うわさのいえ
薄暗い部屋の中。
普段は心地の良いろうそくの灯りが薄気味悪く感じてたまらなくなり、
立ち上がって蛍光灯のスイッチを入れた。
ジジ、と小さな音がして無機質な明かりが部屋を照らす。
何も変わらない汚い部屋だ。
曇った鏡には僕が映っている。
明るさは少しだけ僕を安心させてくれたが、
急に風の音が気になり始めて窓から外を見た。
いつの間にか雪が降っていて、外は吹雪になっている。
今日はもう暖かくして寝るか…
僕は部屋の灯りを落とし二階にある寝室に向かった。
この建物は古い。
どのくらい昔からこの場所にあるのかわからないが、
静かな山の奥にある2階建てのログハウスだ。
元々この辺りは別荘がたくさん立ち並び、
温泉などもあるため栄えた時期もあったらしい。
今は頼りの温泉もなくなり、別荘地から人は消えた。
廃墟のような別荘地帯を抜けて、
森の奥へ続く一本道を進むとこの小さなログハウス風の山小屋がある。
そんな過疎地のさらに山奥にある家のため、
怪しい噂がついて回り、僕はよく「魔女の子供」とバカにされた。
あの山奥の小屋には魔女が住んでいる。
僕は昔、ただ座っているだけで魔女のにおいがすると煙たがられ
魔法を使ってみせろといじめられた。
おばあちゃんは優しかったが、
時々ろうそくではない何かも作っていて少し怖かった。
だから、みんなに言われたことを話す気にはなれなかった。
あの時におばあちゃんが見ていた本はまだ下にあるのか…
そんな事を考えながら眠りについた。
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