第12話 妖怪とグルメ(仮もしくは狩り)


「アノ……」


「ああ、おかえり」


「今度ハ一体何ヲシテイルノデスカ」


「随分な言い方だな。それではまるで普段から私が碌でもないことをしているように聞こえるじゃないか」


「ドウシテ貴方ハソコマデ根性ガ図太クナレルノデスカ」


「褒めないでくれよ」


「褒メテイマセン。ソレデ、本当ニ何ヲシテイルノデスカ。ドウ見テモ虐待ノ現場ナノデスガ」


「炎上しそうなことを言うな。今夜の晩御飯の準備に決まっているだろう」


「ソウデシタカ……、チナミニ、ソレハデスヨネ」


「しっかり五日もかけて泥抜きもしているぞ」


「ソンナ心配ハシテオリマセン。トコロデ、初メテ僕タチガ会ッタ時、貴女ハ僕ノコトヲ何ト間違エタカ覚エテイマスカ」


「なんだその質問は? 忘れていないとも、亀と間違えたんだよ。である君をね」


「アア、ソレガ分カッテイテ亀ヲ料理シテイルンデスネ……」


「む、もしかして亀は嫌いか? いかんぞ、好き嫌いしていは」


「大キクナレナイ?」


「生きていけない」


「ドウシテ貴女ハ人間ナノニ考エ方ガ野生ノソレナノデスカ」


「それはウチが貧乏で狩ればタダだからだな」


「確カデスガ、無許可デ動物ヲ狩ルノハ違反ナコトモアリマセンデシタカ」


「法律で禁止されていることはな。バレなければ無罪なのだよ」


「ばれナクテモヤッテハイケナイカラ法律デ禁止サレテイルノダト思イマス」


「相変わらず君は妖怪のくせにちまちまと。そんなことだから人間から畏れを集めることが出来ずこんな山奥に逃げ隠れすることになるんだろう?」


「畏レガ集マッテイナイノハ本当デスガ、ココニ逃ゲテ来タノハ変ナ人間カラ逃ゲルタメデス」


「妖怪ハンターのことか? そんなもの私は一度も見たことがないがな」


「貴女ハドウシテココニ居ルノデシタカ」


「ん? 君が畏れを集めるのを協力するためと、山であれば食材が豊富だからだと追いかけて来たときに説明したじゃないか」


「ドウシテ貴方ハソコマデ根性ガ図太クナレルノデスカ」


「どうした。そう何度も褒められては照れるじゃないか」


「嫌ミガ通ジナイ……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る