第31話
ひと通りの話がすむと、みんなはようやく肩のちからを抜いて椅子に座り直した。
「もうひと言みんなにいっておかなければならないことがある。それは、いままでみんなに内緒にしていたことは、別にデーモンとふたりだけの秘密にしておこうと思ったのじゃなくて、もしなんかの形でジョージのことが世間に洩れてしまったら、取り返しのつかなくなる事態に発展すると思ったからなんだ。だって、ジョージのような人間がこの世に製生存するとわかったら、日本国中はともかく、世界中が大騒ぎになることは目に見えてる。だって、誰が考えてもそうだろ?」
「金太のいうことはようわかった。ばってん、ぼくらはどげんしたらよかト?」
ノッポは早くその先のことを聞きたかった。
「そこで、相談に乗って欲しいのは、これからジョージをどうしたらいいかということなんだ」
金太はそこで目をしばたたかせながら腕を組んだ。
「もう少しわかるようにいってくれないと、わたしたちはいま聞かされたばかりで、頭のなかが整理できてないから」
確かにアイコのいうとおり、もう少し具体的な話をしないと埒が明かない。
「わかった、アイコ。つい早とちりをしてしまった。経緯はいま話したとおりなんだけど、オレたちの家じゃもう限界になった。これ以上ジョージをかくまったらバレること間違いない。そこでみんなに相談なんだ。例えば、交代で誰かの家で預かってもらうとか、絶対に見つからない場所を知ってるとか……」
金太としては、なんとか名案を出して欲しい気持で一杯だった。
「うちは無理。だって金太ん家と違ってマンションだから」
アイコは申し訳なさそうな顔でいう。
「おう、おう、ぼくんとこもアイコと一緒でマンションやけん、すぐと見つかることが目に見えとオ。そやけんちょっと無理ばい」
続けざまにノッポが可能性のないことをアピールする。
残るはネズミだけだった。
「ネズミんとこはどうなんだ?」
半ば強制的な言い方を金太はする。
「ごめん、金ちゃん。うちのカアさんは動物アレルギーだから、ネコとかイヌはもちろんだけど、ウサギとか小鳥もだめで、すぐにくしゃみが出るんだ。それが一度出だすとなかなか治まらなくて何度も医者に行ったことがある。ジョージは人間だからいいかもしれないけど、ひょっとしてアレルギーが出たらそれこそ大騒ぎになってしまうよ」
ネズミは、内容に反して意外に淡々と発言をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます