第30話:最終話 Still My Heart is Blazing

501 最終話での主要人物紹介




・ハーク

 この物語の主人公。本名ハーキュリース=ヴァン=アルトリーリア=クルーガー。モーデル王国南西部の森都アルトリーリア出身のエルフ族であり、外見はまだまだ少年。エルフ族は成長速度が人間種の中で最も遅く、内面もそれに準ずる速度で成熟する(とはいえ、長い年月による経験の差により、ヒト族などの外見年齢と全くの同等ではない)。

 ところが彼の場合、日ノ本と呼ばれた国に江戸期まで60余年を生きた経験と知識、そして記憶を有しており、精神的に老成の域に達していた。ただし、前人生の名前に関しては憶えておらず、これに付随する記憶も連動する形で失っていることから完全ではなく、更には、入れ物というべき肉体に引きずられて、だんだんと精神的にも若返ってきている。

 また、彼は圧倒的な近接戦闘能力を備えており、これを自身がかつて思い描いた天上の頂にまで高めようと努力し生き抜いてもいたのだが、実は現在、あまりこだわっていない。それが果たして、到達する方法に対して確信を得たからか、それとも他に成し遂げたい大切な何かを発見したからなのかは、彼自身にも未だに分かっていない。




・虎丸

 ハークの唯一無二にして最高の相棒。種族は精霊獣ビャッコ。ハークに付き従うことを生きる指針とし、彼の意思を尊重し、共に力を尽くし合う存在である。両者の関係性は、もはや連れ合いと言ってもいいかもしれない。また、最近はハークの身だけではなく、妹分ともいえる存在の日毬や、既に1年以上パーティーを組んでいるシアや、当初は敵としての認識しかなかったヴィラデルに対しても、徐々に仲間意識を育んでいる。ただし、主こそが最も大切な対象であることに変わりはない。

 前身となるフォレストタイガーであった頃からスピード特化型であったことに嘘偽りは無いが、進化とともにレベルアップも重ねた現在の彼女の速度は超特化型の枠にも収まらず、速度能力だけで換算すれば今や世界屈指である。攻撃力の面においては人間種の枠を飛び出しかけているハークと組めば、もはや倒せぬ者は無しとまで言える、のかも知れない。




・日毬

 ハーク第2のお供。新種の精霊種、エレメンタルシルクモス。最古龍さえも脅かす強大な魔力の持ち主。更に種族的なSKILLによって形態変化を行い、飛行特化、近接特化、防御特化、そして普段の魔力特化の計4形態を成す。非常に万能性に優れた潜在能力を宿しているが、戦闘経験に乏しい。彼女は前身たるグレートシルクモス種であった頃から先祖代々数多の記憶、並びに近しい存在(サイデ村の人々とその巫女ユナ)からもある程度の記憶を受け継いでいるが、その全てが戦いに全く向いていないために、未だ活かせていないのが現状である。

 他にも多種多様な種族SKILL、同調能力に先読み能力等々を備えている。日毬は生まれてからもうすぐ1年であり、その精神は幼いまま。しかし、ハークのためにそれらの全てを使う日が来ることを既に知っている。




・シア

 本名はスウェシア。シアは愛称である。種族はジャイアントハーフ。ただし、彼女自身も知らないことだが、実際には混血児ではなく先祖返り。戦災孤児で、年齢は21歳。女性ながら体格に優れ、戦士としての才能を持ち、これを発現させた。更に有能な鍛冶師としても活躍中で、ハークのメインウェポン『天青の太刀』は、同じ古都ソーディアン出身のモンド=トヴァリとの合作。そんな彼女の名は今や王国中に轟きつつあるが、実は不器用であり、特に刃物の扱いは壊滅的。鍛冶師としての腕前は全て長年の努力の賜物。ただし、徒党を組んだ経験が少ないためか、逆に発想が柔軟で奇抜。これにはハークの影響もあることだろう。ヴィラデルと組み、『法器合成武器』なる新しい武器カテゴリーも誕生させた。

 ハークとはまだ1年余りだが、人間種としては最も彼に近く、そして共に戦ってきた仲間同士である。




・ヴィラデル

 本名はヴィラデルディーチェ=ヴィラル=トルファン=ヴェアトリクス。年齢はもうすぐ400歳だが、外見年齢はヒト族とすれば20代後半程度。砂漠にある砂都トルファン出身のエルフ族で、モーデル王国の出身者ではない。エルフは人間種の中でも最も魔法適性が高いが、彼女はその中でも抜群の才能を秘めていた。レベルアップを重ね、上位クラス専用スキル『戦魔導士の知恵ザ・ウィズダム・オブ・ティアマトー』まで得た彼女の魔法戦闘能力は今、人間種では破格と評価でき得る領域にまで到達しようとしている。

 ハークとは出会い方が最悪で(なお、ヴィラデルにとっては最初の、ではない)、その後も互いのすれ違いにより敵対とまではいかなくとも当初はそれに近い状態であった。幾度かの共闘を経て、今は仲間として戦友と言える関係にまで回復している。

 ハークを含めて本当にごくわずかな人物しか知らないが、ヴィラデルは世界最強になるという見果てぬ夢を持っている。もし、ハークと別の形で出会っていれば、もっと親密な仲になっていた可能性もあったかも知れない。




・モログ

 3メートルを超える巨体に、防具としては役に立たぬほど薄い鉄板で作られた無骨な角つき兜に紅いマント姿。その下はリストガード、革製のズボンに赤のブーツという奇抜な服装ながら誰よりも尊敬される、モーデル王国どころか大陸一高名な冒険者。人間種最強とも認識されており、個としての戦闘能力は完全に群を抜いている。ハークですらも1対1であるのならば余程の幸運が味方しない限り勝てぬ相手。

 性格は非常に大らかで、泰然。弱者救済を旨としており、特に子供に対しては常に最善を尽くすべく行動する。ゆえにその強さと共に彼に憧れる者は数知れず、帝国で出会った獣人族の少年レトもその一人。

 知る者は少ないが、ミノタウロスハーフという特殊な種族。兜の角は自前のものであり、眼は虹彩ばかりで白目の部分はほぼ無い。ミノタウロス族は他の人間種であっても交流を全く持たない排他的な種。そのため理解されることが無いとして、偏見から自らの活動を阻害されぬようにと常に兜をかぶっている。モログ自身にも成し遂げたい人生の最終目標があり、ハークと共に帝国へと訪れたのもその一環である。




・ランバート

 本名ランバート=グラン=ワレンシュタイン。モーデル王国内で帝国に最も近い領を治める辺境伯。武の天才であり、誰からも頼りにされる人物。ハーク達であってもこれは例外ではなく、ランバート自身もハーク達を頼りにしている。




・アルティナ

 本名アルティナ=フェイク=バレソン=ディーナ=モーデル。現モーデル王国の女王。1年の間ハーク達と共に戦ってきた仲間。彼女の中でその気持ちは今も変わってはいない。




・リィズ

 本名リィズ=オルレオン=ワレンシュタイン。ランバートの娘で女王アルティナの第一の腹心。アルティナと共にハーク達の仲間であった。そして今も彼を友として敬愛し、師として尊敬している。




・ウルスラ

 本名ウルスラ=ウル=バアル。バアル帝国現皇帝の実の娘。しかし、実子認定はされず、帝国の研究施設に監禁され、そこで非人道的な実験の被験体となっていた。目的は最高権力を欲しいままにする専制君主や独裁者が必ずと言っていいほど求める不老不死の研究であり、言わば、皇帝の遺伝子を半分持つ研究対象を得る為に皇帝自らが生産したに過ぎない。帝国の内情を知る為に研究施設内部に侵入したハーク達に成り行き上助け出され、ハーク達パーティーメンバーのバアル帝国と皇帝への嫌悪と憎悪を燃え上がらせ、以後、短期間だが行動を共にするようになる。十歳程度の幼い外見に反して、過酷な実験にも耐えられるようにかなりのレベル上げが施されている。悲惨な環境で育てられたにも拘らず、やや人見知りで臆病ながらも優しく他者を気遣う少女。ヴィラデルに魔法を教わったことをキッカケにして、魔術師としても後に大成して回復魔法も習得することとなるが、まだそれは先のお話。




・レト

 ウルスラと共に帝国の研究施設に捕らえられていた犬型獣人の少年。歳の頃が近かったが故に、ウルスラと仲良くなり、助け合って生きてきた。不老不死目的のウルスラの研究とは違い、レトの場合はより強い兵士を作成するための実験を施されている。そのため、先祖返りかの如く変身能力を有し、ライカンスロープ形態となることが出来るようになっている。戦闘能力が高く、ハーク達が施設に侵入した混乱に乗じてウルスラと共に脱出しようとしてハーク達一行と鉢合わせをし、モログに手を出したことで軽く返り討ちになり、成り行き上、共に施設を脱出した。

 男子らしく生意気なところと、ウルスラを守ろうと気を張る余り、ハーク達を警戒し、当初は露骨な態度を示して憚らなかった。しかし、根は素直で明るい少年であり、シンを思い出したハークや、モログ、フーゲインらに可愛がられ、モログに僅かな間だが師事することになる。現在はウルスラと共にフーゲインに連れられ、ランバートが治めるワレンシュタイン領へ移動した。




・イローウエル

 バアル帝国宰相。3人の忠実な同志、並びにユニークスキルを持つ人物を1人抱えている。




・テイゾー=サギムラ

 『異質技巧研究所』(本当は『遺失技巧研究所』)の所長。ユニークスキルを持ち、キカイヘイを造り出し、ウルスラとレトに過酷な人体実験を行った張本人。




・クシャナル

 元帝国13将の1人。元々は傭兵で、彼なりのアプローチで剣の道を極めようとしていた。ハークに敗れ、帝国についていく意味を失った彼は、同僚と共にモーデル王国ワレンシュタイン領に亡命する。




・ロルフォン

 元帝国13将の1人。古参の武人であったが、モログに完膚なきまで敗れ、そのすぐ後に同僚のクシャナルに誘われたことから、家族を守るためにも彼と共に妻と娘を連れて亡命することになる。少々脳筋なところはあるが、帝国人、特に帝国13将の中では数少ないマトモな思考を持つ人物。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る