剣豪モノのエッセンスを引いている、、のか?

本文はレビューではありません。最後まで読んでの感想です。

本作は少年剣士の必殺剣が悪を切り裂く! 的な明瞭なコンセプトで気楽に読めてときおり痛快であり、自分は気に入って読んでおりました。
そんなわけで読み進めていき、最終章に入るとのことで残念ではあるが、まあ物語が結末を迎えるのは当然であるし、いたしかたないな、と思っていたのでした。

ですが読者としておそらく一つだけ疑っていなかった(単に思い込んでいただけなのですが)ことがあります。ハーク少年とその一行が、この物語が結末を迎えた後も、今まで通り、この作品世界の中で人生を続け、旅を続けるということです。

(剣豪として認められつつも、英雄としては遇されなかったであろうムサシっぽい前歴のある)主人公が、世界をかえて英雄として認められ、よき人生を送るところには、ちょっとした救いがあったんですよ。
物語が終わっても、その人生が続いていくと自分は信じていたのです。
10年後にモログと再戦してもいいし、100年後にヴィラデルに挑戦されるかもしれない。そういう想像ができる終わり方になると思っていました。

なので、この結末にはとまどっています。受け入れがたい感じがあります。龍人となってしまい、ハーク少年としての人生とは程遠いところに来てしまったという結末。もはやかつての知己と再会することすら躊躇う、ハーク自身の寂寥感がわずかな救いではありますが。

せめてこれが、剣を極めた末の昇華により上の階梯に上がったというなら、まだしも理解できるのですが、敗死を回避するために、やむなくなってしまった。龍人に成り果ててしまった。そして、決着においては剣をふるうことすらしない。

どうしてこうなった? というのが、率直な感想です。続くとのことですが、どういう顔をして続編を見ればいいのかわかりません。