第2話 ワシの決意

『しげちゃん、元気? 風邪引いてない? そっちはめっちゃ寒いんやろ? 今、あたし、友達に習ってマフラー編んどるとよ。できやがり楽しみにしとってね? そっちでは友達できた? しげちゃんなら心配ないと思うっちゃけど、でもあたしより仲良いこできたら嫌やなーなんち思うったいって、こげんこつ書くと恥ずかしかね……今日はこん位にしとくね』


 そう締めくくられた手紙を眺めた後、それも含んだ手紙の束を取り出した。

 手紙の古さに今までの歴史を感じる気がした。


 わし向川 茂は九十歳になったら、そこまで生きれたらしようと思っていた事があった。

 今日からそれを実行に移す。


 無事そのことをやり遂げたら死のう。

 そう何十年も前から決めていた。



 人の親になり子や孫を育て孫が一人前になるまではとどんなに辛いことがあっても乗り越えてきた。


 もうそろそろ良いんじゃないだろうか、ワシが我儘になっても……。


 もう一度手紙を眺め立ち上がった。


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