第2話 相談員山を登る

活力エナジーの魔法で昼夜を問わず馬を走らせ、王都から5日後、ルイスはようやく搭があるライサー山の麓に辿り着いた。

走りっぱなしだった馬は、幾度目かの活力エナジーの効果が切れると同時に息を引き取った。

ルイス自信も活力エナジーで休むことなく馬に乗り続けた為、股ズレが酷く、ふらふらだったが、まだ山に登らないといけない。


「よく、頑張ったな」


ルイスは動かなくなった馬に別れを告げると、鞍から登山道具や食料などの入った荷物を下ろし、山頂に雲がかかった険しい山を登り始めた。

すでに辺りには雪がうっすらと積もり、山頂付近は登山道具がないと登れないだろうと予測していた。


ルイスは魔術師だったが、冒険者としても活躍していたので、登山はお手のもののはずだったが、なにしろ数年ぶりの登山で、おまけに股ズレが酷かったので、幾度となくヒーリング・ポーションで傷を癒し、活力エナジーの力でなんとか登っていた。


途中、オーガやフェンリルなどと何度か遭遇したが、それはルイスの魔力の前では倒すのは困難では無かった。


山頂付近になると、雪が降り積もり、吹雪いていた。吹雪の中、防寒具と寒冷防御プロテクト・コールドの呪文で対策をしながら鋲付きブーツとかなてこ、ロープを使って山を登り、数時間後、ルイスは雪まみれで塔の扉の前に立っていた。


吹雪の中でも目立つ緑のクリスタルボールを触ると、重い扉が開き、暖かい空気がルイスを歓迎した。


暖炉のある応接室で、すでに湯気が昇る紅茶がテーブルに置いてあった。


「歓迎ありがたく存じます。私はルイス・ボイス。王立療養所の魔術師です。本日は……」


「かえれ!!!」


ルイスが言葉を終える前に、怒鳴り声が響いた。


「飲んだらかえれ!!!」


この声は、確か数年前に魔術師会議の時に聞いた覚えのある、タイロスの声だ。

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