第32話

「そうか、わかった。これでみんなの家にかくまうことは不可能なことはわかった。それじゃあ、次の方法を考えよう。なにかいい考えはないだろうか」

 金太はぐるりと全員の顔を見回して訊く。

「いま、どうするかを考えるなら、ジョージにはわるいけど、みんながアイデアを持ち寄るまでは、この小屋で過ごすしかないんじゃないか?」

 そういったのは意外にも、張本人のデーモンだった。

「名案が出るまでそうしてくれたら助かるんだけど、なにせねずみの件があるから、ジョージに聞かないとなんともいえない」

「ええッ、ぼくがなにかした?」

 ネズミが素っ頓狂な声で叫んだ。

「違う、違う。ネズミはネズミでも、おまえとは違う本物のねずみだ。そんなことより、ジョージに訊いてくれないか、しばらくここにいられるかを」

「わかった」

 そういったデーモンは、ガラス瓶に腰掛けてみんなの話に聞き耳を立てているジョージに顔を近づけて訊いた。

 ふたりの会話は思った以上に長いものだった。英語のわからない4人は、ぽかんとした顔でデーモンたちを見ているしかなかった。

「いま、ジョージに訊いてみたんだけど、やっぱり恐怖心が先立ってとてもいられそうにない、っていってる」

「そうか。じゃあ、もう一度訊いてみてくれないか? このあたりにねずみが近寄らないようにすると同時に、絶対にねずみが入って来られないようにガードすると」

 金太は、そういったあと、なにかを考えるように天井に視線を向けた。

「金太、ジョージは、自分のためにそこまでいってくれるのなら、もう一度トライしてみるといってる」

 デーモンはちょっと安心した顔になって金太を見た。

「そうか、わかった。よし、そうしたら、みんなでこの小屋を調べて、絶対にねずみが入って来ないようにガードしよう。オレはちょっと家に戻って取って来るものがあるから、あとを頼むよ」

 金太はみんなに指示したあと、急いで小屋を出て行った。


 金太が戻って来ると、右手にはいつものようにジュースの入ったビニール袋を提げて、左手にはスチール製の鳥かごを持っていた。

「どう? ねずみが入らないように塞いでくれたかい」

「いちおう入れんようにはしたつもりやけど……」

 ノッポは自信なさげだった。

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