第8話 幕間、妄想は犯罪か?

No8

幕間、妄想は犯罪か?





フローラ視点


 やっと相談が終わりました。

「アリーナ....申し訳無いけど個室のお茶を片付けておいてくれるかしら?」

「はい、フローラさん。相談を回してしまってすいませんでした....」


「平気よ、とりあえず今回は無事に済んだから気にしなくていいわよ」

「はい....それで、どんな形に纏まったんですか?」


「そうね....結果を言えば私がセイジロウさんに読み書き計算を教える事になったわ」

「えっ? えぇ~~!! フローラさんがですかっ!?」

「ちょっ! こ、声が大きいわよっ! もぅ....そうよ、個人的な依頼を受けたわ。依頼料も正当よ」


「でも、わざわざフローラさんが受けなくても....やりようは幾らでもあったんじゃないでしょうか?」


「そうね、確かにあったわ。でも、波風を立たせないようにするには、こうするしか無かったわ。私が上手く捌けば良いだけだし、厄介事だったとしても私なら力も権力も多少はあると自負してるしね。万が一、あなた達に任せて、身の危険になればそれこそ、後悔してしまうでしょうしね」


「フローラさん.....」

「はいはい、お喋りはここまでよ。お昼になるわ、交代で少し休みを摂ってきなさい。午後も仕事があるんですから」


 ふぅ.....さすがに早まったかしら? 甘味で依頼を受けてしまったとはちょっと言いつらかったし.....


 まぁ、セイジロウさん自体はあまり危険な感じはしないし、わりと誠実な感じもするし、大丈夫かしら....


 大丈夫よね....うん....大丈夫、仕事しよ...


 でも、セイジロウさんは優しそうだったわね。しっかりしてそうでちょっと頼りない所は以外よね.....

 つい、安請け合いしちゃったなぁ...


 あの、喜んだ時の笑顔はちょっとキュンとしたし、いきなり手を握られたのはビックリしたけど....良かった...ふふ。


 まぁ、冒険者の手なんてゴツゴツして汚いから、見るのも触るのもイヤだけど、セイジロウさんの手は綺麗だし、ゴツゴツしてなかったわね....


 また、触りたいな.....


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アリーナ視点


 フローラさん、マジで良い上司。私がメンドクサがってフローラさんに丸投げしちゃったのに、私達に命令せずに自分で解決するなんて.....


 しかも、個人間で依頼を受けちゃうし...


 ギルドを通さない依頼はかなり怪しいって、フローラさんが前に教えてくれたのに。


 ギルドを通さないだけで、信用度はかなり下がる。ギルドに後ろめたさがある証拠だ。それがどんなに些細な事でもだって。


 基本は当人同士の口約束になり、安全も信用も自分で判断しなきゃならない。仮に安全だと判断しても、すべての責任は自分にあるって。


 騙されても、怪我をしても、殺されても、自分の責任。問題が起きても誰にも頼れない。


 ギルドなら、多少の裏も取るし情報網は国中に拡がってる。よほどの事がなければ、ギルドの依頼は堅実。報酬も依頼内容に応じて相応だし、注意事項も明記してる。


 それでも、怪我をする人や命を落とす人もいるけど、騙される事はない。ちゃんと自分で依頼を選び納得出来る。知りたい情報があれば提示できる。


 個人間ではそれがない。


 幾ら、物腰が良くて礼儀作法があって、誠実に見えても、ただソレだけ。危険な判断も出来ないし、情報もない、報酬も本当に正当かどうかも分からないし、万が一、身の危険を感じても自分で何とかしなきゃならない。


 フローラさんは、顔は綺麗だし、スタイルも良い。男からみたら手を出したくなるほどの美人。


 私は何度も、フローラさんの色気に当てられたからわかる。あの柔らかい唇に触りたい。豊満な胸を触りたい。長い脚を触りたい。もし、夜を共に過ごしたらどんなに表情をするのだろう?


 どんな声を出すのだろう? 受けなのか、攻めなのか?


 私は、ちょっと攻められたい派だから優しくしてほしいな...最初は少しずつで、そこから徐々に激しく、そしたら、攻守を交代して次は私が攻め......


 って!妄想しすぎた!!


 し、仕事に戻らなきゃ.......


 でも、頭の中で考えるだけならいいよね?

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