第40話
「ぼくさあ、テレビカメラつきのドローンをジイちゃんにねだって買ってもらうよ。ジイちゃんはなんでも買ってくれるから。それにいま持ってるドローンは目視で飛ばすから、遠くから大きな貨物船の甲板に着陸させるにはどうしてもカメラが必要だ。操縦も慣れてるからぼくに任せて」
デーモンは笑顔になってみんなを見回した。
「いいね、それ」と、金太。
「デーモンがドローンやったら、ぼくはなにをしたらよか?」
「だったらノッポは、どこの桟橋からアメリカ行きの貨物船が出るのか調べてくれないか。それが決まらないと作戦が立てられない」
「わかったよ、金太」
割り当てをもらったノッポは嬉しそうな顔で返事をする。
「わたしはなにか手伝うことある?」と、アイコ。
「ある、ある。この作戦でいちばん重要な任務がある。それは、ジョージをドローンで運ぶ際のベルトを拵えて欲しいんだ」
「ベルト?」
アイコははっきりと理解できなかったようだ。
「どういったらいいだろう……そうだ、落下傘とかパラグライダーなんかで人を吊るときに使うもので、先端はワンタッチバックルにして欲しい」
金太は熱を込めて説明をする。
「ワンタッチバックルってなに?」
横からネズミが間の抜けた顔で訊く。
「ベルトとか、リュックなんかについてるクワガタ虫みたいなやつ」
「わかった。あれワンタッチバックルっていうんだ」
ネズミは首を振って感心している。
「それを拵えてきたらいいの?」
「まだあるんだ。小さなポーチに2本ベルトをつけて、ジョージ用のリュックを作って欲しい。いろんなものを入れられて便利だろ? あとからスケッチを描くからさ。これはアイコにしかできない」
「またァ、調子いいこといって。でも、ここまで詳細な計画ができてるってことは、すでに実行が決まってることなの?」
アイコはまんまと金太の計画に乗せられてしまったようだ。
「金ちゃん、ぼくはなにしたらいいの?」
「そうだな、ネズミにはジョージの食料調達でも任せようか。でも絶対に家の人に気づかれちゃだめだぞ。詳しいことはまたあとで話すから」
「わかった」
ようやく役割をもらったネズミは、嬉しそうに笑った。
4人はすっかり金太のペースに嵌ってしまい、気がつくとひとりひとりちゃんと役回りが決められていたのだ。もうこうなったら実行するしかない。気のせいか、全員が腹を括ったような顔をしている。
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