8話 アカメは木を切る
ガンナーから木こりにジョブチェンジ。
っていうか装備変えただけで、別にガンナー自体が変わるわけじゃないんだけどさ。
とりあえずエリア的にはエルスタンの北エリア1で伐採可能な木を探す。T2Wでの採掘や採取はここですよーと言った白の逆三角形のマークが付いている。これも世界観を崩さないように一定の範囲に近づかないとマークは出ない。その代わり探索済みのマップには採取のポイントはマークされるのでユーザーフレンドリーもばっちり。
後はもう、伐採ポイントに近づいて斧をがんがん振るだけで素材がインベントリに収納される。
名称:木材(雑木)
詳細:いろいろ使える
スキルレベルが上がるとスギとかヒノキとかいろいろと伐採できる種類が増えていくとは思う。例えばだがヒノキだと硬く、耐水にも優れていて、独特な香りがするとか、神社仏閣とかでよく使われている建材。スギだと日常生活で使うような物だったり、結構幅ひろく使える花粉症持ちの大敵とか。アオダモだとしなやかで硬くて軽いとかいうレーザービームで人類を滅亡出来る人が愛用していたとか。木材でもいろいろと用途とか特性が違う。
予定の銃床に関しても堅い木材、例えばクルミが適していると言われている。まあ現実的にはプラスチックとか合成樹脂があるけど。もう一つ狙っている木炭に関しては白と黒の違いがあるのだが、そこまで厳密にはなっていないと思う、狙い所の木材はクヌギだ。
「時間と気力で素材を集められるのはいいね、いっぱい集めておこう」
低レベル帯と言うか、素材狙いとレベリングしている戦闘音ばかり響いているフィールドで一人だけ伐採の音を響かせる。与作でも入れてくればよかった。まあ基本的にBGMとかはないんだけど、戦闘音とねず公の甲高い悲鳴音が響いてくるとテンションちょっと下がるよね。
「木炭って錬金になるのかなあ……銃床とかは木工で作成するのは分かるんだけど」
ぶんぶんと斧を振るって素材を集め続ける。ちなみにマーカーが出ていない木を伐採しても取得できるものは別になく、木が倒れるだけですぐにリポップする。伐採できる木に関しては他ユーザーとの競合を避けるために個別に設定されており、伐採しつくすと何も取れなくなるだけ。こっちも時間経過でマーカーが復活してまた伐採できるようになる。
こういう、ゲームって感じの部分をたまに思い出させてくれる感じの仕様って快適。ゲームやってんのにリアルタイムめちゃくちゃかかるとか悪だよ悪。
「ふーい……肉体的には疲れてないんだけど、やっぱ精神的に疲れるのかなあ」
汗をぬぐう動作をしながら一息。インベントリの画面を開き木材の個数を確認する。ゲーム時間で2時間程度で大体50本の木材を入手できている。全部雑木だけど。
「結構伐採したけどSLvあがんないのよねえ……ちゃんとした名前付きのじゃないと経験値少ないっぽい?」
戦闘しない分だけ必要経験値が多いっていう可能性もありえるのが、このゲームだけど。とりあえず1スタック分採取したら戻ろう。
そういえばインベントリの仕様だけど、基本的に枠自体は無限であり、データ化されている。今更枠がどうこうとかナンセンス。スタック数は1枠99個だが装備は1枠1個の括り。別にデスペナでアイテム全部ばらまくとかそういうのはないし、この辺はヌルゲーとか言われそう。
部屋の掃除と収納はすっきりしておきたい派だし、アイテム倉庫とか自前で手に入れる事もできるとか言われてるけど、今の所解明されてないからギルドに行って余計なものはとりあえず突っ込んでおくのがベターっぽい。
「銃のためならえんやこらっと」
SLvあがんないねーとか思いつつ目標であったスタック99個を採取したらトンボ返り。生産時の場所の制限はないのだが、基本的にはギルドでやる事でボーナス判定が付くとのこと。これもゲームの流れを良くするシステムな気がする。各々の生産ギルドで同じ業種が集まるから、そこで情報交換なり、目的のものを作る人を探したりできるので余計な探索をしなくて済むという点では、だけど。
「スキル2の枠はポイント消費いらないから純粋に経験で上がるとは言ってたけど、まあそんなにぽこぽこ上がらないよね」
木工ギルドのあたりまで戻り、インベントリでスタック99個の木材(雑木)を見てから一度ログアウトする。やっぱり精神的に疲れるので小休止というのは大事。
「ぷは……やっぱ単純作業疲れるわ……」
HMDを外し、ベッドに腰かけてからぐいーっと伸びをする。T2W開始してから8時間程経ち、時計は16時指している。ゲーム内はリアルタイム×4時間なので32時間経過してる。
「夕飯食べるには早いし、仮眠っていうか寝るのも微妙な時間だし、調べ物してもっかいログインしとくか」
タブレットで木炭の作り方を調べ、ついでに今後のToDoリストも更新してHMDに読み込ませる。あ、ついでに木こりと言えばのあの曲も入れておいた。っていうか何で私この曲持ってたんだろうか。
買っておいたカロリーなメイトを間食の様にむしゃつきながら、改めてその美味さを感じる。
「んー、快適に過ごすなら料理系にも手をだしたいなあ。あとは露店とかのシステムも確認しないと、ってかなんでもかんでも調べてあれやりたいこれやりたいは方向性がぶれるからよろしくないって」
そう、まずは木炭を作る事。ストックは木材さえあればどうにでもなるので、ルートとしてこうなる。
木材→木炭→採掘(硫黄硝石) →錬金or調合→(黒色火薬)
↓ ↓金属採掘 ↓
銃床 鍛冶(銃身弾丸薬莢)雷管
「やっぱりポイントは火薬と鍛冶かなあ、雷管周りはネットで探しても結構必要なものが多いし、リアルみたいに先込めから技術発展するのがいいか」
ただ何故だか知らないが銃弾を作れるというのはある意味で確信している。だってわざわざ弾を自作出来るとか書かないし、ウサ銃(M2ラビット)のモデリングがガチすぎるもん。
「こう考えるとガンナーっていうかガンスミスよね、やってる事……あー、銃撃ちたい」
ここで別のゲームで銃を撃つのもちょっと気が引ける。快感ってのは我慢すればするほど気持ちよくなるし。自分で作った銃とか多分泣けるほど感動すると思う。
「んー……何かもうちょっと悪い予感したけど、これ本当は銃弾一切売られてないんじゃないか?βってテストではあるけどある意味先行お試しみたいなもんだから十分にあり得るよなあ」
運営が開示しているデータと改めて銃弾のデータを確認して、ふと思う。
名称:銃弾
詳細:『銃』に使う専用弾 特殊効果無し 非売品
「非売品なんだよねえ……売られているって情報があればショップ価格が開示されるらしいけど、トッププレイヤーでも見つけてないって事だし」
手間考えたら一発10,000
「とりあえずログインして木炭かなあ、ただ錬金窯で木炭ってのもなんか違う気がするけど」
もしゃもしゃとメイトなカロリーを食べきり。軽くシャワーを浴びてからベッドに寝転がり、再ログイン。
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