七実は空色の制服を着ている。

 足元は白のスニーカー。背中には白いリュックサックを背負っている。手には白い(スポーツタイプの)時計をつけている。


 空を歩く七実の足取りはとても軽い。七実はもともと陸上部に所属している生徒であり、走ることには自信があった。

 体力にも自信もあるし、歩き続けることにも自信があった。


 だから七実は空の中を歩いて、空の王国まで行くことについて、とくになんの不安も感じていなかった。

 ずっとその両脚を動かしていけば、いつか空の王国にまでたどり着けると思っていた。

 でも、いつまで歩いても歩いても、空の王国にはたどり着かなかった。


「うーん。おかしいな?」

 ……どうしていつまでたっても空の王国が見えてこないんだろう?


 さすがにずっと歩き続けて疲れを感じた七実は、白い雲の上で少し休憩をすることにした。

 雲の上に座って、(椅子のようになっている場所があった)そこで、背負ってきた白いリュックサックの中から、白い水筒を取り出して、そこでスポーツドリンクをごくごく飲んだ。(疲れているから、すごく美味しかった)

「はぁー」

 七実は言う。


 七実はそれからリュックサックの中から、一冊の青色の手帳を取り出した。白い雲と青い鳥の絵が描かれた、青色の手帳。

 それは七花の残した『空色の日記帳』だった。


 その日記帳を、七花。ごめんね。と心の中で言いながら、七実は開けて、その日記の中身を読んだ。

 そこには七花の書いている『空の王国への行きかた』が書いているページがあった。

 そのページを七実は、空の中で、じっと一人で読み始めた。(初めてこの七花の日記帳を、七花の部屋の中で見つけたときと同じように)

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