7話 Step1 黒色火薬
『To The World Roadへようこそ』
やる事リストを作って、読み込ませてから再ログイン。マニュアルを見ていたらHMDにUSBを差して読み込ませるとそのデータがゲーム内でも読み込めるという素敵仕様を発見した。カスタムサウンドトラックだったり、ToDoリストやメモ帳をメニューウィンドウで確認できる。
そういうわけでまずはStep1の黒色火薬を作る。
まあリアルじゃ作ったことは…15年くらい前に理科の実験で作ったことがあるかな?まあ材料はしっかりとネットで確認したから問題ない。すぐ調べれば出てくるわけだけど、材料は木炭、硫黄、硝石の三種類。難易度で考えれば木炭、硝石、硫黄の順番かな?
「冒険者ギルド便利よね、地域情報とかすぐ教えてくれるし」
って言っても大体こういうのがあるよーって程度であって、詳しくモンスターがどういうのが出るとか採取品がどうなってるかとかは分からない。どっかに情報系クランがあるらしいが、コミュ力のない私には難しい話。情報は足で稼ぐのをまさかこの情報社会でやるとは。まあ楽しいんだけどね。
ところで一つ気が付いたことがある。作る事に関してはまあ最低限出来るようになったわけだけど、採取するのってまた別の話になるんじゃないかって。
木を取るのに伐採とか鉱石を手に入れるのに採掘とかこれ生産職じゃないよね。
「生産者がクラフターで採取民がギャザラーだったかな…あれ、じゃあ伐採用の斧と採掘用のつるはしとかいるんじゃないの?」
しかしギャザラー系のギルドは見当たらなかった。なんにせよとりあえず道具を揃えるために金策しなきゃならないよね。
数分後道具屋でとりあえず
名前:アカメ 種族:ドラゴニアン
職業:ガンナー
基本Lv:5 職業Lv:2
HP:26/26 MP:13/13
STR:5 AGI:12 VIT:2
DEX:11 INT:2 RES:2
SP残:7
【スキル1】
二度撃ちLv1 装填Lv2 調合Lv1 カスタマイズLv1
【スキル2】
木工Lv1 鍛冶Lv1 錬金Lv1
【装備】
武器:カスタムM2ラビット(残弾0)×1
【持ち物】
レーション×17 鋸 鍛冶ハンマー 錬金窯
所持金:1300Z
状態:異常無し 満腹度57%
ついに回復アイテムが底を付いた。ついたっていうか結局一回も使ってないんだけど。即時回復するのがアイテムだが、黙ってしばらく休憩すれば自然回復もするので、アクティブモンスターがいない所ではとにかく休憩をしまくる事で凌ぐ……もう何でもかんでも凌ぐ事しかできてねえ!
「うーん……考えられるのは木工と鍛冶ギルドが併設か……?」
まあここで唸っていたもしょうがないのは確かなので事実確認しに行こう。
ちなみにギルドとクランの違いと言うのは、運営やAINPCが管理しているのがギルド、ユーザーが作っているのがクランだ。とても分かりやすい。
そういうわけでぷらぷらとクソまずいレーションを食べつつ木工と鍛冶のギルドの方へと向かう。はっきりいってもう最前線に行くとか、トッププレイヤーになるとかいう気持ちはこれっぽちもない。いや、嘘だわ、まだそこそこある。
まあ理由はガンナーってところなんだよね。このゲーム、前にも言った通り運営が公式での攻略Wikiみたいな総合データを公開しているから全体の何%が戦闘で、生産なのかってのもチェックすればすぐわかる。で、ついにガンナー職は5万分の1になったわけで。
「まあ、納得の理由だけどね……ステータス失敗したらウサちゃん貰えないし、撃ち尽くしたら何にもできないうえに弱体化、銃剣作れても貧弱すぎるから心折れるよね」
歩きつつ公開データを見ながら独り言のように呟く。今までもちょいちょい見てたけど、課金してまでキャラ作り直す程のピーキー性能だし、これ本当はサブ職業とか本業の派生先で選択するのが正解なんだと思う。じゃなきゃエルスタンで銃弾販売するよね。
「で、その固定ダメージを使う為とんでもなく遠回りしてるわけだけど」
防具すらつけずにM2ラビットだけ装備してるのも今じゃ誇らしい。っていうか防具付ける重量余裕がないってだけなのだが。これも調べてというかやってて分かったことだけど、ガンナー用の防具は基本的に魔法職と同じカテゴリーの軽装とかローブが中心なのだが、専用のガンベルトやアクセサリーが存在している。
で、それ自体がそこそこ重い、武器自体も重い。やっぱり聞けば聞くほど二次職とかサブ職が適正なんじゃね。
まとめると「超強い武器を持ってるけど重いから防具はないよ!」って事。
「だからってSTRに振るとDEXとAGI落ちるのよねえ、一撃が貴重だから命中率はなるべく高くしておきたいし、AGI落とすと取り回しに補正が入らないし……ステータス的にはいいバランスしてるだけ、本当に惜しい気がするわね」
ゲームバランスの調整って難しいのよね、非対称系の対人ゲームだと人数の多い方の声が圧倒的に多いからそっちに合わせていって、バランス崩壊してゲームが成り立たなくなってサービス終了するとか経験してる身からすれば、いい塩梅だと納得できる。
こういったMMOの場合は大体3ステくらいまでに絞って、あとは自分のゲームスタイルに合わせてが一般的かなあ、殴り魔とかタンク特化剣士とか結構遊び幅はあるんだけど。
そんな他ゲームの事を考えたりしつつ歩きスマホならぬ歩きメニューをしているうちにまずは木工ギルドにたどり着く。
「えーっと、ショップは……あれ、木炭売られてるじゃん」
品揃えのメニューリストを確認していくと普通に売っている木炭。そうなると鍛冶ギルドに行けば硫黄と硝石も手に入るのか?本当は序盤でも銃弾とか火薬を作れる方法は確立されていて、しっかり調べないと見つからない仕様だったり?だとしても錬金とか調合が出来ないと火薬は作れないし、薬莢と弾丸と雷管までしっかり作らないと銃弾が作成できないから、難易度は高いのは確定だけど。
「でもまあ、買うって発想はないのよね、自分で作れればタダなわけだし。もう作る気満々で揃え始めてるわけで、ここで買ったらそれこそ負けだよね」
何より木炭1個5,000Zもするし。
「ま、今回の狙いはこっちだけど」
メニューのタブを切り替えて道具類の方を確認。ちょっと前にも見て鋸買ったけど。ちなみに鋸自体は木工するための最低限装備、もうちょっと良い物には名前とか装備にレベルが付いてくる。で、探していったら普通に伐採斧あるんだわ、一本600Zで。
ちなみにクラフターとギャザラーの装備にはステータス制限はないけど、スキルレベルでの制限が付いてる。良い物はそれなりな経験を積んでから、順繰り成長しましょうって事なんだろう。
「序盤の600Zって結構高額よねえ……後になればなるほどはした金になるのはどのゲームでもそうだけど、このかつかつ感ってのは序盤ならではよね」
どっちにしろ準備したり道具揃えたりするのに金がかかるのは必然だし。こういうのを楽しむのがゲームだよね。
まあ流石に予想できなかったのは採掘用のつるはしが一本700Zで斧より高かった事なんだけど。
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