第10話 事実上のハジメテ

「あの野郎、顔だけはいいからって」

「ギルドの職員だからって」

「若い女にしか優しくないし」

『ざまぁみやがれ!!』


 ワハハハハと笑い合う冒険者達。

 その隙きをついて、ボク達は冒険者ギルドをあとにした。

 正確には左右から腕を引かれて連れ去られた。


「ね、ねぇ、どうして出てきたの?」

「あんな低俗な職員をのさばらせておくギルドなんて、全然信じられないからぴょん!」


 ルーナの怒りにアリスも同調して頷いている。


「で、でもさ。ボクは2人を養わなきゃいけないしさ、2人相手っていうのは不誠実だとおもうんだけどね、やっぱり男として責任を取らなきゃって思うからさ。だからギルドに登録して生活が安定するまでは苦労をかけると思うけど、なるべく早くお金を稼ぐから我慢しぃぃぃ!!」

「っ〜〜〜!!」

「そんな事言われたら、我慢なんで出来るわけないぴょん!!」


 この後ボクは2人にテイクアウトされて、出てきたばかりの宿で目茶苦茶にされた。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


『昨夜はお楽しみでしたね!!』


 宿のスタッフ一同と食事中だったお客さん達から見送られて宿を出る。


「ねえ? なんで昨日はいきなり、あんな事をしたの?」

「もちろん、ミゲルの言葉が嬉しかったからからぴょん」

「私も、嬉しくて発情してしまいましたから、テヘッ」


 今日の2人は左右を交代して右にアリスが、左にルーナが抱きついている。

 意識がある状態での体験をしたからだろうか、義務感が大半を締めていた昨日よりも、2人が可愛く愛おしく思えてくる。


「そもそもウチ等がミゲルに恩返しする立場なのに」

「妻に迎えるように誤解させる事を言うのですから」

「嬉しくなっても仕方ないぴょん」

「発情の万や億は、してしまいますわ」


 村では一夫一婦だったし、前世の知識でもそれが当たり前。

 それに襲われたとは言え、女の子の初めての相手選ばれたんだから責任取るのは当たり前……だよね?


 あっ、そっかー!

 2人は獣人だから、並人との結婚感とかルールが違うんじゃないかな?

 きっとそうだよ。

 獣人が一夫多妻や多夫多妻の国なら、ボクも移住するべきだよね。


「もしかしてさ、ボクも獣人の国に行った方がいい?」

「そんな事ないぴょん、もう行き先は決まってるぴょん」

「えっと、それはどこなの?」

「私達の目的地、それは迷宮都市クレイモアです!」


 なにその、迷宮が氾濫して上の都市が爆発しそうな名前は。

 こうして、なんの相談もなしに次の目的地が決まっていた。

 2人には報連相の大切さを教えていかないとって思いました。

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