第10話 入れ食いだ

No10

入れ食いだ





 俺がプリンでフロア長のフローラさんを釣り上げて一週間がたった。あれから、俺の生活が大きく変わった。


「こっちもプリンを2つちょーだいっ!!」


「私達にもプリンを3つね! それと、アイスティーも3つよ」

「こっちは、ハチミツプリンを2つにプリンを2つよ!」


 と、現在は冒険者ギルド併設の食事処でプリンを売ってる。

 時間は昼過ぎから夕方まで。

 商品はプリンとハチミツプリンと冷したアイスティーのみだ。


 メニューは増やしたいけど一人でそんなに動けないから。プリンは朝から作り冷やして短時間で売る。総数は各30個の限定販売で価格は、銅貨6枚がハチミツプリン。大銅貨1枚がプリン。アイスティーは、銅貨2枚で販売だ。


 収入は悪くないし、材料もギルドを通して安く仕入れてもらった。場所代として、売り上げの1割をギルドに支払う事によって契約した。


 さらに、食事処のオッサン、ビルドさんに料理レシピを教えてそっちも契約した。


 教えたのは、フライドポテトだ。前の世界のファストフードメニューだな。ただ、こっちのは塩と胡椒とハーブを振りかけたものだ。本当に簡単なレシピだけど、こっちには無いからな.....


 で、フライドポテトの売り上げの1割を対価としてもらい、販売は食事処限定としてもらった。レシピの公開も1年は待ってもらった。

 これで、1年間はフライドポテトの売上1割が何もしなくても俺の手元に入ってくる。


 さらに、プリンとハチミツプリンの利益もだ。


 フローラさんに頼んで冒険者ギルドに口座を作ってもらった。単純にただ預けて引き落とすだけになる口座だ。預けるだけで金が増えるとかはない。


 ただ、引き落とす時に手数料がかかるが....まぁ、それぐらいはな...


 で、プリンをひたすら売ってるわけだ。


「残り、プリンが13個でハチミツプリンは5個となりましたーっ! 購入の方は早めにお願いしまーす!」

 と、ギルド内に届くように声をかけると、


 ダダダダダダダーーっ!!


「全部いただくわっ!」

 と、アリーナさんが釣れたよ.....


 そうです、ギルド内でプリンを売るともれなく、受付嬢が釣れるようになったんですよ。

 マジで....さすがにちょっと引くわ....

 いや、嬉しいんだけど、なんかね....やっぱり、物で釣るのは釣るまでか楽しいのであって、釣れちゃうとね...


 まぁ、売るけどね。


「はい、お待たせしました。本日は完売になりましたーっ!」


 と、こんなに感じでプリン販売は順調で、夕方からは、ビルドさんと一緒に食事処で新作メニューのフライドポテトを売る。売りまくる。

 フライドポテトは小皿が銅貨5枚、大皿が大銅貨1枚だ。2人前と4人前のボリュームになっていて、適度な塩味にアツアツでフカフカしてる食感、お酒のおつまみには最高だ。


 ちょっと割髙だが一度食べれば病みつきになるし、冒険者にとっての大銅貨一枚ぐらいは端金だ。


 売れ行きは順調で、多少余ったりするけと、余ればそれをツマミに俺たちが酒を飲む。

 もちろん、酒代は払うよ。フライドポテトは無料だけどね。


「いやー今日も売れましたね!ビルドさんに、リーナさん、エリナさん」

「おぅ、セイジロウのおかげで売上も上がったしな。酒も良く売れるぜっ!」


「私は、このプリンが好きっ!」

「あたしは、ハチミツが良いっ!」

 と、リーナさんもエリナさんも喜んでる。


 リーナさんは薄い緑色の髪色をした、女の子で良く陸上部とかにいる活発な感じの女の子だ。可愛らしい顔でスレンダー体型...将来に期待だな..


 エリナさんは、リーナさんより少し年上で濃い藍色の髪色をした、おっとり女子だ。体型も良く特にまだ発展途上だが、掌にちょうど収まる感じがまた.....ね。


 おっとり感を出しつつも、給仕はテキパキとこなし、要量がいい。


「しばらくは、忙しいけど頑張りましょうねっ!また、メニューを考えておきますよ」


「おう! 期待してるぜっ!」

「セイジロウさん、わたしもーっ!」

「あたしは、ハチミツプリンがあれば良いですよっ!」


「じゃ、先に宿に戻りますね。また明日っ!」

 と、本日の業務は終わりだ。


 やはり異世界ファンタジーと言えば、プリンとフライドポテトだな。

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