第5ページ 原因2

 短かったGWが開け、さっそく葵君に会議に使う資料作りの手伝いをしてもらいたかったんですけれど朝からお休み。

 長泉先生は本人から風邪を引いたと連絡があったそうで・・・。絶対サボりね。学校に来たらこき使ってあげるんだから。



 ぬぉっ?!なんか寒気が・・・。まさかマジで風邪ひいてないよな?

 まぁ今日に限っては仮病な訳だが。

 俺が学校をサボってやって来たのは本郷市。焼津の家だ。


 インターフォンを押すと焼津が出てきた。


「どうしたの焼津君?学校は・・・。」


「まぁ俺は不良だからな。サボっても問題無いだろ?それにまた来るって言ったしさ。少し外の空気吸いに行こうぜ?」


「・・・わかった。準備するから少し待ってて。」


 焼津と俺が向かったのは本郷市郊外の大型ショッピングモール。平日の昼間ということもあり、人がチラホラいる程度に空いていた。


「どっか行きたいところあるか?」


「ここ久しぶりに来たからなぁ。楽器屋見てもいいかい?」


「もち!んじゃ楽器屋から攻めようぜ。」


 俺は楽器屋には初めて来たが焼津が色々と話してくれるおかげか退屈しなかった。

 焼津はギターの試奏をしながら店員となにか話していた。俺は素人だから分からないが、情報通り腕はなかなか・・・だと思う。


 それから本屋、服屋、ゲーセンと回った俺達は喫茶店に入った。

 注文した物をゆっくり飲みながら焼津は静かに話始めた。


「今日はありがとう。ごめんねなんか引っ張りまわしてさ」


「いやいいって。俺も楽しかったし、ギター上手いんだな。」


「あはは。そうでもないよ・・・。」


 少し俯きながら焼津は続けた。


「葵君はさ。怖くない?ほら学校でさ・・・。周りの視線とか・・・。」


「周り視線か・・・。」


「僕はさ、君がほら委員長にツッコミ入れて泣かせちゃった後の皆の態度とか視線を見て・・・。怖くなったんだ。」


「焼津・・・。」


「ほらここ学区が違うだろ?知り合いもほとんどいなくてさ。不安だったんだ。そんな時にさ、あんなことがあって。僕もヘタしたらああなるんじゃないかって怖くなって・・・。」


 どうやら不登校の原因は俺にあったらしい。なら俺が何とかするのが筋ってもんじゃないのか?


「焼津。仮にお前がクラスからハブられても1人にはならねぇよ。」


「えっ・・・?」


「まぁあれだ。学校に来りゃ分かるよ。んじゃそろそろ帰りますか!」


「・・・うん。」


 こうして今日はお開きになった。

 とりあえずアイツが信じて学校に来てくれればいいんだけどな。



 ちなみに次の日。俺は過去1番の笑顔の委員長に会議資料の作成と資料室の掃除と器具の移動を1人でやらされた。その日俺は過去1番笑顔が消えた。

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