第33話
金太はノッポの言葉を聞いてから、小屋のなかと外を見回った。そしてみんなの顔を見回しておもむろにいった。
「大丈夫だと思うよ。さあ、これみんなで飲も」
ビニール袋から缶ジュースを取り出すと、机の上に並べた。
咽喉の渇いてたメンバーは旨そうに缶を傾けると、申し合わせたようにふうと息を吐いた。それを見届けた金太は、音を立てて机にジュースの缶を置くと、ポケットから小さな瓶のようなものを取り出した。
「これなんだけど……」
指で摘んでみんなの目に見えるように掲げた。
「なに、それ?」
アイコは間髪入れずに訊く。
「これか? これはオレが夏休みに友が淵に魚釣りに行ってたとき使ってた携帯虫除けスプレーで、万が一ねずみがこの小屋に入ったとき、ジョージにこれでねずみを撃退してもらおうと思ったんだ」
金太は自信ありげな表情でアイコに答えた。
「それはいい考えかもしれない」
デーモンは手を叩いて賛成した。これまでもやもやしていた胸の内がすっきりしたような言い方だった。
「ジョージ、ちょっと試し撃ちしてみてくれないか?」
通訳されたジョージは、小首を傾げながら腰の位置にあるノズルボタンを押す。最初は上手く噴射することができなかったが、コツを掴んだらしく2度目からは問題なかった。少しちからが必要だったが、命を守るためには多少のことはしかたがない。
「それとこの鳥カゴは、ジョージを守る家だ。この犬小屋だと入り口がオープンになっているから、万が一のことがあったら大変だ。これだったらネコから守るようにできてるからそう簡単にはなかに入ることはできないだろ。このカゴに毛布をかけておけばねずみの野郎に見つかることはないさ」
金太はみんなの顔を見て笑った。
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