第2話
ひやりとした冷気を首に感じて目を覚ます。寒いな。夏の朝とは思えぬほど冷たくなった部屋を見渡し終着点としてベッドに眠る少女、いや雪女、いや『冷』に目を向ける。
夢じゃないんだな。何度もした頬を抓る確認作業をしながら昨日の事を思い返す。
帰るまでの道のりをこいつはどう家族に嘘を信じこませるのか。そのことばかりを考えながら歩いていた。玄関を開け出迎えた姉が少し驚きの顔をこちらに向けた以外はこれといって問題もなく両親は冷を当たり前のように歓迎した。そういえば家に入った時、こいつ、手首に口を当てて何か囁いたあと息を吹きかけていたような。あれが人に嘘を信じこませる術か何かだったんだろうか。気になって眠っていることを確認し、細く小さな簡単に壊れそうな手にそっと触れる。冷たい。あまりの冷たさに思わず手を引っ込める。自分の手が凍っていないかと確かめたあともう一度、挑戦する。綺麗だ。思わず見とれてしまうが直ぐに正気に戻ってゆっくりと袖をめくり手首を調べる。
なんだ。何も無いじゃないか。そう思ってがっかりした洋次の目に何かが止まる。
「あれっこれって」
ぱっと見ただけでは分からないがよく見ると手首に少し光るものが見える。そうっとそれに触れてみるとそれは透けるように透明な腕輪だった。
「これか。昨日のは。よく見ないと分からないな」
謎が少し解けほっとしたのもつかぬ間、『パキッ』と嫌な音がする。
あれっと思い指輪から手を離し指先を見ると白いものが目に入る。
「なっっ……まずい」
慌てて部屋を飛び出し、階段を転げ落ちるかのように降り、洗面所へ飛び込む。急いで蛇口をひねり指を溶かす。幸い見た目こそ危なく見えたが大したことはなくほっとするも自分の好奇心が起こした問題であるのも忘れ冷をたたき起こす。
「おいっ起きろ」
「あっおはようございます。朝ごはんですか?」
冷の腕を掴み声を荒げる。
「そうじゃないだろ。こんな危ない物つけてたなんて聞いてないぞ」
少し間を置きうれしそうに冷が答える。
「触ったんですか?すごいですよ。普通の人なら呪いで一瞬にして凍りつくのに。さすが私の許嫁ですね!あっ私が寝てる間に触ったってことは夜這いですね。洋次さんむっつりってやつだったんですね」
さらっとおそろしいことを……夜這いは無いにせよ、まぁ聞いておくか。
「ところでもし凍っちゃたらどうすればいいのかな?」
「それなら安心して下さい。これは普通の氷と違うのでちゃーんと生きていられますから。標本状態ですけど……」
「いやそれ安心できないからな。それちゃんと溶けるのか?」
「ええ氷ですから、私が呪いを解く息を吹きかければ」
つまり全てこいつの機嫌次第ってことか。洋次は一つ疑問に思う。
「俺の指、お前に頼んで無いけど溶けたぞ。どうしてだ?」
「さぁ?おかしいですね。凍りづけになるはずなのに」
心なしか残念そうに聞こえるが気のせいだろう。結局その答えはドアをノックする音により分からずじまいだった。
「二人共、ご飯よ。早く顔を洗ってらっしゃい」
母の声に適当な返事をしいつものように着替え始めた所で大事なことに気がつく。
「そうだ。お……」
言いかけて絶句する。目の前ではなんのためらいもなくパジャマを脱ぐ姿を晒す冷がいた。
「まてっお前、人前で脱ぐな!」
その言葉に冷は「洋次さんの前だけですよ。洋次さん昨日、まじまじと私の裸を見てたじゃないですか。てっきりお好きなのかと」
「あれは別にお前の登場の仕方に驚いていただけで別に裸を見てたわけじゃ……」
「あれ?私のでは物足りなかったですか?」
「いやそんなことは無いが」
「やっぱり見たいんですね。むっつりさんは」
「からかうのは勘弁してくれよ。まいったよ」
「あれっ?分かりました?」
起きたばかりだというのにすでに疲れてしまった洋次は降参の合図として昨日、姉に借りた冷の服を投げつけた。
「先に降りてるからな」
階段を駆け下り、洗面所につくと姉が濡れた髪を乾かしているところだった。
「あんた、さっきからドタバタと降りたり上がったり騒いだり朝から騒がしいわね」
「ごめん。ちょっとあってさ」
とりあえずこれ以上、疲労は溜めたくない。そう思い素直に謝る。
急いで洗顔を済ませリビングに逃げる。
食卓には父がいて食事をしながらテレビを見ていた。画面に目を向けると先日、ここから車でニ、三時間といったところだろうか。そんな近くも遠くも無い街で起こった宝石強盗のニュースが流れていた。
変な感覚だな。俺がこうやってのんびりパンをかじっている間にも強盗は逃げ続けていて、またどこかでは人が死んでいて、そのまたどこかでは誰かが銃を握りしめてて。そんなことを考えていた洋次を父の言葉が呼び戻す。
「洋次、夏休みだからって怠けるなよ。ちゃんと勉強しておかないと後で後悔しても知らないからな」
「はいはい」と気の抜けた返事をする洋次に呆れながら支度を済ませる。
「母さん、今日は遅くなる」
いつもの口癖をつぶやきながら父が仕事へ行く。
ほっとしたのもつかの間、冷が入ってくる。
「おはようございます」
「冷ちゃんおはよう。よく眠れた?」
「はい、よく眠れました」
料理をしていた母と挨拶を交わす。するとちょうど姉がやってきて冷に余計なことを聞く。
「冷ちゃん昨日、こいつに変なこととかされ無かった?」
「はい、お姉さま。大丈夫でした。ただ……」
「ただ?」
「私、覚悟はできています」
その言葉に母が喜びながら会話に入ってくる。
「あらっそうなの?良かったじゃない洋次。こんな可愛いお嫁さんが出来て。孫に会える日も近いかしらねぇ」
まずい。また俺の体力が減っていく。にやにやしながら目を向ける姉から目をそらし原因を作った冷を見るとすました顔で席に着いていた。
覚えてろよ。そんな顔で冷を睨むと怯えたような目をこちらへ向けてくる。
まったく、卑怯な奴だ。せめてもの抵抗にわかってるぞ。わざとだって。そんな顔を向けながらパンを頬張ることに集中する。
最後に残った耳を飲み込むと冷に話しかける。
「今日俺はみんなと宿題の続きをしに昨日の公園に行くけどお前はどうする?」
「勿論、ついて行きます」
「でも、大丈夫か?お前、溶けてなくなるんじゃないのか?」
「その通りです。そんな時こそコレの出番です!」
そう言って取り出した物に洋次は顔を覆うしか無かった。
「今日は間に合ったみたいだな」
息を切らしながら洋次は先に着ていた速水と飯田に話しかける。それに気がついた飯田が話しかけてくる。
「おう、って後ろにいる女の子は誰だ?っというより何だよそのでっかいクーラーボックスはよ」
「のっ飲み物だよ。ほら暑いだろ?」
まだ朝だというのに汗が吹き出る。
「わざわざみんなのまで買ってきてくれたのか。ありがとな。でもでかすぎないか?」
「これしかうちになくてな」
冷が入っていたものだ。普通の人間が入れるような大きさで無いにせよ大きい。冷はよく入れたなと感心しながらもここまで中に入れて担がされた身としては十分に重さを体感できた。後で文句を言ってやろうと思いつつ飯田と速水に冷を紹介する。
「俺の親戚だ。大神冷。事情があって今度、こっちの高校に転校してくることになってな。うちで預かる事になったんだよ」
「そうか。俺は飯田翔馬。こいつは速水健太。みんな同学年なんだ。よろしくな」
「よろしくお願いします」
にこにこ笑顔を向けながらもこちらに『暑い』という視線を向けてくる。
さすがにみんなの前でクーラーボックスの中から取り出す訳にもいかないので公園の入口で人がいないのを確認して出てもらったがここに来るまでの少しの距離ですら苦行であったようでここまで洋次が引きずるようにして連れてきた。お陰で洋次の手はちょうどいい具合に冷えていた。
「でっ今日は山口と力也がまだか。珍しいな」
冷のことでねぼりはぼり聞かれてボロが出る前に話を切り替える。
「あぁ、力也は部活の先輩に呼び出されて学校らしいな。山口は珍しく遅いな。いつもなら飯田より早いのに」
「確かにそうだな。寝坊でもしたんじゃないか?まぁこんな日もあるだろ」
飯田の答えに洋次は相槌を打ち作業を始めておくかと二人に進行具合を聞く。
後ろで放って置かれていることに不満そうな顔を向ける冷に後でアイス買ってやるからと諭し地面に転がった畑から見ればゴミのような物体に駆け寄っていった。
「しかし、高校の宿題がこんなのでいいのかな」
飯田の疑問に速水は「まぁ元々、特にプランも何もない校長の思いつきで始まったものだしな。先生たちからは受験の役に立たない余計な仕事、生徒からはせっかくの夏休みの邪魔をする嫌がらせぐらいにしか思われてないしな」
「まぁこっちは宿題と称しての遊びに集まれるんだから感謝しとくか」
そう言って飯田はこっちに空のペットボトルを投げてよこす。
「みんなが来るまでにいくらか終わらせてさっさと遊ぼうぜ」
「そうだな。冷はどうする?」
横でむすっとしている冷に聞くと「皆さんの邪魔にならないようにあっちで見てます」そう言って一人木陰に逃げ込んだ。
まったくまだ朝だというのに昼になったら溶けて無くなるぞ。それはそれでやっかいな奴がいなくなって助かるが。なんてこと本人の前でうっかり口を滑らそうものなら一瞬で氷漬けだな。そんなことを考えながらしばらく作業をしているとポツッと顔に何かが当たるのに気がついた。
「雨だ。さっきまで晴れてたのに」
ポツリポツリと落ちてくる速度が上がり一瞬にして土砂降りの雨へと変わる。
「うわっこりゃ無理だな。速水と三輪はこっちのやつを片付けてくれ。俺は向こうに積んであるのを片付けるから」
そう言って飯田は駆けていった。
「どうする洋次。とりあえず学校に行ってみるか?力也の奴、先輩に呼び出されてそっちに行ってから来るって言ってたからまだ居ると思うけど」
「そうだな。このままここにいてもしょうがないし行ってみるか。じゃあ俺、飯田に言って来るよ」
「いやっ俺が言うからお前は彼女にどうするか聞いてやれ」
突然の雨にすっかり忘れていた。そう思い振り返るとたった数十分ほどしかいなかったにも関わらずグッタリと木陰のベンチに寝転んでいる冷が目に入る。急いで駆け寄り具合を尋ねるとかすれた声で「あ、雨がぬるい」とだけ言った。
「だから家に居ろって言ったのに自業自得だな。ところで俺たちこれから学校に行くんだけどお前はどうする?帰るか?」
『帰る』と言う返事を期待しながら尋ねてみると冷は目を輝かせて「ぜひ洋次さんの通っている学校に行ってみたいです」と答えた。
「意外だな。そんなに行きたそうにするなんて」
「勿論、『許嫁』の洋次さんの事は少しでも情報を仕入れておかないと。それに私、知ってるんですからね。学校にもくーらーがあることを」
学校にクーラーがあることを黙っていた仕返しに無しにしてくれと言った設定を持ち出し意地悪そうな笑顔を向ける冷に洋次は読まれたかと思いながらも「わかった。じゃあ早くこっちこい。二人がずぶ濡れて待ってる」そう言って冷の手を掴んだ。
学校へたどり着くまでの間、冷について質問された洋次はテストでも使った事のないぐらいに頭を働かせて嘘を並べ上げた。この嘘をどこまで覚えていられるかと不安になりながらもいざとなれば冷に丸投げするか。それぐらいバチは当たらないだろうと考えることで罪悪感を消すことにした。
学校に着くと人にあふれている普段とは違う閑散とした下駄箱に一人、突然の雨にブツクサと悪態をつく生徒が立っていた。
「あれっ?小林じゃん。何してんの?」
小さなちょんまげのように後ろで縛った髪からボトボトと水を落としながら速水の声にその女生徒が振り向く。
「図書委員の仕事よ。夏休みに学校に来るだけでも面倒なのにこのふざけた雨のせいで更に最悪だわ」
「何で図書委員になったんだよ。お前、漫画しか読まないじゃん」
速水に代わって洋次が尋ねる。
「座ってるだけで楽かな~って思ったのよ。幸子も一緒だし」
「それは残念だったな。お疲れさん」
「うっさいわね。それよりあんたたちこそ学校に何の用よ。悪さして呼び出されでもしたの?」
「残念だが雨宿りのついでに力也を探しに来ただけだよ。お前、見なかったか?」
「さぁ私も今来たばっかだし」
「今、来たばっかってお前、図書室が空いてるのって確か午前中だろ?もうすぐ閉まるぞ。いいのか?遅刻で」
「しょうがないでしょ。家では妹と弟の面倒、学校ではあんたたちの面倒。暇じゃないのよ。それぐらい許してもらえるわ」
乱暴な言い訳の後、絶対に避けられないであろう言葉を放ってくる。
「っで、その可愛らしい女の子はどっからさらってきたの?」
「従姉妹だよ。大神冷。今、家に遊びに来てるんだよ」
「そんな可愛い従姉妹がいたなんて聞いたこと無いけど」
疑いの目を無視し冷に紹介する。
「こいつは小林、小林真奈美。俺らと同学年、と言うか家の近所に住んでるよ」
「何で声のトーンが落ちてるのよ。まぁいいわ。よろしくね。冷ちゃん」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。真奈美さん」
そんなことをしている間に昼を告げるチャイムがなる。
「あちゃーあんたたちのせいで終わっちゃったじゃないの。幸子に謝んないと。じゃあまたね。冷ちゃん」
そう言って真奈美は図書室のある方へ走って行った。
「さてと、子分、親分の会話も終わったことだし俺らも力也を探すか」
さっきまで黙って真奈美との問答を傍観していた飯田が口を開く。それに対して洋次は言い返す。
「真奈美が行ったとたんに口を開くとは、間に入って助けてくれてもばちは当たらないぞ」
「勘弁してくれよ。口げんかでアイツに叶う奴がいたら真っ先に友達になってるよ」
速水も笑いながら「確かにな。しかしいなくなったとたんおしゃべりになる俺たちも情けないよな」
それを聞いていた冷が「男の人は少し情けないぐらいがちょうどいいですよ」と微笑みながらフォローのようなトドメを刺す。
苦笑いしながら本来の目的である人探しを始めようと歩き出したとき、速水と飯田の後ろについて歩いていた洋次の耳にふっと柔らかい息がかかる。
「でも、少しはしっかりしてくれないと。私の主人になる人なのですから。ねっ?約束ですよ」
驚き振り返ると「どうかしました?」といった表情を向けながらこちらを冷が向けてくる。
その顔を見て言い訳したところで言いくるめられてより自分の情けなさを見せ付けるだけだなと判断した洋次は黙って手を引き前を行く二人のところへ向かった。
「どうする?取りあえず職員室かサッカー部の部室でも覘いてみるかい?」
「そうだなひとまず部室を覘いてみるか」
速水の案に対しそう答えた洋次たちは体育館裏にある運動部の部室棟へと向かった。
部室棟の前では雨に降られたのか青春の汁なのかわからないが上から下までズブズブの生徒でいっぱいだった。
「これじゃどこにいるかさっぱりわからんな。どうする?大声で呼んでみるか?」
「それが一番手っ取り早いだろ。ちょっと恥ずかしいけど」
飯田の案に賛成した速水が同意・・・ではなくこの案の実行者はお前だという顔を向けてくる。飯田にやらせればと考えていたのは本人にもバレていたようで飯田はこちらを見て頷いた。
「仕方ない。お前ら逃げるなよ」
そう釘を指してから少しため息を付き、腹に力を入れる。
「力也ーーー。入るかーーー?いたら手を上げろーーー」
青春汁もとい雨に濡れた汗臭い連中が一斉にこちらを見る。残念ながら彼らの手は下を向いたままだった。
「ここにはいないみたいだな。しょうがない。面倒だが職員室を覗いてみるか」
結局、皆の注目を集めた洋次の努力むなしく力也はここにはおらず、この人探しはもう少し続くことになりそうだと思いため息を付いた。
「残念でしたね。いなくて」
冷が声をかけてくる。
「でもちょっぴり恥ずかしがりながらも大きな声を出す洋次さんはなかなか見もので面白かったですよ」
いたずらっぽい顔で言ってくる冷に何も言い返せずさっきといいどうもうまく言い返せないことに小さな苛立ちを覚えながらもまぁいいかと職員室へと足を向けた。
四人でくだらない話や洋次のでっち上げた冷のプロフィールを話していると部室棟から少し距離のある職員室へもあっという間についたもののどうにも職員室というところは扉が重くできているようで開けるのにここへ来るまでの時間相当を消費してしまった。
「中島先生、力也の奴来てませんか?」
ちょうど食事中の洋次たちの担任を捕まえ声をかけてみるとどうやら先客がいるようでズルズルと麺をすすりながら女子生徒と何かを話しているようだった。
「おう、力也なら確か少し部活を抜けると言っていたな。確か場所は・・・少し待ってくれ。この麺を・・・でなくてこいつの話が今、終わるから」
白かったであろうワイシャツに汁を飛ばしながら会話と食事を一度にこなすこの働き者の36歳独身、離婚歴ありのこの男は最後の一滴まで残さず汁をすすった後
「その件は教頭にも俺から言っておくよ」
と女子生徒に言い放ちこちらに暑苦しい顔を向けた。
「力也を探してるんだったな。あいつなら確か・・・」
そう言ってプリントの山から一枚、紙を取り出すと
「今日はあいつ他校の生徒のところに練習試合の申し込みに行っているみたいだな。言ってる間に帰ってくるだろ。図書室で勉強でもしながら待ってたらどうだ?」
「僕ら勉強する気はあるんです。ただどうにも体が貧弱でペンを持とうものなら次の日の筋肉痛が酷いのなんのって、だから残念ですが・・・」
飯田のふざけた言い訳に中島は怒ることもなく
「そうか、なら仕方が無いな。明日からお前の宿題だけお前の貧弱な体を鍛えるためにたっぷり出してやろう。泣いて喜べ」
勘弁して下さいよ。と言う飯田の泣き言を聞きながら洋次たちは勉強という案だけは取り除いた上で図書室で時間を潰すことにした。
鳴り止まない雨の音を聴きながら図書室の扉を開けるとこちらに笑顔を向けてくる少女とこちらを睨みつけてくる少女に出くわした。先に口を開いたのは睨みつけてくる少女の方で、自分たちの顔を見るなり悪態を付いてくる。
「なにしにきたの?ここあんたたちには似合わない場所だけど」
それを聞いた冷が
「ごめんなさい。力也さんという方が出かけているようで帰ってくるまでここで待たせて貰おうということになったんです。ご迷惑おかけしないよう静かにしていますので許してください。」
それを聞いた小林はさっきまでの表情が嘘のように焦った顔になり
「ごめんなさい。あなたに言ったんじゃないの、私が言ってるのはそこのマヌケな顔の男たちであって冷ちゃんは大歓迎。ゆっくりしていって。と言ってももうすぐ閉める時間なんだけど。これそこの男どもが言ってたけどなんでまた閉店間際の図書室で待つことに?」
「あぁ、中島がここで飯田の学力を上げてこいってさ」
「なるほどね。ただ飯田の学力上げる前に中島の記憶力を強化するほうが先だと思うけど。よりによって図書室の閉館時間を教師が知らないってのもどうかと思うわ」
本人がいないのをいいことに散々な言われ方をする担任に同情を覚えながらも自分に矛先がいかなかったことに洋次はほっとした。
そんなくだらない話に割ってさっきの笑顔の少女が話に入ってくる。
「あのー悪口大会の中悪いんだけどその女の子はいったいどちら様?」
「あっごめん、ごめん幸子」
そう言って二人をそれぞれ紹介する。
「幸子、こっちが大神冷ちゃん。といっても私も今日初めてあった。なんとこいつの従姉妹なんだって。まぁ私はどっかから洗脳して拐ってきたと考えてるんだけどね。で、こっちが幸子、中川幸子。私の友達」
「よろしく、冷ちゃん」
そう言って中川が冷に手を差し出してくる。冷がその手をとった瞬間、ひゃっ!と言う声とともに中川は手を引っ込める。
「ご、ごめんなさい。冷ちゃんの手ものすごく冷たくて」
「気にしないで下さい。よく言われるんです。夏にはぴったりでしょ?暑いのは苦手なんですけどね」
そう笑顔で返されたことでほっとした中川は改めて自己紹介をした。
「中川幸子っていいます。ここにいるみんなと同級生で図書委員をしてます。ちょっと固いあいさつだったかな?」
「こちらこそよろしくお願いします。大神冷といいます。洋次さんとは従姉妹にあたるんですけど家の都合でこっちに住むことになって居候してます」
「そうなんだ。じゃあ二学期からはこの学校に転校してくるのかな?」
「そのつもりです。皆さんよろしくお願いしますね」
さらっと今、重要な事を言わなかったか?聞いてないぞ。そんなことを考えながら二人の挨拶を聞いていると洋次の名前を大きな声で誰かが呼んでいることに気がついた。
声のする方へ顔を向けると力也がこちらにかけ足で来るのが見える。やっとか・・・そんなことを考えながら向かってくる影に向かって手を挙げる。
「探したぞ。力也。朝からお前が来ないから実に宿題が捗らなかったよ」
そんな冗談交じりの嫌味を言いつつ合流した力也の背中を軽く叩く。
「悪い、悪い。どうしても行かないといけなくなってさ。お前らだけじゃなく中川たちまで俺のこと待っててくれたの?大歓迎だな。あれ?その子誰?」
来るなり言葉を並べてくる力也に洋次たちがひとつひとつ説明する。
「なるほどね。俺も拐ってきた方に一票だな」
こいつの場合、冗談なのか本気で言っているのかがわからない。散々な言われようだが正直な所、洋次自身も実は自分は誘拐犯なのでは無いかと思えるほど可愛らしく、そして考えている以上に冷静をアピールしているが頭の中は異世界に放り込まれたか思春期特有の暴走による夢なのではないかと言う考えがハムスターのごとくグルグルと高速回転していた。
「まぁそれは後で聴取するとしてこの雨だ宿題は延期するとして何するんだ。探すだけ探してやること無かったら骨折り損だぞ」
速水の意見に全員が何も考えてなかったと言う顔をする。。
「そういや何にも考えて無かったな。雨宿りついでに力也、探ししてただけでよく考えたら散々探して肝心の目的、考えて無かったわ。なんかしたいこととかある?三輪」
突然、話をふられたところで何も考えは浮かばずただ首を横にふるだけだった。
「あんたたちホント馬鹿ね。大体、宿題の内容自体も小学生並みとしか言えないような酷い内容よ。そんなんであんたたちよく高校に受かったわね。そう思わない?幸子、冷ちゃん」
ここぞとばかりに罵倒してくる小林を尻目に飯田が思いついたように話し始める。
「そういやさ、俺達が実験してた公園のうわさ聞いたことあるか?最近けっこう話題になってるみたいなんだけどさ」
その話に体は暇で出来ている洋次たち全員は耳を傾ける。
「うわさ?それって夜に出るってやつか?」
力也がそれに反応する。
「何だ。知ってるのか。そうそうなんでも夜の十二時過ぎにあの公園を通るとどこからともなく声が聴こえるらしいぜ。噂によるとあの公園、昔、池で死体が上がったとか大昔ここは合戦場だったとかいろんな噂があるんだけどさ。俺も嘘だと思ったんだよ。ところがこの間、たまたま遊びに行った帰りが遅くなってさ。俺、その噂知ってたからすげぇビビりながら通ったんだよ。そしたら・・・声が聴こえるんだよ。怖くて俺、確認もせずにすっ飛んで帰ったよ」
「なにそれ、全然、出るって証拠にならないじゃない。ただ単にあんたがビビりだって話でしょ」
「そう言うなよ。小林だって絶対ビビってたってあの状況なら」
「最近何かと物騒だからな。気を付けないとな」
そんなありきたりなセリフを吐く速水の言葉を遮るように力也が洋次が最も不安に思っていた言葉を発する。
「なぁその噂、ここにいるみんなで確かめてみないか?」
その話に一番に食いついたのは飯田だった。
「いいね。それ面白そうじゃんか。どうせやることもないんだし夏の思い出に刻み込もうぜ」
「面白そうですね。私も参加させてください」
洋次の横で目を輝かせながら冷が手を挙げる。冗談だろと言う顔を作る暇もなく肩を捕まれ強引に力也が迫ってくる。
「いいね。そういう積極性を見習わないとお前らも。当然お前は賛成だよな?楽しくなるぞ」
「ちょっといきなり何考えてるの?そんな馬鹿なことやるわけないでしょ」
「あれ?お前さっき飯田の話、馬鹿にしてたじゃんか。いざとなったら怖くなったのか?」
飯田に煽られ売り言葉に買い言葉。あっさり参加に転んだ小林、それに付き合う中川。結局押し切られる形で速水も参加することに・・・冗談だと思いたいどう考えたって俺の横でウキウキしてるやつが犯人じゃないか。こいつが墓穴を掘らないようみはるのにどれだけ今も疲れていることかそれが昼だけでなく夜もなんて・・・そんなことを洋次が考えているとも知らず冷は楽しそうに今夜の予定を話し合っている。
「とりあえず今日の九時に集まろうぜ。集合場所はどこにする?流石に公園ってのはあれだしな」
「洋次の家の前でいいんじゃね?距離的にも」
「いや、別に公園でいいだろ。行って戻るのも面倒だし」
「ただ小林は近いからいいとして中川は誰か迎えに行かないとな。よし速水、お前が行け」
力也に無理やり決められた速水が反論する。
「なんで俺なんだ。距離なら飯田のほうが近いだろ」
「馬鹿だなお前は。夜に女の子連れ出すんだぞ。警戒させるし不安にさせるだろ親に。そこでお前の出番だよ。お前なら親も安心して任せられるだろうが」
「そんなうまくいくかよ・・・人事みたいに」
「まぁ小林が一緒って言っとけば大丈夫だよ。絶対」
「褒められてる気がしないんだけど」
そんな会話をしながら校内を歩いていると
「あれ?晴れてきてね?どうする戻って続きする?」
速水の意見に戻ると言う一部のみ賛成した俺達は図書委員の小林と中川、それに顧問に書類を渡しにいった力也を待った後、公園へと足を進めた。
「それにしてもさっきの雨すごかったよな。速水は戻って続きしようって言ってたけどこれじゃ地面がグチャグチャで泥だらけになるぜ」
後ろ向きに歩きながら飯田が話を続ける。
「危ないぞ田中。車に轢かれても知らないからな」
そう速水が戒めた瞬間。鈍い音ととともに飯田が転んだ。
「だから言ったろ。すみません。ほら謝れよ飯田・・・」
そう言って速水が近づいた時。ふと相手の顔を見た洋次たちは声を揃えて彼の名前を呼んだ。
「山口」
「何してんだお前。今日、公園で一緒に課題やる約束だっただろ。休むって連絡もないからどうしたのかと思えばサボってどこ行ってやがった」
力也が山口の体を持ち上げながら聞くと。わるいわるいと少し笑いながら体の汚れを払い言い訳を始めた。
「悪かったよ。ちょっと中学のときの先輩に呼び出されてさ。世話になった人だから断れなくて。急だったもんだからお前らに連絡するの忘れてたんだよ。で今、終わって公園に向かってたんだけどお前らこそなんでこんなところにいるんだ?なんか増えてるし知らない子もいるし。人のこと攻めてるけどお前らサボってナンパでもしてたのか?」
「残念ながらここにナンパができるほどの根性のある男はいないわよ」
「さすが小林、キレの良い返しだな」
おどけながら言い返す山口に速水が話しかける。
「今から行くところだったならちょうどいい。俺らも雨宿りしててさ。これから戻るところなんだ」
速水の言葉にかぶせるように飯田が口をはさむ
「そうそう、足元がぐちゃぐちゃだろうから明日にしようぜって言ってるのにさ。こいつ融通が聞かなくてさ。お前も説得、手伝えよ」
「確かに今日は延期をしてせっかくこれだけの暇人たちが集まったんだ。こいつの言う通り存分に夏休みをエンジョイする方に一票を入れたいね」
相変わらず調子のいい奴だ山口は、そんなことをぼんやりと考えているとこちらに視線が集まっていることに気づく
「なんだ?俺の顔に何か付いてるか?」
それを聞いた小林が呆れた顔をして悪態をつく。
「全く、普段からぼーっとした奴だと思ってたけどここまでとはね。一度、病院で見てもらったら?いい先生、紹介しようか?そう思わない?幸子も」
いきなり同意を求められた中川は困りながら
「三輪君、みんなは三輪君がどうしたいかさっきから何回も聞いてたんだよ。なのに三輪君、冷ちゃんの顔見たままずっと黙ってるし」
あれ、ずっとは言いすぎだろうだってさっきまで山口が喋ってたはずじゃ・・・
「お前、なんだよその全く知らないって顔」
そう言われてもと言い返そうとしたが目の前に目的の公園が見えた事に気づき自分でも驚く。もう付いたのかさっき学校出たところだと思っていたのに間違いなくみんなが言うとおり今日の俺はぼーっとしているぞ。暑さのせいか?そんなことを考えながら軽く謝る。
「悪い、悪い。ホント今日は暑さでおかしくなってたのかもしれないな。そんなわけで俺も今日は遊ぶことに賛成だ」
「さすが、三輪。わかってるなー。これで速水以外は俺の意見に賛成ってことで多数決、決まり。どうせまだまだ夏休みはあるんだし今日ぐらい遊ぼうぜ。せっかく女子もいることだし。ちゃんと明日からやるからさ。なっ?」
山口の押しにしぶしぶと速水が折れどこで遊ぶかの議論で盛り上がる。
「でもこれだけ暑いと外は嫌だな。どっか涼しいところないのかよ」
それを聞いた力也が速水ん家はだめなのかと尋ねる。
「いいね。それ、俺さ、速水の家に行ったことないんだよね」
飯田がそう言うも中川が異を唱える。
「流石にいきなり押しかけるのは悪いでしょ。この人数だし。速水君の親だって困るよきっとさ」
確かに洋次や力也はよく速水の家に遊びに行っているがこの人数で行ったことは今までない。そう考えるとどこかのファミレスあたりが無難なのではと考えたがあいにくそういった店が多くあるのはいま来た道を戻らなくてはならない。流石にそんな気にはなれない洋次はおとなしく黙ったままみんなの話をニコニコしながら聞いている冷に話しかけた。
「おい、お前。大丈夫なのか?気がいつたら水たまりができてて誰もいないなんてことにはならないだろうな?」
実はさっきから気になって仕方がなかったのだがこいつは雪女だ。そして「雪」に最も似つかわしくない季節。それが今現在、我々を苦しめ路頭迷わせている夏である。
「大丈夫ですよ。ちゃんと家から『ほれいざい』ってのを持ってきましたしちょっと足が溶けてきてるだけですよ」
ニコニコした笑顔を向けながらさらっと恐ろしいことを言う冷にぞっとした洋次はさっきまでとうってかわって速水にもの凄い勢いで頼み込んだ。
「頼む、速水。もう限界だ。お前も家に避難させてくれ。暑くて死にそうだ」
それを聞いた速水は少し驚きながら
「別にみんなが来ることは問題ないさ。あと今日はたまたま親は出かけてるから気にすることはないよ。俺も早く涼しいところに行きたいし。さっさと行こうぜ」
速水の言葉に釣られながら彷徨えるエアコンに飢えたゾンビ6人と雪女1人がぞろぞろとあとについて行く。
「速水君の家に行くのはいいとして何するの?」
中川の言葉に全員が首をかしげる。洋次は思った。これはよくある着いてから考えようと言う一番グダグダになるパターンだ。
「だったら今日の打ち合わせすれはいいじゃん。山口も加わったことだし。こいつにはまだ行ってなかっただろ?」
確かにそうだ。そもそも洋次たちもただ謎について調べるという漠然とした目的だけで何も計画は立てていない。これでは今の状態がそのまま夜になっただけだ。
そう思い洋次も力也の意見に賛成する。
「それがいいよ。夜のこと話しあおうぜ。せっかく時間があるんだし。完璧な作戦を立ててやろうじゃん」
「おっ乗り気になってんじゃん。そうだよなやるなら徹底的にやらないとな。俺はそうでないと気がすまない性格だからな」
「課題を途中で放り出す奴のセリフとは思えないな」
速水の皮肉も今の飯田には全く聞こえておらず力也に熱弁を振るっている。
そんな中、一人寂しく話題に取り残されている山口が洋次に聞いてくる。
「みんな、何の話してるんだよ。俺だけ仲間はずれでさ。夜に何かするのか?夏休みデビューって奴?あの真面目な速水や中川も?小林はともかく」
「誰がともかくですって?聞こえてるわよ。ちゃらんぽらん男の山口くん」
ニコニコと恐ろしい顔をしながら悪態を返す。
「最近、噂になってる公園に『出る』って話、知ってるか」
小林の顔から目を逸らしながら洋次が山口に今までの話をする。
「あぁそれならなんか聞いたことあるな。なんでも女の声が聴こえるとか」
それを聞いた洋次はふと冷の顔を覗きこむ。ふるふると首を横に振る冷から目を逸し山口に顔を向き直す。
「そうなのか。お前も話は聞いてるのか。なら話は早いなそいつの正体をみんなで探りに行こうって話になってるんだよ」
「なるほどね。それは楽しそうじゃん。いいよ、俺も参加する。ダメって言われても参加するよ。で、それとお前の横のかわいい女の子は何か関係があるのか?」
冷について尋ねてくる山口の質問に洋次は何度目か忘れるほどしたお決まりの嘘を説明した。
「なるほどね。従姉妹なのか。とても同じ血が流れているとは思えないがこれを課題にした方が面白いんじゃないか」
冗談じゃない。そもそも血が流れるかすらわからないのにそんなものを調べて何になる。そんな洋次だけが笑えない冗談に苦笑いしながら適当な嘘を重ねておいた。
冷が溶けていないか気にしつつそんな話をみんなでしているうちに速水の家の前まで辿り着いた。
「入るのは構わないけど今日は誰も居ないから大したもてなしはできないよ」
そう忠告した速水に対して力也が答えた。
「いらない。いらない。そのほうが気楽だしみんなもそうだろ?部屋使わせてもらえるだけでありがたいよ。早速入ろうぜ。早くしないとみんな溶けちまうよ」
まったく、普段からよく速水の家で飯を食べさせてもらってる奴の発言とは思えないな。俺も人のことは言えないけど・・・そんなことを考えながら後ろに続いて入っていく洋次の袖を冷が掴む。
「どうした?何かあったか?」
そう尋ねると冷は
「ギリギリセーフです。もうちょっとで天国行っちゃうところでした」
と笑いながら答えてくる。
・・・いや、笑えないだろ。そもそも雪女が天国行けるのか?そんなことを考えながら洋次は冷に言葉を返す。
「しんどい時はちゃんと言え。流石に太陽を封じるのは無理だができることはしてやるからあまり無理をするな」
「はい、ありがとうございます。次からはわがまま言いますね」
可愛らしい顔を向けながらそんなことを言われるとこちらもそれに答えるしかなくなる。流石、雪女だ。俺が雪山の遭難者だったらホイホイついて行って間違いなく氷漬けになっているだろう。ここが真夏の住宅街でよかった。そうほっとしながら手を引いて中へと入る。なにやら小林がニヤニヤしながらこちらを見ているが無視だ。
「いやーやっぱり夏はエアコンの効いた部屋でアイス食べながらゲームでもするのが最高だよな。そう思わねぇ?」
本人は気がついていないがこの小林からの視線と冷の笑顔から逃してくれた飯田の実に当たり前かつしょうもない会話に感謝しつつしょうもない会話を続ける。
「確かにそうだなー。甲子園なんか見ながらゴロゴロしてる時なんか至福の時間だよな」
「呆れた奴らね。冷ちゃんは真似しちゃダメよ」
「小林は三輪のオカンかよ」
そんな話をしながらワラワラと8畳ほどの部屋へと入っていく。
「流石にこの人数はキツイな。リビングで話するか」
「まぁいいんじゃね。入らなくもないし。それより早くエアコンを付けてくれ。ただでさえ暑さで死にそうなのにこのままじゃ体が溶ける」
飯田が今にも死にそうな顔で速水の顔を見ている。そんな飯田の顔を見ていると洋次まで溶けてしまいそうだ。
「大げさね。冷ちゃん見てみなさいよ。平気な顔してるじゃない」
「確かに暑くないの?無理しちゃだめだよ」
中川の問いかけに冷はさっき洋次に向けた顔をしながら
「顔に私、出にくいんです。皆さんと一緒で私も溶けちゃいそうです」
「ほらな。俺だけじゃないじゃん。小林だって汗だくじゃんか。服が体に張り付いて・・・ウッ・・・」
続きを言わせてもらえなかった飯田を見捨てリモコンに手を伸ばす。
「なんで、暑さ談義になってんだよ」
全員の飲み物を取りに行っていた速水にツッコミを入れられたところでこの不毛な話は終了した。
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