焼津航編
第1ページ サイテー男と委員長
さて、話は変わるが俺は意外と真面目な生徒である。周りからの評価こそサイテー
不思議な事に誰も来ないので、昼の屋上は俺の城になった。
そんな屋上に河津 咲蘭がやってきたのは自己紹介事件から、2週間後の事だった。
「いやー今日もいい天気だこと。こんな日はゆっくり昼寝でも・・・」
「5時間目サボっちゃダメですよ?」
「のぁっ?!びっくりした!」
「うわぁっ?!すいませんすいません!」
「いやこちらこそ・・・。って委員長か。何の用?」
「あっあの!葵君!放課後教室に残ってくれないかな?アンケートの集計手伝って欲しいんだけど・・・。」
いやいやいやいやなんだそれは?もっと他に頼る人いただろうよ。そんな面倒そうなもん引き受けるのは御免なんだが。ここは・・・
「いやーほら俺あれだから。明日の焼きそばパンの仕入れがあるから・・・。」
「なにそれ・・・。あーあ私自己紹介の時君にツッコまれたせいでとっても恥かしい思いしたのになぁ・・・」
「ぐっ・・・。」
「あんなに辛い思いしたのになぁ・・・。」
この女・・・。痛いところをグリグリと・・・。
「分かった分かった。やりゃいいんだろ!なんでもやりますやります。」
「決まり!じゃあ放課後教室集合でお願いしますね!」
こうして俺はその日のアンケート集計のみならずプリントの回収や配布、長泉先生の雑用を受けた委員長の雑用など、たまに委員長から呼び出されてはこき使われる生活が始まった。
そして4月が終わる頃、委員長はどうせ連絡しに行くからと屋上で昼飯を食べるようになっていった。
「なぁ委員長さぁ。もしかして友達いないの?」
「なっそんなことないです!ただ・・・その・・・話についていけないというか・・・空気に馴染めないというか・・・。」
最後の方は聞き取れなかったが、委員長は委員長で色々大変なんだろう。
「そんなことより!葵君は知ってます?デスケルベロス12。」
「なんだその頭の悪そうなバケモンは?新作ゲームのボスか?」
「違いますよ。我が1年2組の関わってはいけない3人をまとめてデスケルベロス12と呼ばれているんです。」
「なるほどね。んでその不名誉な3人ってのに俺は・・・。」
「まず”女泣かせ”葵京介君」
やっぱりか。しかもなんだその不名誉な二つ名は・・・。嬉しくない決して嬉しくない。
「そして
ちょっとまて俺以外2つ名ないのか?俺だけ別格なのか・・・?
「今日手伝って欲しいのはこの焼津君についてなんです。」
「なんだ?その焼津ってのは相当な問題児なのか?デスケルベロス12って呼ばれるくらいだし・・・。いやでも有名な割には名前を聞かないような・・・?」
「葵君が知らないのも無理ないですよ。焼津君はオリエンテーションの週しか登校してないのですから。」
「はぁ?それって最初の1週間ってことか?確かに途中から休んでるやつはいたが・・・。」
「今回手伝って欲しいのはその焼津君を登校させる事。正確にはそのための情報集めを手伝って欲しいんです。」
こうして俺と委員長は焼津の不登校の原因を探る情報収集として聴き込みを始めた訳なのだ。
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