第3話「答え合わせ」

[ 主に出てくる人物 ]

有栖川 小豆(ありすがわ あずき)

高一の女子校生。桜ヶ丘高校の生徒 ショートカットでややツリ目こちらから見て左の目の下にホクロがある。葉澄と一緒のクラス。


天花寺 葉澄(てんげいじ はすみ)

小豆と同じ桜ヶ丘高校に通う高一の女子校生。腰まである艶のあるサラサラな黒髪、姫カット目はおっとり、こちらから見て右耳の上あたりにリボンをつけている。


ー2人は付き合っているー。


「これだ…!」私はハッと目を開けて起き上がる。時間を見れば、いつの間に寝ていたのだろうか、時計は朝の6時を指していた。別に寝坊をしたわけでもないのに私は急いで身支度を済ませる。

(早く…早く葉澄に会って聞きたい…!)この事が合っているかの自信なんて更々ない。けれど聞きたかった。早く葉澄に会いたくて仕方がなかった。私は走りやすい靴を履いて、思い切り家のドアを開けた。ただただ早く会いたかったので、私は駅まで走った。思ったよりも駅に着いたのが早かったので、私が乗る電車が来るまで10分程度の時間があった。(早く来てよ…。)私はそう思いながら電車が来る方向を見ながら熱い頬を右手でおさえた。

すると制服のポケットからブルブルと振動がきた。ポケットからスマホを取り出すと、葉澄からメールが来ていた。『おはよう。』私が返信をしようとした時だった。背後から声が聞こえた。

「おはよう。小豆ちゃん。」声で分かった。(葉澄……!?) 私は振り返って「なんでここにいんの!?」と、驚きが隠せない表情で言った。「なんでって…今日お父さん仕事行くの早かったから、ついでに駅に送ってもらおうと思ったんだけど…いつもの駅だと今行くには早すぎたから、こっちの駅に送ってもらったの。」葉澄は笑っていた。すると私達が向かう桜ヶ丘駅で停まる電車が来た。「ジャストタイム。」嬉しそうな葉澄は笑って私の手を引いた。

座席に腰を掛けて葉澄を見つめた。私の視線に気づいた葉澄が、私を見て、「そう言えば…どう、分かった?あの言葉の意味。」それを言われて気づいた。葉澄と一緒に登校できる喜びで忘れていたけどそれを言うために早くきたのだ。「うん。多分…もしかしたらだけど。」そう言って私は足のつま先でコツコツと遊んでいた。「そっか、じゃあ聞いてもいい?答え合わせ…」私は葉澄に頷いて、口を開いた「あのね………!?」と、言いかけたときに葉澄は私の口を抑えて、「やっぱり放課後。楽しみにしておきたい。」そう言って葉澄はニコッと笑顔を作る。(いや…嘘でしょ?せっかく分かったかもなのに…答え合わせが放課後だなんて…!)「わ、わかった。」そう言って私は楽しそうにしている葉澄を見て、ポリポリと頬を掻いた。

駅に着くアナウンスを聞いて、私と葉澄は立ち上がった。私より身長が数センチ高い葉澄はまるでお人形さんのようだった。

それから時間を飛ばして、

ー放課後ー

私と葉澄は学校の近くにある公園のベンチに腰を掛けて、「葉澄は受験の時、電車で痴漢にあった。」そう言うと葉澄は驚いたように「正解。」と言った。私は心のなかでガッツポーズをして話を続けた。「その時、私は『この人、痴漢でーす。』と言って、葉澄を守った。その事について『ありがとう』と言った。どう?合ってる?」そう言って私は葉澄を見た。「そういうこと。」そう言われた途端私はホッとした。全身から力が抜けていったのが分かった。

「どう?びっくりした?」葉澄に聞かれて思い切り首を縦に振った。その時の葉澄と今の葉澄の姿はものすごく違っていたから。「うん、会ったときは全然気付かなかった!」私は正直にそういった。「やっぱり…?私その時、眼鏡してたし…三つ編みで地味だったからなぁ…」そう、その日出会ったときは、ものすごく地味だった。「なんで…イメチェンしたの?」私は葉澄を見つめて聞いた。聞かれると思っていなかったのだろうか、目を見開く葉澄は頬を真っ赤にしていた。「えぇっと…小豆ちゃんがカッコ良かったから。」「……え?」(何言ってんだこの人は…)そんなことを思いつつも、葉澄の話を聞くことにした。「小豆ちゃん、私から痴漢の人、守ってくれたでしょ?そのときスッゴい嬉しかったの。けれど、そのときの私は地味で、小豆ちゃんと友達になりたいなんて思っても、叶えられる気がしなかったの。だから、高校に入ってから憧れだった姫カットにして、眼鏡をコンタクトにして、高校デビューしたの。」恥ずかしそうに話す葉澄をよそに私はぽかんとしていた。すると葉澄は続けるように言った。「………あのね…!」

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