第96話『M資金・33 ラスボス・2』

魔法少女マヂカ・096  

『M資金・33 ラスボス・2』語り手:ブリンダ 






 スーパーマンというのは、こういう作り笑いだけで、本当に笑ったことなどないのではないかという気がした。


 

 しかし、考えている暇は無かった。


 シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 アハハ アハハハハハハハハハハハハハハ


 シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 アハハ アハハハハハハハハハハハハハハ




 交互にヒートビジョンとスーパーブレスが繰り出され、その合間に、狂気の哄笑が放たれる。いかに優秀な高機動車であっても、こいつを喰らってはもたないだろう。


 スーパーマンの身にまとい付くように飛べば、反撃のきっかけを掴まえられるかとアクロバット飛行を続けるが、攻撃姿勢をとる暇もない!


「なんとかしろ、アリス!」


「だめだ、鏡の中で目を回している!」


 アリスは、気絶してしまって、高機動車が揺れるたびに二つのサイドミラーとルームミラーの中で振り回されている。


「くそ! わたしが制御するから、隙を見てパルス砲を撃て!」


「この揺れの中でできるのか?」


 先のロデオでも、勝ったのはオレだ。しがみ付いているだけで、牛と癒着合体してしまったマヂカにできるのか?


「その癒着の勢いでやる!」


 何事か呪文を唱えたかと思うと、マヂカは背中と尻の部分でシートと合体した。


「これなら、いける!」


「Here we go!」


 マヂカは捻りこみながらスーパーマンの死角に回り込む!


 背中から腋の下! 首の下! 後頭部! 背中! 股間! 膝の裏! 足の裏!


 その間にヘッドライトのパルス砲を発射!


 グヌヌヌヌヌ……チャージが不十分だ。


 パルス砲は0・2秒ほどのチャージが必要なのだが、そのチャージが十分にはできない。


 ハーフチャージでトリガーを引くが、威力は半分。さらに、射撃時間も一瞬しかとれないので、威力は、さらに半分になる。 


 シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 シュビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 ズボボボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 アハハ アハハハハハハハハハハハハハハ


 

 クジラに水鉄砲で向かっているようだ……しかし、諦めるわけにはいかない!



「マヂカ! 急所に向かえ!」


「ラジャー!」


 グィーーーン


 高機動車はスーパーマンの尻の方から股間に向かった!


 今だ!


 カキーーーーン!!


 なんとかフルチャージで発射、急所に命中、わずかに巨体が震えたような気がしたが、次の瞬間危機を迎えた。


 フン!!


 スーパーマンが勢いをつけて股を締めた!


 危うく股に挟み潰されるところを脱出。大きく背中に回り込もうとしたが、動きを読まれてしまって、敵の胸板が迫って来る。


「まずい、叩き潰されるぞ!」


 アハハハハハハハハハハハハハハハハハ


 哄笑とともに両手が打ち合わされる気配! 薮蚊のように叩き潰されるううううううううううううううう!!


 思わず目をつぶった瞬間。



 ズゴーーーーーーーーーーーン!!



 前方、スーパーマンの顔のあたりで核ミサイルが落ちたような閃光が走った。


 我々を叩き潰そうとした両手が顔を覆い、敵の動きが乱れた。


「今だ!」


 高機動車は、捻りこみをかけてスーパーマンの巨体から離れた。


 


 スーパーマンの肩越しに、特務師団の高機動車北斗の姿が見えた……。




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