚えてますよ。そうですか、完成したのですね」

「はい、水着と言います。私が実際に見た水着は二種類の型が出来上がってましたよ。どちらも女性用ですが、男性用もすでに出来てるはずです」


「なるほど、それは見てみたいですね。あの糸を使った衣服。水着には興味があります。普段用の衣類を注文してるのですが、まだ出来上がってきていませんから」


 確か、シバスさんがアンリエッタさん用に衣服を注文してたな。


「そうでしたね。アンリエッタさんは衣服を注文してましたね。話を聞いた時には量産の準備は出来てるようでしたから、そろそろ出来上がるはずですよ。今までは、マレアナレアの糸に関する研究やら試作やらで遅れてしまったのでしょう」


「それは嬉しい知らせですね。では、これからは水着の販売とマレアナレアの糸を使った衣服が市場に流れ始めるのですね?」


「そうだと思います。ですが、ここで問題なのが水着を知ってる人が少ない事なんです。通常の衣服なら問題無いのですが、水着に関しては火水季が着用時期になります。なので、あと一月以内に水着を着たイベント。海水浴をしたいと思ってるのです。今日はその話をしに来ました」


 ようやく本題だ! 海水浴! 海水浴! 水着! ビキニ! ワンピース!


「海水浴ですか....以前もセイジロウさんは話してましたね。衣服を来て水浴びをする事でしたね」

「はい、浜辺で海水浴をするんです。と、同時に鉄板焼きの出張営業をして見ませんか?」


「鉄板焼きの出張ですか?」

「はい、アンリエッタさんはルインマスの街中に鉄板焼き店を開いてますよね? 海水浴と一緒に宣伝してしまいましょう。鉄板焼き店を開店してもすぐにお客で埋まるわけではありません。街の人達に知ってもらってこそ繁盛する訳です」


「確かにそうですね。各ギルドで宣伝するとしても費用も掛かりますし、どのような店なのかも実際には入って見ないと分かりませんからね」


「そうです。なので、海水浴と鉄板焼き店の宣伝を浜辺で開催したいと思ってます。鉄板焼き店の宣伝はギルドも乗ってくるでしょう。それなりの費用を使ってる訳ですから頓挫させるわけにもいきませんし」


「確かにそうですね。ルインマスの街の名物にするとサッちゃんが言ってました」

 ちなみに、サッちゃんとは冒険者ギルドのギルドマスターのサーシャさんの事だ。アンリエッタさんとサーシャさんは同じエルフィン種で旧知の仲だ。


「ですが、セイジロウ様。浜辺での海水浴の際の警備と警戒はどうするのですか? 浜に近いとはいえ、海の魔物はいますが...」

 シバスさんが懸念事項の一つを言ってくれた。


「はい、そちらもすでに手を打ってます。マーマン種の方の力を借りようと、友人のスレイブさんに話を昨日しました。話した感触では仲間の方を集めてくださると言っていました。報酬は私が用意します」


「なんと、すでにマーマン種の方との話が進んでいるのですね。それは、失礼しました。さすがはセイジロウ様です」


 俺だってやる時はやっちゃうよ! 水着の為だもん!


「そんな事はありませんよ。私たちでは水中を自由に動けません。マーマン種なら警戒警備には最適ですから。それで、アンリエッタさん鉄板焼き店の出張は可能ですか?」


「それはもちろん可能ですよ。前回、浜辺で鉄板焼きをやったような形で良いのでしょう?」

「はい、あの形で五ヶ所ほど用意してもらい、さらにエールサーバーの準備と休憩所の準備が必要ですね。海水浴は言わば遊びの延長線ですか、動くばお腹が空きますし喉も渇きます。食事と飲み物は必須ですね。それと、休む為の場所も必要です」


「まぁ、ずいぶんと大掛かりですね。それほどまでになりますか?」

「はい、それほどですね。もし、今回のイベントが成功すれば火水祭とは別にルインマスの名物になります。なんせ、晴れの日は毎日開催できますからね」


 そう、毎日だ。水着を着た美人、美少女たちが毎日海水浴を楽しめるのだから!


「もし、それが本当ならわたし達では手に余りますね」

「なので、今回は小規模って言っても私の知ってる人達には声をかけますし、数十人は集まりますね。いづれは数百、数千、数万人の方達が訪れる規模になると考えてます」


「.....数万人.....ですか」

 メイリーンさんが驚きの顔で呟いた。シバスさんにアンリエッタさんも驚いた顔をしてる。


「そうです。なので、今回のイベントは成功させたいのです。わたしに力を貸してもらえませんか?」

 と、頭を下げてお願いする。


「セイジロウさん、頭を上げて下さい。わたしは協力しますよ。一緒にその海水浴を楽しみましょう!」

 アンリエッタさんが声を上げて言ってくれた。


「わたしも、微力ながらお手伝いさせてもらいます」

 シバスさんからも声が上がる。


「わたしも、お手伝いします。よろしくお願いします」

 メイリーンさんも声を上げてくれた。


「ありがとうございます、皆さん。よろしくお願いします!」


 と、改めて頭を下げてお願いした。その後は、昼食時まで海水浴イベントの話をしていった。

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