ひとりぼっち
「この世界は第3の世界じゃ。非日常の世界と呼ぶ者もおる。
おぬしは長い間、人間界にいすぎた。少し休むがよい」
「休むって…何なんですか?ここは」
僕はおかしくなったんだろうか。
この状況を受け入れているのか。
もう別に、人間の世界で生きていかなくてもいいんだと思うと
気が楽になったのは何故だろう。
「もう家族もおらんじゃろ。
こちらの世界で悠々と暮らせ。人間界とのやり取りは
専門のやつがいる。そやつに任せておけばよい」
両親はもう、とうの昔にいない。
もちろん兄弟もいない。
都会の中にある小さな部屋で、一人で暮らしていた。
暗い、どんくさい、汚い、臭い
イライラする、目障り、使えない
消えて、空気読めよ、なんでできないの
うざい、役立たず、女々しい
そんな言葉を浴びるのはもう嫌だ。
「そんなことはどうでもいい」
この生き物も、僕の考えていることが分かるんだろうか。
頭の中にある黒い渦をかき消すように
カサカサとした声が僕の思考を止めた。
「この世界は非日常の世界。ろうそく屋、お主が必要なのじゃ」
そう言って
彼は1冊の本を僕に差し出してきた。
「ばあちゃんの、日記…」
diaryと書かれた古いノートには懐かしい文字が並んでいた。
僕は夢中でそのページをめくる。
どれだけ時間が経ったのかわからない。
気が付くと、日が落ちて辺りは真っ暗になっていた。
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