第3話 正しい愛のかたち。

――口は災いのもと。触らぬ神に祟りなし。こういうことだ。


 昨夜の食事会のおかげですんなり寝られた。

 いつも通り歌いながら階段を降りて、青汁を一杯。

 身なりを整えて会社へ向かう。


 (N:いい調子だ。怖くない。大丈夫!)


 夢は所詮夢。男同士の過激な夢も、たやすく絵面はかすれていく。

 ……物語だけは覚えている。


 N「おはようございまーす」


 K「おはよう!さすが寒がり。もうマフラーぐるぐるか」


 N「もうあと2週間もしたら冬ですよーーー。ちゃんとジジシャツも装備してるよーーー」


 配送部を通り抜けて事務所に入るやいなや

 Y「Nはもう冬仕様か!仕方ないなー、ホットでも買ってこようか?」


 (N:出ました。僕を悩みの種) 

 N「結構です!熱い飲み物苦手なんで!おはようございます!昨日はゆっくり休めましたかー?」


 Y「昨日は始めてガキとお風呂に入ったよー。首がまだぐらぐらだから俺の息子がヒュンとしたはー」


 N「知ったこっちゃないですよ!」

 Yの下ネタを華麗にかわして席につく。


 下ネタはいつものことなに、いつもと違う気持ちが沸く。

 ヒュンとした息子をイメージしてしまうと恥ずかしい気持ちになる。

 なんだこれ。


 息子ならちゃんと僕にもついている。

 間に合ってます!!!


 ただただ自分を説得している。


 Y「おい。朝礼だぞ」


 N「……はい!」


 朝の調子は何処へやら。2日続けてYに意識を取られてしまっている。

 まるで少女漫画に出てくるヒロインのような感情だ(見たことないけど)

 

 動物占いでは、長期的に計画を立てて仕事をするよりも、単発的な仕事の方が向いているそうだ。

 その通りだ。明日に持ち込むような仕事は苦手だ。与えられた業務はその日のうちにやりきって仕事に応えたい。


 途方もない悩みは僕をどこに連れていくんだろう。

 男同士の恋愛?

 きっとバッドエンド。生産性のない関係はいずれ飽きて崩れていく。

 間違っているんだ。僕は今、過ちに足を踏み入れる一歩手前。

 まだ間に合う。どうにかして僕の歩むべき道を正さないといけない。


――<愛のかたち>は何をもって正解になるんだろう。


 (N:てか少女漫画の恋愛ってもっとキラキラしてない?)

 

続く

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