第30話

 日曜日の午後――。

 小さな小屋に5人のメンバーが勢ぞろいした。いつものように挨拶をすませると、金太が口を開いた。

「忙しいところを集まってくれてありがとう。きょう、緊急で集合をかけたのは、どうしてもみんなに助けて欲しいことがあったからだ」

「助けて欲しいこと?」

 いちばん年下のネズミが、きょとんとした顔で訊く。

「そう。理由をいまから説明するけど、愕かないで聞いて欲しいんだ」

 金太は机の下に置いてあった白い箱を取り出した。

 ネズミは、箱の中身を想像したのか、嬉しそうな顔になって身を乗り出す。

 金太が白い箱を開けると、全員の顔がさらに移動する。おもむろにそっと手を差し入れると、さらにみんなの視線が集中する。そして抜き出した手には、カウボーイ姿の小さなシリコン人形が載っていた。

「なんね、その薄汚か人形は」

 ノッポは眉根に皺を寄せながら訊く。

「うん。いまからみんなに説明するから、よく聞いて欲しい。いまオレの手にあるのは、人形じゃなくて、れっきとした人間なんだ」

 金太の説明に、一瞬デーモンを除くほかの3人は、まったく意味がわからないといった顔をしている。

 そこで金太は、机の隅に置いてあった蓋つき小さなガラス瓶を引き寄せると、椅子代わりにしてジョージを座らせた。自分で歩いてガラス瓶に腰掛けたジョージを見て、3人は大きな溜め息を吐いた。だが、自分の目で動くジョージを見てもまだ疑いの眼をしている。

「本当に人間なの? わたしたちなにか騙されてない?」

 アイコは興味津々の顔でジョージを見つめる。

 無理もない。デーモンだって、金太だって最初にジョージを見たときには、とても自分と同じ人間だとは思わなかった。だが、言葉も喋れば食事もする。さらにいうならウンコだって一人前にする。

「まずはじめに、この人はジョージっていう。そして、さっきもいったように人間の仲間であることに間違いない。きょうみんなに集まってもらったのは、このジョージのことで相談がある」

 金太はみんなにわかるように、ジョージが日本に来たときのことから順序立てて話しはじめた。そして数日間この小屋で住まわせたこと、金太の部屋で隠れて一緒に生活していたことまで、すべてを話した。

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