第10話 取り囲むモノ

 これは私が子供の頃、母の身に起きた事です。


 ある日の夜、夕食が終わった後、私と妹と父で出かけました。


 どこへ行ったのかよく覚えていませんが、長い時間外に出ていなかったので、おそらく近所のコンビニへ向かったのだと思います。


 その間、母は家で留守番をしており、布団の上で横になりながらテレビを見ていました。


 しばらくすると、母は急に気分が悪くなったそうです。


 トイレに行こうと思ったそうですが、すでに金縛り状態になっており動けないし、声も出なくなっていました。


(あー、ヤバイな。どうしよう……)と思っていたら、家の扉が開く音がしたそうです。


 家族が帰ってきたんだ、と母が安心するのも束の間、入ってきたのは、私達ではなく、謎の集団でした。

 

 謎の集団は玄関から真っ直ぐ寝室へやって来ると、布団の上で動けなくなっている母を取り囲んだそうです。


 集団は母に何かする訳でもなく、ただ立ち尽くすだけでした。

 母はもう、怖くて目が開けられませんでした。


「ただいまー」と、父の声が玄関から聞こえてくると、謎の集団は消え、金縛りも嘘のように解けました。


 寝室に行くと唖然とした、母がいたのを覚えています。

 


 

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