第8話 昨夜の真相

 魔力のある世界だからなのか獣人だからなのか、それとも銀色は特別なのか。

 20日足らずで2人の肉付きは年相応に戻った。

 無重力が続いたとはいえ日々の介護で体は動かしているので、関節も固まっていなければ商館に居た頃より筋力もあるだろう。

 だから2人から無重力を解除して、これをきっかけにして声を聞きたいなって思った。


「2人共、よく頑張って回復したね。これからは元の体の重さに戻るから、筋力トレーニングをして動けるようになろうね」


 それでも2人からは返事がなかった。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 事態が急変したのは30日目の夜。

 明朝には宿の延長か出ていくかを、決めなければならない。

 ボクは宿を出ていく事にして、これを最後のきっかけにしようと決めた。

 既にアニメみたいに残像かなって動きが可能になった2人。

 あれだけ派手に部屋を飛び跳ねているのに、壁や天井に着地? しても全く音を立てていない。

 これだけ動けるなら、もう大丈夫だろう。


「2人共、主として最初の命令をする。ここに並んで立てーーーっ!?」


 立てと言った瞬間、目の前に現れた2人に驚いてしまった。

 しまったが気を取り直して、最後の命令をする。


「主として最後の命令をする。胸が見えないように服を脱いで、背中を晒せ」


 その場で反転してボクに背を向けて、脱いだ服で胸を隠す2人。

 2人の背中には黒い魔法陣が、魔法的に刻印されている。

 これは奴隷商人のみ使える魔法で、奴隷の魔力を使って維持する隷属の魔法陣だ。

 ボクはを使って、2人の魔法陣を消し奴隷の身分から解放した。


 2人は自分が解放された事がわかったのだろう。

 互いの背中を確認し合うと抱き合い、声を出して泣き始めた。

 2人して大泣きしているので聞こえないだろうけど、ボクは2人に言い残して部屋を出ようとした。


「これでもう君達は自由だよ。元気でね、さよなら」


 出ようとしたんだけど、腹パンと首トンされて気絶してしまった。

 なんでわかったかって?

【腹パン】を学習しました。

【首トン】を学習しました。

 ってアナウンスが流れたからだよ。


 気が付くと夜明けごろで、3人とも全裸で全身がカピカピだった。

 シーツには赤と白と、それらの混じった色が着色されている。

 つまりボクは、狼に襲われた哀れな子羊だったわけだ。

 目覚めた時に流れたアナウンスの内容は、墓の中まで持っていこうと決意した。


【底なし】を学習しました。

女性用の底なしが、男性用の絶倫に変化しました。

【底なし】を学習しました。

変化先の絶倫を所持しているので、底なしはそのまま所持されます。

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