空に浮かぶ黄色い月、地平線に浮かぶ真っ赤な月、その月たちを交互に見る。






ハルー


「外の世界でも、月たちは同じに見えるんだな…エリー、俺は…なにしてんだろうな?」








タヌミュー


「ミュー。」








ハルーの独り言をタヌミューだけがじっと聞いていた。










………






ガザ。






ハルー


「誰だ。」






ハルーが音のした方に、向きを変え剣を構えた。






そこには、一匹の狼がいた、月明かりのせいか毛色がシルバーに見えた。






ハルー


「…犬か…」






「犬ではない、狼だ。」






ハルー


「ぐへ、犬が…喋った。」






「だから、犬ではない、狼だ。」






ハルー


「魔物か!?」






「…お・お・か・み・だっ。」






ハルー


「普通狼は喋らないんだぞ、やっぱり魔物か?」






「アホなのか?


只の狼だそれより、人間よ今すぐここから立ち去れ。」






ハルー


「え、でも夜だし危ないよ…」






「いいから、立ち去れ、そもそもこんな場所に人間がいるとは、私の考えが足りなかったな。」






ハルー


「狼さん、何かあったのかい?」






「奴らを追っている…只、それだけだ…忠告はしたぞ、私は奴らを探す、できる限り早く消えろ。」






狼はそう言うと茂みの中に消えて行った。








ハルー


「ビックリしたな、タヌミュー犬が喋れるならお前も話しが出来るんじゃないのか?」






ハルーはタヌミューをつっついた。






タヌミュー


「ミュー。」






ハルー


「直ぐにって…エリー怒ってたからなー起こすの怖いなー、どうするタヌミュー?」






タヌミュー


「ミュー。」






タヌミューは知らないと言いたそうに空を泳いだ。






ハルー


「あ、逃げたな。」

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