第11話 フローラの魔法とジト目
No11
フローラの魔法とジト目
さて、金を稼ぐあてはできた。これで、何とか生活の安定は計れる。次なる課題は、やっぱり魔法だよな....
いや、読み書き計算はちゃんとやってるよ。まぁ、基礎さえ出来ればなんて事は無いんだけどね。
フローラさんとの勉強会も明日には第二回目を開催するしね。また、ギルドの一室だけど.....
だから、明日はプリンの販売は中止なんです。すいません、プリン女子の方。しかも、事前告知無しなんで.....ハハハ...
でだ。金も大事だが、自分の命も大事だよな。やっぱり異世界に来たわけだし魔法は使ってみたいよな。なので、明日はフローラさんに魔法を教えてもらいたいと思ってるわけだ。
もしかしたら、異世界チートや異世界無双とか出来るかも知れないじゃん。三十路になってまで、憧れるなって言うなよ。
実際、間近で見たら使いたいと思うだろ。まぁ、1回しか見たことないけど....しかも、煙草に火をつける時のだけど....
それでも見たら使いたくなるだろ? 厨二病じゃなくても使いたくなるぞ、絶対。
そんな事を考えながら、ひたすらプリンの仕込みしてる。あとすこしでプリンが蒸し上がる。
「セイジロウさん」
「んっ、はい?」
声が聞こえる方に向くとフローラさんがいた。
「あれ、フローラさん。こんにちは、どうしたんですか?」
「いえ、明日はまたセイジロウさんの勉強会ですから忘れてないかの確認です」
「ちゃんと覚えてますよ。フローラさんの教え方は分かりやすいです。明日の勉強会は楽しみにしてます。プリンもまた持っていきますからね!」
「えっ、えぇ、プリンは楽しみにしてますわ。勉強会を忘れてなかったのなら良いですわ」
「あっ、そろそろかな、ちょっとすいません.....」
俺は蒸し中のプリンの様子を確認した。
ヨシっ。上手く出来てるな。
「それが、冷ます前のプリンですか?」
「そうですよ、あとはプリンの蜜を作って冷やせば完成ですよ。」
「.....なら、プリンは私が冷やしましょうか?」
「えっ?.....フローラさん、魔法が使えるんですか?」
「はい、こう見えても冒険者ですよ。まぁ、現役を退いてはいますが....」
「そうなんですね、見てみたいのでお願いしてもいいですか?」
「分かりました」
俺は蒸したてのプリンをカウンターに並べてた。
フローラさんは、手を伸ばし魔法の詠唱を唱えた。
「風よ、我の魔力を糧とし、冷気を生み出せ、アイスウィンドウ!」
すると、少し強い風が吹き陶器に入ったプリンに向かって吹きつけた。
しばらくすると風がやみ、俺はプリンを触る。すると、プリンの容器は冷たかった。
「おっ、おおっ!冷たいですよ、フローラさん!! 凄いですね、流石ですよ!!」
「いや、そんなに喜ばなくても.....ちょっと魔法使っただけでしょ」
「それでも、ですよ! やっぱり魔法は凄いですね!.......そうだ、フローラさん。出来立てプリン食べますか? お礼に一つ食べてください。アイスティーも付けますよ」
「いっ、いや、そんなつもりじゃないの! ただ、流れで....」
「なら、私と一緒に試食しませんか? これもれっきとした仕事ですよ! 商品がちゃんと出来てるかの確認作業です。どうですか?」
「......物は言い様ですね。分かりました、では、そうしましょう」
「はい、そうしましょう。カウンターに座ってください。今、用意しますから....」
と、出来立てのプリンと魔冷箱に入ってるプリンのシロップとアイスティーを用意した。
「では、確認作業です。いただいて下さい。」
「では...ハムっ!.....ふふふ、美味しいですよ、プリン!!」
「良かったです、では私もいただきますか....ハム....うん、上出来です。今日も売れますね」
「プリンは連日人気ですからね、街中にもそれなりに噂が出てると聞いてますよ」
「そうなんですか?.....まぁ、自信はありましたからね」
「.....そこは謙遜するかと思いました」
「謙遜はしませんよ、フローラさんが嬉しそうに食べてる顔を見れば当然ですよ」
「なっ!!....あまり口が上手いと女性に嫌われますよ、セイジロウさん。プリン、ありがとうございました」
「はい、どういたしまして。それと、フローラさん。ギルドの女性達に今日は、あと30分程でプリンの販売をしますと伝えて下さい」
「んっ? 今日は早めに販売するのですか?」
「ええ、予定より早く完成しましたからね。それに....ほら」
と、俺は目線をギルドに向けるとそこには受付嬢やそれ以外の女性職員が、恨めそうにこっちを見ていた。
ジー、ジー、ジー、ジー.............
フローラさんがその光景を見ると、
「ヒィっ!......そっ、そうですね。しっかり伝えておきます。では、よろしくお願いします」
と、フローラさんは目礼をして持ち場に戻っていった。
そのあとは、ギルド職員の女性達が押し寄せてきて、見事1時間もしない内に完売となった。俺も、フローラさんも、ギルド職員の女性達もみんながWin-Winになった。
夕方まで休憩をしたあとは、いつも通りにビルドさんの食事処で手伝いをして宿へと向かった。
「戻りました~!」
「あら、セイジロウさん。お帰りなさい」
「コレ、みなさんでどうぞ。明日は、プリンの販売が休みなので...」
「あら、ありがとうございます。みんなでちゃんといただきますね!」
「ご主人にもあげてくださいね?」
「オホホ....食事は召し上がりますよね。すぐに用意しますから」
女将のアンさんに用意してもらい、ささっと食べて部屋へと向かい、用意してもらったお湯で体を拭きベッドに入った。
「ふぅ、だんだんと生活にも慣れてきたな。最初はどうなるかと思ったが....まさにプリン様々だな、あとフライドポテトな。さて、文字の練習をしてから寝るか....」
明日は、フローラさんとの勉強会てす!!
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