第9話「豪華絢爛」



「にゃんにゃん仮面?」

カガヤはエトラ達クラスメイト達と買い物に来ていた。

会話の流れで前回助けてくれた『にゃんにゃん仮面』の話題になっていた。

「まぁ助けてすぐにいなくなったから、よくわからないけど、猫っぽい仮面被ってたよ。」

「あんた達は犬で今度は猫か、何?そうゆうの流行ってるの?」

「そうゆうのって流行で増えるものなの?」

「いいじゃんいいじゃん、あんた達は最低限の情報しか発信できなかったけど、新しい美少女戦士なんてたまらないねぇ。」

悠も和歌あきれ気味だが、エトラは新しい取材情報が入った事で喜んでいる。

「顔は口以外は隠れていたから、美人かわからないよ?」

「いいのいいの、正体がわからないなら美少女として扱うものなの。」

エトラの力説にそうかと納得するカガヤ。

「さぁそろそろ上の階に移動しようよ。」

悠に言われ、三人ははぁいと椅子から腰を上げた。

今日は学校が休みなので四人で買い物に来ているのだが、人混みの多さに少し疲れ休んでいたのだが、そろそろ移動となった。

「あたし雑貨屋に行きたかったんだ、さぁ行くよ。」

「悠そんなに急がないで。」

早足に悠は上に向かうエスカレーターに向い、和歌もエトラもそれに続いていく。

カガヤも一息ついて歩き出した。

その時、カガヤの耳元で声が聞こえる。

「みつけたよ、キュオーンデア」

「!?」

急いでカガヤは振り返るが、人混みの為誰が言ったのもわからない。

「カガヤどうしたの?」

和歌が立ち止まったカガヤに声をかける。

「・・・う、うんすぐ行くよ。」

声の主が気にはなるがこの人の多さでは探しようもない、諦めてカガヤは足を前に出す。

けど、カガヤの正体がバレたと確信しいた。


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暗闇の中人影が動いている。

「ふふふ、計画は順調ですわ。」

「ママ次は私の番?」

「いや奥方様もう一度拙僧に行かしてくださらぬか、自分あれではなっとくが行かぬ。」

小さな影と大きな影が動いている。

「そうですね、ん?どうしました剣 万次足?」

奥方様と呼ばれた影の前で別の影が膝をついている。

「奥方様どうか拙者のわがままを聴いてくださいませぬか。」

「・・・、ジュリア、輪具僧りんぐそうもうしわけないですけど今回は『剣 万次足けん まんじそく』にお願いしようと思います。」

「うん、わかった。」

「奥方様がそう仰るのでしたら。」

2つの影は暗闇の中に消えていく。

「では頼みましたよ。」

「御意!!」

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「それで?それは誰だったのかわかったの?」

夜になり千星と神具を使い今日の事を相談するカガヤ。

「いや、わからなかった、声からして女の人だとは思うんだけどね。」

「まぁ、特に書き込みとかもなかったのなら、少し様子見だね。」

「うん」

あの後すぐにエトラに相談し、ネットなどの情報も確認してもらったが、正体を明かすような情報も無く、あったのはあくまで噂レベルの話だけだった。

何かあればエトラが教えてくれるとの事だが、今だ連絡もないので大丈夫だとは思うが、それでもカガヤはやはり心配だった。


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部活も終わり帰るカガヤ。

校門の所に他校の生徒が誰かを待っているようだ。

女の子のようで髪の毛を上で縛りそれが左右に大きく広がっている。

その子はカガヤの方を向き、カガヤに走り寄ってきた。

「こ、こんにちは!!」

「え?こんにちは、えと、あたしに何か用?」

女の子は照れくさそうに下を向いていたが、肩から下げていた鞄から色紙を取り出した。

「わ、わたしあなた達のファンなんです、サインください!!」

「ファン?」

「はい!!私あなた達キュオーンデアのファンなんです!!」

「!?な、なんのこと?」

明らかに焦るカガヤ。

「あ!!自己紹介がまだでした!私『新飼 乃奈しんかい のな』中学2年です。」

「あたしは大塚 カガヤ、あのそのキュオーンデアってなに?あたしわからないんだけど。」

「何言っているんですか!!私知っているんですよ!!今日はお仲間はいないんですか??」

「いやそれは」

「カガヤ!!」

上から声が聞こえたと思うと、千星が飛び降りてきた。

「姿が見えたのでな、昨日言った事だが正体がバレないようにする方法を思いついたのだが。」

「え!?正体ってじゃあなたも何ですか!?」

乃奈は目を輝かせて千星に近づいた。

「な・・・、カガヤあれほど拙者達の正体は秘密にするように言ったのに!」

「え!やっぱりそうなんですね!」

「え?」

千星は驚いた顔で乃奈を見た後、不安そうな顔でカガヤを見る。

カガヤはあきれた顔で見下ろしていた。

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「ここがキュオーンデアの秘密基地なんですね!」

乃奈は大興奮して周りを見回している。

あの後セシルに相談した所、自分の所に連れてきてくれと言われたのでセシルの家である神社に来ていた。

乃奈の興奮は落ち着く様子もないが、写真は勘弁してくれとお願いしているので騒いでるくらいですんでいる。

「こっちだ、付いてこい。」

千星はそう言って玄関を開けた。

乃奈はハーイと返事をして千星の後について行く、カガヤもそのあとに続く。

三人はセシルのいる部屋に訪れ事情を説明した。

「そう、あなたも私達の仲間になりたいということですか?」

セシルは優しい口調で話をしている。

「はいそうです、おねがいです!私も仲間に入れてください!」

「いいですよ」

「「えっ?」」

即答で返事をするセシルに驚くカガヤと千星。

「いやいやセシルいいのか?」

「もちろん自分から志願してくれるなんて喜ばしい事ではないですか、ほら神具も反応していますし。」

そう言ってセシルが見せてくれた神具は確かに光り反応している。

「さぁ乃奈さんでしたね、これをどうぞ。」

「うわぁあ、ありがとうございます!!」

乃名は喜んで神具をうけとりうっとりした目で眺めている。

「これからあなたには町の平和を脅かす社巣魔と戦って頂きます、私はこんな状態ですので千星とカガヤに色々教えてもらってくださいね。」

「はい!わっかりました。」

喜びではねる乃奈の後ろで、カガヤも千星も困った顔をしている。

「じゃ乃奈さんは本日はお帰り頂けます?二人にお話がありますので。」

わかりましたと部屋を後にした乃奈を見送り、カガヤと千星への説教が始まった。

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「というわけで、カガヤあの子に変身など教えてもらえないか?」

次の日の放課後、千星がカガヤにお願いをしていた。

「まぁ今日は特に用事ないからかまわないけど。」

「すまぬ、拙者は町の見回りがあるゆえ、よろしく頼むぞ。」

そう言ってその場を後にする千星、カガヤはふと二階の窓から校門を見てみると見覚えのある中学生が待っているのが見えた。

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「おい、もういいだろう?」

「うるせぇ、この間海で女に振られるは、変な男に襲われるは、こんなムシャクシャすることはないだろ!!」

そう言って金髪男は、商店街の裏道を二人の友人と歩いている。

「けど八幡根やばたねほんとに覚えてないのか?」

「知らねぇよ、俺の中から黒いタコが出てきたなんて、クソそいつ次に会ったらボコボコにしてやる。」

「つっても顔覚えてないんだろ?」

「おめぇら覚えてるんだろ?次会ったら教えろよ。」

「また会いたいと思うなんて、八幡根やばたねほんとやべ~。」

「当たり前だろ、俺が本気になれば、ウォ!」

八幡根やばたねの体が何かにぶつかる。

「てめぇどこみてんだ、あぁ!?」

「や、八幡根やばたね。」

「ほう、貴様はいつぞやの、相変わらずのようだな丁度いい。」

「あ?お前なんて知らねぇよ。」

「や、八幡根やばたね、そ、そいつ。」

「あぁ?」

八幡根やばたねが友人の方を振り向いた途端、体に違和感が。

「また貴様の体使わせてもらうぞ。」

男の手が八幡根やばたねの体に刺さってその体が光っている、しかし八幡根やばたねは驚いているだけで痛みを感じていない。

「お主のように汚れた人間なら使う事も楽で良い。」

「うわぁぁぁっぁぁーーーーー!!!!」

男がが手を左右に広げ、八幡根やばたねの体の光も広がっていく。

友人2人は一目散に逃げだした。

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「おお!!これが変身なんですね!!」

カガヤは乃奈に変身方法を教えていた。

「うん、旨くできたね、セシルの言う通り適性はあったようだね。」

変身した乃奈のカラー紫で服の丈がカガヤに比べて長いような気がする。

「次は武器だね、武器よ現れよと願いながらいでよと唱えてみて。」

「はい、う~武器よ現れよ!」

乃奈がそう言うと目の前に棒が現れた。

「これがあたしの武器ですか?なんかしょぼい。」

「まぁ武器もそれぞれだろうからね、その状態で破邪・・・。」

カガヤが続きを教えようとしていると。

「カガヤ聞こえる?」

腕に付けている神具から千星の声が聞こえてくる。

「カガヤ!社巣魔しゃすまが現れた急いできてくれ。」

「うん了解、ごめん乃奈ちゃん今日はここまで。」

「わかりました、じゃ行きましょう!」

乃奈はやる気満々と腕を上げている。

「いや、まだ教えることもあるし。」

「私なら大丈夫です!さぁ行きましょう!」

そう言ってジャンプをして飛んでいく乃奈。

「ちょ、まだ場所聴いてない、もう。」

カガヤも変身して乃奈に追いつき、千星の元に向かう。

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カガヤ達は商店街近くのビルの上に飛んできた。

「おっまたせしましたぁぁ!!」

乃奈はうれしそうに叫んだ。

カガヤはちょっとあきれている。

「ここら辺のはずなんだけど。」

よく見ると別のビルの屋上で何かが動いているのがわかる。

「あそこか、いくよ」

カガヤは飛び上がり、動きの見えるビルに着地をした。

「おぉカガヤ来てくれたか。」

「あたしも来ましたよぉぉ!!」

「ごめん付いてきた、でこいつ?」

三人の目の前に玉が100個くらい合わさった何かがいた。

「こいつが社巣魔しゃすま?」

「あぁさっきから戦っているのだが。」

ボボボっ

会話をし終える前に社巣魔しゃすまの体から玉が幾つも飛んでくる。

2人は一斉によけるが、後ろにいた乃奈に玉が直撃する。

「いだぁい!!!」

乃奈は後ろに吹き飛んだがどうやら無事のようだ。

「ごめん気がつけなくて。」

「カガヤ次来るよ」

社巣魔しゃすまは横に飛んだカガヤに向かって玉を飛ばしてくる。

今度は上に飛んでよけるカガヤ。

社巣魔しゃすまの全体が見え上から中の玉に角を確認する。

「見えた!!こいつ一頭の中の玉に角があるよ。」

「了解!!それじゃ!!」

千星は鎖鎌の鎖を伸ばし社巣魔しゃすまの動きを止める。

カガヤは乃奈の隣に着地した。

「乃奈ちゃん大丈夫?」

「は、はい大丈夫です!!」

「よし、あいつにとどめ指すよ!!武器を出して破邪犬正はじゃけんしょうって唱えると武器が光るからそれで角を壊せばいいんだよ!!」

「わ、わかりました武器いでよ!!」

乃奈は武器である棒を出した。

「は、破邪犬正はじゃけんしょうぉぉ!!」

乃奈が唱えると棒の先に光が集まりハンマーのようになった、が。

ドガン!!

「え?」

「お、重い」

乃奈の出したハンマーが地面に落ちている。

乃奈は武器をつかんではいるが持ち上がる気配は一向にしない。

「な、なんですかこれ?」

「いや~、あたしが聴きたいくらいだよ。」

カガヤも武器が地面に落ちているのを見て困っている。

「ご、ごめんなさい、私これ使えそうにないです。」

「ごめん、それ力余り持たないから、解除されたら隠れてて、あいつは私がなんとかするよ。」

カガヤは武器を出し、社巣魔しゃすまの頭へ飛び込んだ。

破邪犬正はじゃyけんしょう!!」

カガヤの刀が光り出し、社巣魔しゃすまの頭に突っ込む。

ドッカ!!?

「!!」

何かがカガヤにぶつかりそのまま別の場所に一緒に飛ばされる。

「な、なに!?」

「また会ったな赤いの」

「あ、あんたは!!」

カガヤにぶつかったのは剣 万次足けん まんじそくで笑いながらカガヤを連れていく。

2人はそのまま別のビルの屋上に飛ばされ、カガヤは吹き飛んでしまう。

「がはっ」

「ふふふ、この間の仮を返してやる。」

剣 万次足けん まんじそくは不適に笑い背中から剣を引き抜く。

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「くそ、カガヤが。」

社巣魔しゃすまを鎖で拘束した千星だが、段々抑えきれなくなっている。

「乃奈殿!!手伝ってほしいのだが!!」

乃奈の方を見るがビルの橋に移動している。

「す、すいません、やっぱりあたしには無理なんだ。」

乃奈は怯えてこちらを見ていない。

「く、やっぱり早すぎたか」

ボボボっ!!

千星に向かって社巣魔しゃすまが玉を放った、千星はそれをよけた為、鎖が緩む。

ボーーー!!

社巣魔しゃすまが叫び、ゆるんだ鎖を引っ張られる。

「くっ。」

バッキ!!

千星が鎖ごと地面に叩き付けられる。

「ガハっ。」

ボボボボ!!

追撃で玉が飛んでくるが、急いでそれをよける。

「なかなかやるな。」

そう言って社巣魔しゃすまと対峙する千星、視線を乃奈に向けてみるが相変わらず端で震えているようだ。

「せっかく助けを呼んだが、1人でやるしかないか。」

ボーーーーー!!

社巣魔しゃすまが吠える。

ブシャー!!

吠えた社巣魔しゃすまに水の塊がぶつかり、社巣魔しゃすまがよろける。

「手伝いに来たよ!!」

そう言われて見てみると吟がキュオーンデアに変身して立っていた。

「すまん、助かる。」

そして千星と吟が社巣魔しゃすまに突っ込む。

その間も乃奈は震えながらブツブツとつぶやいている。

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「が、!?」

別のビルの屋上でカガヤと剣 万次足が刀の打ち合いをしているが、カガヤの方が振りに見える。

その要因は剣 万次足けん まんじそくの背中から蜘蛛の足のような物が幾つも生えておりその一本一本に剣が持たれている。

「ほら、どうしたこの間の勢いがないぞ!!」

「くそう。」

約10本の剣を一本の刀で受け流すだけで精一杯のカガヤ。

「見えた!!」

「しまっ!!」

剣 万次足けん まんじそくの剣がカガヤの刀を上に吹き飛ばした。

「そら、ここからだぞ、ははは耐えて見せろ。」

ズバっ、バキっ、ザン!!

変身をしているので切り裂かれるダメージはないが、カガヤの体に傷が増えていく。

「く、武器よ・・・」

もう一度刀を出そうとするカガヤだが、

「切り裂かれろ!!十解!!」

剣万次足の剣がカガヤに突き刺さり吹き飛ばされる。

「がっ、ぐふ。」

壁に吹き飛ばされたカガヤの瞳から光りが薄くなっていく。

「ふ、所詮この程度よ、この間は油断があっただけだ、ははは。」

剣万次足が高らかに笑う。

カガヤの意識が遠くなっていく。

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「じぃちゃ~ん」

小さな女の子がおじいちゃんに走り寄っていく。

「おぉカガヤどうした?」

小さな少女カガヤはおじいちゃんの前に止まり、手に持っていた竹刀を構える。

「またじいちゃんの剣技覚えたよ、あたしこれをもっと覚えて正義の味方になるんだ。」

「そうか、カガヤならきっとなれるのぉ」

孫の可愛さにデレデレになるじいちゃん。

・・・・・

「え~ん」

小さなカガヤが泣いている。

「ありゃどうしたのカガヤ?」

カガヤがおばあちゃんに寄っていく。

「お、お耳怪我したぁ、痛いよ~。」

よく見るとカガヤの左耳に大きな傷ができている。

「え~ん、え~ん」

・・・・・・

「大事にならんでよかったなぁ」

じいちゃんと病院の帰り道。

「いや、こんな耳恥ずかしい。」

そういって左耳を隠すカガヤ。

「じゃカガヤにこれをやろう。」

そういってじいちゃんが布の付いた髪飾りを付けてくれた。

「じいちゃんこれ、布がずれたら見える。」

たしかにその髪飾りは耳の上に布がかかっている程度なので、激しく動いたりしたら耳が見えてしまう。

「まぁしばらくつけてみてくれ、不思議とそれくらいがいいとおもうぞ。」

「・・・わかった、けどじいちゃんアイス買って」

「交渉上手じゃのわかったわかった。」

・・・・・・

「カガヤ、今の時代”刀”を使う事は基本無い時代じゃ、だがその精神は学べる、お前が昔行っていた正義を考えると良い。」

・・・・・・

昔の記憶の中で漂うカガヤ。

その時不思議と言葉が浮かんでくる。

カガヤは不思議とその言葉をつぶやく。

豪華犬爛ごうかけんらん

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「な、なんだ!!」

剣 万次足けん まんじそくの目の前でカガヤの体が光り輝く。

その光がカガヤの周りで形になっていく。

「ばかな!!」

光はカガヤの服に代わりいつものキュオーンデアとは違う服装になっていく。

額の飾り着物全てが大きく派手に変化した。

「く、ただ姿が変わっただけだろう、もう一度我が剣に沈めぇ!!!!」

剣 万次足けん まんじそくのがカガヤに斬りかかる。

「大塚流奥義!!竜胆りんどう!!」

カガヤそうつぶやいたと思うと剣 万次足けん まんじそくが上空に吹き飛んでいた。

「な、なにが!!」

剣 万次足けん まんじそくが理解できないほどカガヤが光速で斬りさいたのだ。

ドガン

空に飛んだ剣万次足はそのまま屋上に叩き付けられる。

「次は確実に行くよ!破邪・・・。」

「そこまでです。」

声が聞こえ、見覚えのない女性が剣万次足をかばうように現れる。

「こんばんわキュオーンデアさん、私は艶美姫あでみひめと申します。」

「これはご丁寧に、けど仲良くはしてくれないんだよね。」

そう言って刀を艶美姫あでみひめに向ける。

「お、親方様、拙者はまだ戦えます。」

剣 万次足けん まんじそくもう十分よ、それにあちらもやられてしまったようですしね。」

そういった視線の先には社巣魔しゃすまがいたビルがあるが、すでに社巣魔しゃすまの姿はないようだ。

「くっ。」

「ふふふ、ではキュオーンデアさんごきげんよう。」

「まて!!」

カガヤが斬りかかるがすでに二人の姿はなくなっていた。

「逃げられたか。」

「カガヤ大丈夫か?」

そう声が聞こえ、千星達が現れる。

「え、カガヤその格好どうしたの?」

「あ、吟来てくれたの、いやよくわらないんだよ。」

カガヤがそうつぶやくと衣装がいつものキュオーンデアの姿に戻っていく。

「あいつら社巣魔しゃすまの親玉かな。」

「たぶんね、前回も出てきたしね、って乃奈ちゃんは?」

「す、すいません。」

乃奈がおそるおそる現れる。

「よかった無事だったんだね、よかった。」

「ごめんなさい、やっぱりあたしには無理です。」

「ちょ、乃奈ちゃん」

乃奈はそう言い残して飛んで逃げてしまう。

「あぁちょっと待って!!」

三人は急いで乃奈の後を追って飛んでいく。


第九話 完

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