第14話 科学を教えたこの日からアリスの魔法で色素を抜かれ始めたボクの乳首がピンクになっていった

 2人に運んで貰ったら町を出た即日、空を飛んたらなら10日もかからずにクレイモアに到着したと思う。

 だけどボクとしてはダンジョンではないぬるい地上の荒野で、旅のいろはを覚えたかった。

 今は2人……いやアリスとルーナから、野営について教わっている。

【テント設営】を学習しました。


「あら? ミゲルさんの魔法は、魔力を使いませんの?」


 死の直前から復活したハイテンションも落ち着き、今は2人共本来のキャラに戻りボクの呼び方も安定したみたい。

 アリスが自分をワタクシ、ボクはミゲルさん。

 ルーナは自分をウチ、ボクをミゲル君と呼ぶ。


「あーうん、ボクの魔法は科学魔法って言って、魔力を使わないで魔法の現象も化学反応も起こせる、ちょっと便利な能力なんだ」

「それって、どんな事が出来るぴょん?」


 大気から水を作り、浮かべた水を氷に変えてアリスとルーナの1/10サイズのフィギュアを作ってみせる。

 土を固めてコの字かまどをいくつか作り、ストレージから出した鍋、フライパン、ヤカンを乗せる。

 魔法でかまどに火を着けて、燃料要らずでエコキャンプ。

 火に酸素を集め火力を上げて、二酸化炭素は風にして遠くへ運んでいく。


 アリスもルーナも自分にそっくりの氷人形に夢中になっているので、その間に料理を完成させていく。

 鍋でパスタを茹でフライパンでパスタソースを作る、茶葉がないので白湯だけどね。


 科学魔法で作ったイスとテーブルには、薄いクッションとテーブルクロス(どちらも田舎製のショボいやつ)を敷いておく。

 パスタを皿に盛り付けてストレージからは丸い白パン(ブレッド?)を籠に盛り付けておく。

 皿のソースをパンで拭き取って食べるのだ。

 貧しい生活や野外での限られた食料を全て食べるための知恵だね。


 いずれはラーメンを作り、乾燥粉末出汁の製法を発見して広めたい。

 その製法を独占して地雷都市……じゃないクレイモアで売れば、乾麺の利便性に気付いた探索者が味方について、権力者が手を出しにくくな……ればいいなと思っている。

 そうなればアリスもルーナも、欲望まみれのクズとはいえ、権力者を虐殺しなくてもよくなるかなって。


「ひゃうっ!?」


 そんな事を考えていたら、左右からお尻を揉まれていた。


「ちょっ、ちょっと。アリスもルーナも止めて、お尻を触らないで、揉まないでよ」

「決意に満ちたミゲルさんの表情、たまりませんわぁ〜」

「あんなの見せられたら発情するしかないぴょん!」


 この後、交代で見張りもせずにアリスの防御結界を張り、テントの外のパスタが冷え切っても、テントの中からは嬌声が止む事はなかった。

 多分、ボクが気絶してからも。

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