第24話 男の無駄な見栄
No24
男の無駄な見栄
「ん....んぁ?.....あー、気を失ったのか.....」
俺は、目を覚ますと部屋の床で寝ていた。近くには転がった魔石があった。
魔石を手にとり良く見ると、まだ濁った色をしていた。この色からするに属性魔石じゃないと判断した。
魔石には、白、赤、青、緑、黄、紫、金の幾つかの色が存在する。色付きは属性魔石。白は無属性になる。色がくすみかかる程に魔力容量が少なくなる。
この無属性魔石を見るとまだまだ魔力は補充出来る思い、体感では魔力は回復していたのでとさっさと補充した。
「こりゃ、魔法鍛練を抑えるか改善するかしなきゃ、魔石の依頼の後じゃ満足に補充が出来ないな....」
窓の外を見るとまだ、陽が上る前で空はまだ夜明け前だった。桶に魔法でお湯を出して体を拭き、紅茶を用意して一息つく。
その頃、ようやく陽が差し始めてきた。
今日の予定を考えながら身仕度を整えて、冒険者ギルドに向かった。ギルドの受付で依頼のやり取りをしてプリンの仕込みをして、プリンの販売とフレンチトーストの販売を開始した。
販売開始から一時間程してから、受付嬢のアリーナさんがやって来た。
「セイジロウさんっ! フレンチトーストと紅茶のセットをお願いします!」
俺はアリーナさんから注文を受けると手早く調理準備を始めた。
「はい、では少々お待ち下さい。それと、少し話がしたいのですが、相談に乗ってもらえますか? ハチミツプリンでどうです?」
「ん~~、プリンがいいですっ!」
「分かりました、では」
さすが女の子、やはりここぞとばかりに狙うよね、プリン。
フレンチトーストに紅茶、プリンを用意してアリーナさんのとこへ。フレンチトーストの注文がきたら名前だけ聞いてあとでデリバリーする事をプリン販売のギルド職員に言付け。
「お待たせしました、アリーナさん。食べながらで良いので聞いてもらえますか?」
受付嬢は互いに忙しい身だ。さっそく、本題にはいる。
「アリーナさん、この街って娼婦いますよね? どこに行けばいいんですか?」
「はっ?......オホン....セイジロウさんも男性ですから分かりますけど、それを私に聞くんですか? ちょっと男性としてどうなんですか? それに、女性としてかなり傷つくんですけど.....」
「いえいえ、違いますよ。アリーナさんは可愛くて魅力的ですよ。でも、私には娼婦が必要なんですよ。彼女達の力を借りたいのです」
「そりゃ、彼女達はそれが仕事ですからね。仕事に対する意識も高いですよ。でも、若さならまだ私にも戦えますし、知識はありますからね。もしセイジロウさんが嫌じゃなければ相手しますよ。もちろん、正妻にはフローラさんでわたしは第二夫人でも良いですけど...(まだ、婚約だけだから解消もできるし)」
「いや、あれ?....ちょっと話にズレがありますね。別にまだアリーナさんの嫁ぎ先の話は聞いてませんし、フローラさんは誰かと結婚するんですか?」
「いえ、違いますよ。セイジロウさんが相手ならわたしもお願いしますって事です。だから、娼館じゃなくて私を相手しても良いですよっ!まだ、初めては残してありますし!」
あー、そっちね。そりゃ、こっちに来てからはまだしてなかったな...娼婦の話が出たから、自分を売り込んでるのか...
まぁ、アリーナさんは可愛いし胸もあるし、脚もスラッとしてるから有りか?
さっきの口調からして、やはり一夫多妻制か?
フローラさんもかなり魅力的だしな。顔は整っていて目元の泣きホクロが色っぽくて、豊満な胸に細くくびれた腰、長くなめらかな脚線美....有りだな!!
ヤバい想像したら、ムスコが....
「えっ...と、アリーナさん。今、フレンチトーストを販売してるのですが人手が欲しいのです。ビルドさんとこの食事処も忙しくなってきてますし、そっちも何ですけどね。それで、冒険者の扱いに慣れてる娼婦を雇えないかの相談をしたくて話をしてるんですけど......」
「えっ?....あっ......アハハ....」
と、笑って誤魔化した。
「私の伝え方が悪かったですね、すいません。紅茶のお代わりはどうですか? 入れ直しますよ?」
「はっはい!!.....お願いします」
と、一旦、リセットする時間を稼ぎ、お茶を用意してから再開した。もちろん、お代わりは有料です。商売は甘くないんですよ。
「では、改めてアリーナさん。娼婦の方はそれなりの接客も出来ますよね?」
「はい、お酒を出したりつまみを出したりもしますよ」
「ならあとは雇えるかどうか何ですが、どうですか?」
「雇用するなら、出来なくは無いですけど.....下手に首を突っ込み過ぎると命に関わりますよ?」
やっぱりかぁ...裏の人間に話を聞く必要があるのか?....さすがになぁ.....
「では、ある程度の接客が出来る人はいませんかね? 出来れば愛想が良いと嬉しいのですが?」
「なら、やはり商業ギルドに依頼するのが良いですよ。商業ギルドは人材の育成もしてます。貴族向けの立ち振舞いを身に着けた方を側使いとして派遣したりもしてますしね」
おお、メイドか!! やはり、メイド文化はあったんだな。街中で全然見なかったからな....
「それは、冒険者の私でも雇えますか?」
「それは、正直分かりません。報酬も安くはないでしょうし...でも、安全安心ならお墨付きですよ」
「安い金で危険を買うより、高い金で安全を買う....ですか。分かりました、一度商業ギルドに話を聞きに言ってきます」
「それが、良いですよ。死んでしまったら終わりですからね........それと、わたしだったから良かったですけど、娼婦の話はフローラさんにしちゃダメですよ? ああ見えてフローラさんは乙女ですからね」
「ハハハ...分かりました。以後は気を付けます。アリーナさんもあまり大人をからかっちゃダメですよ。第二夫人の話は聞かなかった事にしますからね」
と、大人の対応をしたが正直、もったいないっ!!
くぅ~~~~男の見栄が邪魔をするぜ!
その後は、フレンチトーストの予約客の為に手早く焼きすぐに配達した。フレンチトーストの販売が終わると、魔法の鍛練をギルドの鍛練場でするが、魔力量を押さえつつ魔法操作に重きを置いた。
的との距離を縮め威力も押さえ、的に当たる毎に後ろに下がる。外れたら的の距離を縮めそれを繰り返す。
これで、魔力量のコントロールと射撃の技術を高められる。夜の分も魔力量は残しておきたいしな....
夕方になりギルドの食事処で働き、帰ってからいつものように体を拭いてギルドの依頼をこなした。
「さてと、昨日よりは鍛練を抑えたし魔力もあるはずだ。さらに.....ベッドに入りながら魔力を込めれば気絶しても平気だな」
そして、白魔石に魔力を補充する。しばらくすると体がダルくなってくる。
だが、まだいける、もう少...し、あっ、....そして、2度目の気絶で翌朝に目を覚ます事になった。
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