第16話 羽籠鎖奈恵の暗躍①
【さなえ:やっほー、香織。学校どした?】
【Kaori:いけるわけないでしょ……】
【さなえ:気にしすぎでしょ】
【Kaori:あのね、ぼくがどんな思いをして生きてきたか知らないでしょ】
【さなえ:そりゃ、知らないよ。あたし、香織じゃないし】
【Kaori:もう、いいよ……】
【さなえ:まあ、そのうち学校に来なね。みんな心配してるから】
【Kaori:まあ、ぼくが来なくなったらみんな心配するよね……】
【さなえ:そりゃあねえ。一番面倒なのは消えたけど】
【Kaori:もうほんっとあいつだけは無理だった! でもどうやって退学させたの?】
【さなえ:させたって言うか、勝手になったと言うか】
【Kaori:? どういうこと?】
【さなえ:あいつ、楓花の胸倉掴み始めたのよ、それで店中が騒ぎになって】
【Kaori:楓花ちゃんが!? 大丈夫だったの?】
【さなえ:そこに春太クンが止めに入ってねー、まあ何もできてなかったけど】
【Kaori:え、春太くんかっこいい】
【さなえ:ほんと、あんた春太クンのこと好きね】
【Kaori:だって、そりゃあずっと好きだもん】
【さなえ:はいはい、じゃあ本人の前でそれ言って来てよ】
【Kaori:無理! 絶対無理!】
【さなえ:そういえば、香織あれどうしたの? 春太クンを映画に誘うんだーってチケット二枚買ってたじゃない】
【Kaori:あー……あれはその】
【さなえ:誘わなかったんだ】
【Kaori:……はい】
【さなえ:で、そのチケット。あたしがまだ預かったままなんだけど】
【Kaori:だってー。さーちゃん、最近春太くんと話してるし渡してくれると思ったもん】
【さなえ:そんなことするわけないでしょ……】
【Kaori:ぼくもそう思う……】
【さなえ:じゃあどうするの? あたしと行く?】
【Kaori:え? いいの? さーちゃんアニメとか好きじゃないじゃん】
【さなえ:別に見ないだけよ。嫌いとは言ってない】
【Kaori:あう……。チケット代もったいないし、せっかくなら来てよ……】
【さなえ:わかった。日曜日だっけ?】
【Kaori:そう! 日曜日のはずだよ】
【さなえ:じゃあ、九時半にいつもの噴水前でいい?】
【Kaori:おっけー】
【さなえ:服装どうしよっか】
【Kaori:どうするって?】
【さなえ:どうせプリクラ撮るだろうし、横に並んで違和感あるような服着ていきたくないのよ】
【Kaori:あー、そうだね。じゃあ、ぼくが先に決めちゃうね……。いつものでいいかな?】
【さなえ:いつものってレザーとホットパンツ?】
【Kaori:そうそう。レザージャケットにホットパンツだから、ちょっと黒いかも。最近暑いからキャスケット被っていこうと思ってたし】
【さなえ:キャスケット? 香織そんなの持ってたっけ】
【Kaori:最近黒いの買ったんだよ~。……春太くんと目合わせれる自信なくて】
【さなえ:へー】
【Kaori:ちょっと! さーちゃん冷たいよ!】
ある女子たちは、どのような服装で出かけるのか話し合っていた。
プリクラ撮るなら、何色の服にするべきだとか、横歩く人の服に合わせたいだとか……女子同士なら当日どんな服装で来るのか聞くのは違和感ないだろう。
だから、羽籠は自然に聞けたのだ。
これが男子だったらこう上手くいかない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます