第25話 娼館へ

No25

娼館へ





 翌朝に目を覚ますと、ベッドの上だった。陽の光も窓に射し込み部屋を照らしていた。


「.....ん...気絶したか....魔石は...」

 昨夜の魔力補充は、出来ていたが完全ではなかった。まだ、白魔石の色に少しだけ濁りが見える。


「これくらいなら....」

 と、魔石に魔力を補充すると濁っていた色がなくなり真っ白な魔石なった。


「....にしても、二日もかかるのか....魔法の特訓日を減らすか....」


 朝の体拭きを済ませ、計画を修正しようと考える。


『プリンの販売とフレンチトーストの販売は、生活の為に必要』


『ギルドの依頼である、食事処の手伝い、魔石の魔力補充は必要』


『魔法の特訓は必要』


 項目を上げると少ないが、密度は高い。今のところ、削れる時間があるとすれば魔法の特訓だが......とりあえず、やってみてから考える。


 それから、身仕度を整えてギルドに向かっ。


 受付で魔力を補充した魔石を渡して依頼報酬を受けとり、食事処の依頼を受ける。すぐに、プリン販売の仕込みとフレンチトーストの仕込みを済まして、販売を開始する。


 予定通りにフレンチトーストが完売になり、プリン販売はギルド職員に任せて魔石を買った雑貨屋に向かう。


「こんにちはーっ」

「はーい、いらっしゃいませって、この間の....また魔石ですかー?」


 先日見た店員? 店主? の女性がまたいた。

「はい、先日はどうも。自己紹介がまだでしたね。セイジロウです。それと、冒険者ギルドの食事処で甘味を販売してますからよろしくお願いしますね。」

 と、宣伝も忘れない。


「そーでしたね、わたしは、サリーナです。雑貨屋サリーの店主をしてます。よろしくお願いしますね。」

「はい、よろしくお願いします。今日も魔石を買いに来ました。銀貨1枚の魔石を売ってもらえますか?」


「いいですよー。......コレですね。....はい、確かに。ありがとうございます」

「ちなみに、属性魔石も売ってますか?」

「えぇ、ありますよ。少し割高ですけどね」

「分かりました、また、買いにきますね」

「はい、お待ちしてます。それと、甘味を販売をしてると言ってましたけど...」


「はい、甘くて美味しい甘味です。まだ、ギルドの食事処でしか売りに出してませんから、時間がある時にでも寄ってください。サービスしますから」

と、少しの雑談をしたあと商業ギルドに向かった。


△△▽▽▽▽▽▽▽△△△△▽▽△▽△△


「----というわけでして、人材の依頼をしたいのですが.....」


 実は、フレンチトーストの販売を任せられる人がいないかを商業ギルドに相談しに来た。


 フレンチトーストも仕込みさえしてしまえば、あとは焼いて盛り付けするだけで販売できるが、焼きと盛り付けを丁寧に出来なければいけない。


 最初は冒険者ギルドの職員に頼もうとしたが、さすがにアンナさんから許可は降りなかった。


(さすがにそれはムリよ、セイジロウさん。プリンについては、ギルドの秩序と問題解決で許可したけど、言ってしまえばそれだけよ。たかがとは言い過ぎだけど、所詮は甘味だし、プリン販売も特例に近い形で許可が降りたのよ。二度はないわ、ごめんなさいね)


と、断られてしまっていた。


商業ギルドで依頼を出そうと受付で話を聞くが、

「....冒険者ギルドにですか....依頼は出来ますけど高いですよ、報酬は銀貨三枚は必要になるます」

「えっ、そんなにですか?」


「はい。接客に必要な知識と技術を持ってる人材です。引く手数多ですよ。飲食の販売ならどこの店でも欲しいです。今回は働く時間が少ないですから、銀貨三枚で済んでますが、夕方から閉店までならその倍から1.5倍の報酬になります」


 思った異常に報酬額が高かった。これじゃ、赤字経営になる。


「そうですか....すいませんが、再検討させて下さい」

「わかりました、またのお越しをお待ちしてます」

 と、商売ギルドをあとにして街中を歩く。


 ちょっと考えが足りなかった。専門的な技術者はどの世界でも重宝する事を忘れていたな....


 はぁ....ラム爺のとこにでも冷やかしに行くかな....こっから近いし....


▽▽▽▽▽△△△△


「ラム爺さん、いますかー?」

 と、扉を開いて呼んだ。


「なんじゃー、誰じゃ?.....と、セイジロウか、どうしたんじゃ?」

「ちょっと用事で近くまで来たので、引っ越しのお礼を言いにきました。ありがとうございます」

「なんじゃ、そんな事か...仕事なんじゃ、当たり前じゃろが」

「まぁ、そう言わずに....近くの酒屋で買ったワインです。あとで、飲んでください」


「なんじゃ、やけに気が利くの? なにかあるのか?」

「実はですね--」

 俺は、今までの敬意をラム爺に話した。


「そりゃ、セイジロウが求め過ぎじゃな。普通なら知人や友人を雇うからな...」

「そうですよね....」

「まぁ、娼婦を雇うのは悪くないな...だが、危険もなくはない.....一度試しに行ってみるか?」


 と、娼館に行くことになった。


▽△▽△▽△▽△


 夜になり、いつものギルドの食事処が終わってからラム爺と待ち合わせをして花街通りの娼館へとやって来た。

「あらぁ! ラムちゃんじゃないのっ! 久しぶりね、今夜は楽しんでね!」

「ラムさん、珍しいわねぇ。久しぶりだがらサービスするわよっ!」


「ラムさんっ! 今夜はわたしが相手するから言ってね! 前より気持ちよくしてあげる!!」


 と、ラム爺の行きつけ? のお店にやって来た。

「ラム爺は、ずいぶんと常連のようですね?」

「まぁそれなりじゃ、すでに妻は他界してるし、娘も結婚してすでに余生を楽しんで何が悪いっ!」

「別に悪くはないですよ。綺麗で可愛い人は好きですよ」


 と、席に案内されて数人の女性がやって来た。

「こんばんわ、ラム爺! 今夜は私達が相手をするわ! それと初めましてね、おさん」

「えぇ、初めましてですね。私は、セイジロウと言います」


 と、簡単な自己紹介をすませて酒を飲み始める。他の女性との挨拶も済ませ、普段の話や仕事、ラム爺の小言や家具の話で時間も酒も進んだ。


「ラム爺さん、そろそろいきましょう!!せっかく新しい子も連れてきたのっ!」

「いいじゃろうっ! ワシが調教してやろうっ! セイジロウ、ワシはこやつらを相手してくるから適当に楽しめっ!」

 と、小袋をテーブルの上に置いて女の子を二人連れて二階へ向かった。


「あらあら、久しぶりだからって二人も....ふふふ、さすがはラム爺ね。セイジロウさんは、わたしを相手してくださらないの?」

 と、朱色のショートヘアをしたこの女性、ナーリャさん。まだ、二十代前半に見える顔なんだが、時折こうやって見せる色気が俺のムスコに誘惑をしかけてくる。スタイルもよくて、着てる服のスリットが入ったワンピースから覗く太股が.....いい!


「ナーリャさん、凄く、スゴく今すぐにでも相手をしたいのですが、先に話を聞いてくれませんか?」

「あら、男の欲望よりも大事なは・な・し・なの?」

 と、ナーリャさんの手は俺のムスコを....あっ...指テクニシャン.....このままじゃヤバイと思い、すぐにナーリャさんの手を掴みムスコから離す。


「...ナーリャさん、少しで良いので話をしませんか? 悪い話ではないですよ?」


 俺とナーリャさんはしばし見つめ合い....

「いいわ、話を聞きましょう」

「ありがとうございます。勿体ぶる話ではないので早速本題に入ります。ナーリャさん、私の販売を手伝いませんか?」


 俺は、話を始めた。

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