第5話 ジャック・ザ・ジョーカー
バルベリスが六枚羽根を大きく広げ周辺一帯の魔素を根こそぎ掻き集め、両手を横に広げその力を凝縮している。
【コォォォォオォ】大きく吊り上げた口元からは黒紫のオーラが溢れ出している。
左手に
「アレーン。お待たせしたね.......
さぁ受け取ってくれたまえっ!!!」
『極威顕現【
禍々しく、鈍く光る球体がアレンに放たれた。
「ひと時が永遠に感じる苦痛をあげるよ!」
(何じゃいそのありきたりなデスボールは!!!
ワンパターンんなんじゃー!!!)
アレンが心の中でそう叫ぶと何の前触れも無く、突如アレンとバルベリスの中間辺りにに1メートル程の
その捻れた空間の中心に力場が発生し、周囲の物質を全て飲み込んでいく。黒球も渦に吸い込まれ、蝙蝠男も吸われていく。
「クッソッ!何だ!この力は!こんな力が存在する筈がない!!!」
バルベリスの顔が悔しさで醜く歪む。何とか逃れようと 必死にあがらうが、体の半分が捻れた渦に呑み込まれている。周辺一帯の空間も歪みだし、渦に中に呑み込まれはじめた。
(ヤバい!!俺も渦に引っ張られてる!!!)
「いやだぁぁぁ、じにだぐないだずけでぇぐわあぁぁぁがぁ」
最後の断末魔が聞こえなくなるその寸での所で、捻れた空間の渦の中心から8つの光が飛び出してきた。
「あー。ダメだよーーー」
「これ、ヤバいじゃん?」
「何ここ?力の密度が異常だよ?」
「早く、急がないと!」
「みんなー。こっちに面白そうな子供がいるよー!!!」
赤い光が赤子のほっぺたをプニプニしながら、他の光に呼びかける。
「どれどれ~。わぁ、本当だぁ、見てみて、この子のほっぺためちゃ伸びるよー」
黒い光が赤子の頬を両手でつまんで引っ張っている。
他の光達もアレクの周りに集まってくる。
(プニプニ、プニプニ、プニプニプー!!!って、やってる場合じゃねーーー!!! ゴラァ!!!わりぃごはおめぇがぁ!!!)アレン、ブチ切れ。
『これ、子供達。遊びにきた訳ではありませんよ。早く済ませて帰りますよ』
一際大きな光玉。12色の光線を捻れた空間に流し込む。
それに合わせて他の7色の光達も光線を放つ。
膨大な量の光が空間が捻れた渦の中心に流れ込むと。
【パリイイイイィン】と音立てて、捻れた空間が壊れた。
先程まで空間に呑まれていた
バルベリスの捻れた上半身が、床に横たわっていたが
直ぐにボロボロと体は崩れて消えていってしまった。
アレンの横にはゆったりとしたピエロの服を着ている、二メートル程もある大男が能面のように整った顔立ちでアレンを見ていた。
(何かこのピエロさん、昔映画で見た【ジャック・ザ・ジョーカー】にそっくりだよなぁ.......)等と考えているとアレクの体を覆っている黄金色のオーラがピエロの体に吸い込まれていく。
「ほほぅ【ジャック】ですか.......これはいい、しっくりときますね。それにこの姿、あなたには私がこう見えるのですね.......なるほど」
「私に【名前と器】を下さってありがとう小さき者よ。お礼に何か出来る事はありますか?」
(マルティネス領内全部、襲撃前の状態に戻して欲しい。それとめちゃ強い武器が欲しいです!!!)
「それなら容易い御用です」
【超威顕現
ジャックがパチンっと指を鳴らすと
【ゴォーン、ゴォーン、ゴォーン】とどこからか鳴り響く鐘の音と共に、吹き飛ばされた建物が逆再生のように元に戻っていく。今回の襲撃で負傷した者達も何事も無かったかの様に襲撃前の日常へと戻っていく。
「一応、皆様の記憶は消しておきました。エミリーさんはそのままにしておきましたが消しますか?他の者は時期に目を醒ますでしょう」
「いや、エミリーはそのままでお願いします」
(すげー。ジャックさん最強じゃないですか?)
「あとは、めちゃ強い武器ですか.......そこそこの物でも、この世界で使うと星が壊れてしまいますからねぇ・・うんっ?少しお待ち下さい・・・」
ジャックは興味深くアレンを観る。
【アレン様の中にいるこれは・・・・】
(えっ?そこそこで星が壊れちゃうの?何それ怖い。敵を攻撃したら、星が壊れて自分も死んじゃうみたいな)
「こちらは如何ですか?」
そこには、全体的に刀身が白く輝き、透明感のある片刃の長剣があった。若干反りのある刃は、柄から80センチ程の所で2本目の刃が20センチ程重なっており、そこから更に伸びている。持ち手まで合わせると長さ2メートル。厚みや刀幅は通常の日本刀と同じように見えた。
(めちゃ美人じゃないですか!!!エッジがきいてる所なんてガクブルものですよ。ありがとうございます!!!)
【剣はつかってなんぼの物だか、アレンは長剣の美しさに一目惚れをした】
「そうですか。気に入って貰えて何よりです。では、名前を付けて下さい」
(【
「初めまして咲夜さん。・・・では元に戻しますよ」
そう言うとジャックは徐ろに長剣を手に持ち、当たり前のようにアレクの体に突き刺した!!!!!!
(うっっぎゃーーー!!!いたーーーーくない。うん。なんか暖かくて体の中がぽわぽわする)
アレンの体が独りでに中に浮き、黄金色のオーラがより強く輝きだすとアレンの身体が消失してしまう。
黄金色の光がおさまると、そこには空中に静止している190センチの全裸の美女が佇んでいた。
女性特有の胸は筋肉質で平らだが、シャンパン色の身体の線は細く、顔立ちが男というより女性のようだ。特徴的な腰まである長い銀髪を左右に振り回し、ミカド・イエローの瞳を大きく見開き、自身の手で体の様々な箇所を確認している。
ファンタジーすげー!!!
空中に浮いているやん!!!
(うおっ!!!マンモスやん。マンモスがいるーーー!!!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます