今回の古典:『大鏡』「肝だめし」
(抜粋)
さるべき人は、とうより御
【現代語訳】
栄華を掌中にするほどの方は、お若いころから、ご胆力が強く、神仏のご加護も強いものらしいと思われることですよ。
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平安時代後期に成立したとみられる歴史物語『
あくまでも物語であり、語り手は架空の人物。ふたりの
書名は作者その人の命名ではなく、のちの人によってつけられ、その呼称例を概観すると、三種類に大別できる。語り手の名による呼称(世継が物語、世継の翁の物語、しげき世継の物語)や大鏡を含んだ呼称(大鏡の巻、广訶大円鏡)、そして、それら両方の要素をあわせ持った呼称(世継大鏡、世継のかゞみの物語)で呼ばれていた。「大鏡」の呼称は鎌倉時代初期には成立しているが、同じ建久年間でも、天理本に「大鏡」、『六百番歌合』に「世継の翁が物語」、また『袋草紙』に「世継物語」とあって、同一書名で呼ばれていない。「大鏡」の名は作品中一度も見えないが、「鏡」の語は、帝紀を語り終えた箇所に見える。
世継の明確な話を「あかく磨ける鏡」と称賛し、繁樹が「あきらけき鏡にあへば過ぎにしも今ゆく末のことも見えけり(明るく澄みきった鏡に向かうように、歴史に明るいあなたのお話をうかがいますと、過ぎ去った昔のことも、これからのちのことも、はっきり映って見えることです……歴史の真実が明らかに見えることだ)」という歌を贈った。
鏡から「大鏡」の名称に変じた過程については、四鏡のひとつで『
本章にある「(十一)掻き垂れ降る雨の夜」のタイトルは、上記にあるとおり、道長たちが肝だめしをする場面からの引用である。このあとに三人は、帝の勅命により道順や出口を別々に決めて、
そして道長は帝に、小刀と、削り取ったものを
最後に、いまもって大極殿の削り痕は鮮やかに残っていると、このエピソードは締めくくっている。これが実際あった話とするなら、
…………。
……。
参考文献:
☆小学館『新編 日本古典文学全集34 大鏡』校注・訳者:
☆小学館『
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