第9話 オプティムス・プリンケプス
「メシヤくん、そもそもあなたが世界の首脳たちから耳目を集めることになったキッカケは、小学生の頃から始めていた個人ブログですよ」
レオンがメシヤに切り出す。
「ああ、あれね。誰にも内緒でやってたんだけどさ。ただ、アクセス数がほとんど無くて、見てる人いるのかなっていう」
メシヤはやや脱力して答える。
「いますよ、ちゃんと。メシヤくん、あなたは時間旅行に関する雑記を書いたことがあったでしょう? あれがマズかった。いえ、着想は素晴らしかったのですが、あの内容が世界に広まっては困る連中がたくさんいたのです」
「ひょっとして、超多時間論についての記事かな?」
「はい。友永博士のものとは内容は異なりますが、あれは世に出るには早すぎたのです」
「別に大したことは書いてないけどなあ。個々の細胞・原子レベルでそれぞれ違った個別の時間が流れているんじゃないかって仮説だけど」
「充分です。これなら、同じ10年・20年を過ごした人たちに、若さの違いが出ることが説明できます」
「う~ん、でも時間旅行が出来るっていう結論は結局出なかったけどね」
「長く若さを保つことが出来れば、それだけ時間を旅行したも同じですよ。いずれ、本当に時を超えるアイデアも思い浮かぶかもしれません」
メシヤが考え込んでいる。上目遣いにレオンをうかがう。
「その日からメシヤくんのサイトへアクセスすることは、一部の人間を除いて出来なくなりました。前から閲覧していた人たちには、閉鎖したのだろうと思われていたはずです」
「あれ書くの結構苦労してるんだけど、それは残念だね・・・」
メシヤは肩の力を落とす。
「そんなことはありませんよ。私も、そしてロックフォーゲル大統領も、見ていましたから」
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