第94話 すいま(紫乃)
現在の時刻は13時30分。
この時間帯は、睡魔の猛攻にあう時間帯である。
しかも今日は金曜日。
金曜の5限目、それは古典という名の地獄の45分間である。
クラス約40人のうち半分は睡魔に負けたようで。
睡魔に必死に対抗している一人、紫乃の視界は良好。
そんな中で授業を進めるのは、古典の担当教員にして紫乃たちのクラス担任である寺田先生。
「えー、ここの意味は自分たちで考えた方がわかりやすいから……当てていきますね〜」
どこか気だるげな先生の言葉に何人か息を呑むが、当の先生はどこ吹く風である。
「じゃあまずは……朔良さん」
指名された朔良は、窓際の席で安らかな寝息をたてている。
「おーい、朔良さん起きてますか〜? もし寝てたら無理にでも叩き起しますからね〜」
「……はいはいはい。なんでしょうか先生っ!」
先生の言葉のどこに反応したのか、朔良は飛び起きた。
寝起き感満載の表情と寝癖で、先生も微妙な顔をしている。
そんな朔良は文字通り飛び起き、机か椅子の脚に足を引っ掛けて派手に転倒。
その様は、隣で見ていた紫乃が目を覆いたくなる程だった。
そして、朔良は再び夢の世界に旅立った。
「朔良ちゃん!?」
紫乃はたまらず叫んだ。
先生もクラスメイトも一様に目を見開いて固まっていた。
紫乃は朔良の身体を揺すり、必死に起こそうとする。
だが、朔良は――
「うう……まほなれ……」
――と意味のわからない寝言を言っている。
大方、『魔法少女になれたなら』を夜遅くまで観ていたのだろう。
リアタイでもしてたのかもしれない。
「ほ、保健室連れて行きます〜!」
紫乃は朔良に肩を貸し、よろよろとした足取りで保健室へ向かう。
朔良が目を覚ました時は、6時間目も終わっていたとか、いなかったとか……
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