第13話 彼女達は素でレベルを上げて物理でが出来る

 前世の記憶があって、体験学習っていうどこまでも強くなれる能力があるのに、種族の強さが違うのか2人には勝てる気がしない。

 獣人が銀色を信仰する理由の一端が理解出来たきがする。


 今も朝食後の軽い運動をすると言っておきながら、2人の姿は見えなくなってしまい、あちらこちらからドゴンドゴンと、衝撃波が発生している音がしている。

 それの何が恐ろしいって、体験学習が発動しない事が恐ろしい。

 見えないから断言出来ないけど、多分2人は素の身体能力だけで、この現象を起こしている。


 ちなみにボクにはアリスが球形防御魔法を使ってくれているから、軽い運動の渦中でも傷ひとつ付かない。

 だけど空からは雲が消えて、大地は割れて渓谷だらけになっている。

 こんな超常の2人が一体全体どうやったら奴隷に落とされるのか、世界の7不思議に入ってるんじゃないかな?


【空歩】を学習しました。

【天駆】を学習しました。


 とうとう足場がなくなったので空を走り始めたらしい。

 ボクも覚えたての空歩を使って地面の高さの宙に立ち、崩れる大地を眺めていた。

 姿が消えてからほんの1分程度でこの惨状なので、考えるのを止めて科学魔法で地面に干渉して地形を戻すとしますか。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 やっぱりどう考えても体験学習は最強クラスの能力。

 割られ過ぎてなくなった地面を、10分少々で元に戻したんだから。

 ただ上には上が居ただけなんだ……


「やっぱり外だと、なんでも壊れるから物足りないぴょん」

「同感ですねぇ。私達が全力で戦うならダンジョンの最下層域じゃないと、色々と耐久力が足りませんねぇ」


「それにしてもウチら、また強くなってるぴょん?」

「前のままの感覚で戦ってみましたけど、観測結果からは大雑把に、1割2割は上がってますねぇ」


 この2人、また強くなっていたらしい。

 無能力状態で地面を消失さたのにもかかわらず、汗ひとつかいてない。

 手拭いと水に塩と果汁を少々混ぜたなんちゃってスポドリを用意していたのに。

 まあスポドリは、美味しい美味しいって飲んでくれたからいいか。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「これでウチらの復活がバカ共にも伝わったぴょん」

「復讐に怯えてクレイモアからにげてくれると楽でいいんですけどねぇ」


 どうやら今朝のアレは、2人を陥れた相手への示威行為も含まれていたらしい。


「ミゲルと腕を組むなら、右腕と組む方が蹴りやすいぴょん」

「だったら私は左腕ですね。魔法を使えば利き腕軸足は関係ないですから」


 2人の定位置が決まったところで、今日の出発となった。

 空は雲ひとつない、快晴にされていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る