第34話 まいご(美久里)
「こ、ここ……どこ?」
迷子になりました。The END。
そうとしか形容できない、絶望的状況。
そんな中、美久里は一人で孤独にポツンと立っていた。
これまでの状況を一旦整理しようと思う。
まず、いつも通りの道を歩いていたら、あまりの人の多さに耐えきれず人通りの少ない道を歩くことにした。
……が、進むにつれてだんだん見覚えのない道へ来てしまい、迷ったと。
考えたが、ますます訳がわからなくなってきた。
あまりのやるせなさに、美久里はため息を吐きながら壁に寄りかかる。
この先どうしようと考えていたら、前方が何やら騒がしいのに気がついた。
なんだろうと、美久里は近づいてみる。
するとそこは、カラオケ店やらゲームセンターやらがあった。
一歩大きな道へ出るとこんなにも差があるものなのかと、美久里は驚く。
「すごい……」
「あれ? 美久里?」
「え、朔良?」
賑やかさに圧倒されていると、知り合いに声をかけられた。
それに美久里はさらに目を見開く。
だが、迷子という孤独からの解放感がすごい。
「美久里は一人で何してたんだ?」
「えっ!? あー……いや……その……なんていうか……迷子になっちゃって」
「……そ、そうか」
美久里の言葉に、朔良は呆れたように零した。
そんな時、朔良の背中側から突然葉奈と萌花が近づいてきた。
「あ、美久里ちゃんじゃないですか」
「おー、奇遇っすね」
葉奈と萌花が美久里に気づいて声をかける。
その様子を見て、朔良は美久里にあることを提案した。
「そうだ。あたしら三人で遊んでたんだけどさ、せっかくだから美久里も一緒に遊ぼうぜ?」
「え、いいの……?」
「私はいいですよ。人数多い方が楽しいですし」
「うちも全然構わないっすよ!」
迷子から一転。
とても嬉しい出来事に、美久里の顔が明るくなった。
そして、とてもいい笑顔でみんなの輪の中に入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます