第39話 けじめ
数日後。春太は、香織を呼び出した。
話があるとだけ言い、放課後に校舎裏へと呼び出したのだ。
そこで告げたのは、ただの事実。
付き合っているのは、演技ではなかったのか。羽籠と香織は何が目的なのか。
真実を教えて欲しかっただけなのに、問い質しても答えではない。
ただ、そこにいるのは――。
「……ひっ、ぐすっ……んええ、ひっ……ひっく……。ごめん、ごめんなさい……」
泣きわめく一人の女子。
春太には元から付き合っている感覚はなかった。ただ、クラスの連中を欺くためだけにやっていた行為。
そうとしか捉えられず、香織を好きになることもなかった。
嫌いだったわけではない。アニメの話をしている時は今でも楽しいし、これからもしたい。が、することはないだろう。
春太は、疑問が湧いてしまい違和感が苛まれてこのままの関係を続けたくないと結論付けただけだったのだ。
その後、羽籠に謝られた。
だが、春太にとってはどうでもよかった。
心の底から、どうでもよかった。
どうでもよくなるほどの出来事が起きてしまったのだから――。
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