第33話新大陸だけど大丈夫だよね?

しばらく進むと、大陸が見えてきた。

「やっと見えてきましたね。」

「まずは船を停めれる港に行こう。」

私が言うと兄が答える。

そして陸沿いに進むと港町に到着した。

船を着けて港に降りる。

「やっと地面ですっ!やっぱり大地はいいですね〜っ!!」

私は船酔いから開放されて歓喜する。

「しかし、港町なのに他に船は停まってないわ人もいないわでどうしたんだろうな?」

あたりを見回すと大きな町なのに人が全くいない。

「とりあえず見て回らない?」

ミンティアが話しかける。

「そうだね。なんかこの感じは普通じゃないね。」

湊が答える。

そしてみんなで町中を歩いてみることにした。

しばらく人気のない道を歩いていると、背中に大きなリュックを背負った老人に遭遇した。

「おや、あんたら旅の人かい?」

「はい、いまさっき着いたとこです。」

「そうかい。なら悪いことは言わないからさっさと町から出ていくことを勧めるよ。」

「あの、何かあったんでしょうか?」

私が老人に尋ねると老人の口が開く。

「この近くの廃城に魔王軍の幹部が住み着いてね。みんな慌てて逃げ出したのさ。」

「「「「「魔王軍の幹部!?」」」」」

私たちは口を揃えて驚いた。

「とにかくあんたらも逃げなっ!」

そう言うと老人は去って行った。

「それで、どうしましょうか?」

私がみんなに尋ねる。

「魔王軍の幹部じゃ放っておくことはできないだろう。」

「そうね、今逃げたところでいずれは戦わないと行けないのだし。」

「うん、ボクたちならきっと倒せるさ!」

「リアも頑張るっ!」

「なら答えは決まりましたね。行きましょう!でも今日はみんなお疲れでしょうから休みましょう。」

私が言うと兄が尋ねる。

「じゃあ今日は一度家に帰るか?」

「それが、距離が離れすぎているせいかて魔力が足りないんです。今日は帰れません…。すみません…。」

私が暗い顔で答える。

「しかたないな。勝手に使うのは気がひけるが宿屋の設備を借りよう。」

そして今夜は無人の宿屋に泊まることにした。


翌朝、私はみんなより早く目が覚めた。

「ん、もう朝ですか…。!?」

目を開けると目の前には兄の寝顔があった。

「まだ夢を見てるみたいですね。おやすみなさい。」

そう言って目を閉じると兄が私に抱きついた。

「ん〜、ムニャムニャ…。」

兄はまだ眠っている。

(夢じゃない!?夕べ私はたしかに一人で布団に入ったはず…。でもこれはこれで幸せですっ!もうしばらくこのままでいましょう…。)

すると寝ぼけた兄の手が私の胸を思いきり揉んだ。

「きゃっ!!」

私は思わず声を上げて体が反射的に起き上がる。

「あれっ?ほのか?なんで俺の布団に?」

兄が目を覚ました。

「ち、ちち違いますよっ!!?ここは私の布団ですっ!」

私は顔を赤くしながら答える。

「あ、ホントだ…。すまん!!トイレに起きて、布団を間違えたみたいだ。ホントにごめん!」

兄が答えるあわてて私に謝罪する。

「べ、別にかまいませんよっ。いつもは私が勝手にお兄ちゃんの布団に入ってるんですから。それよりお手洗い行ってきますっ!」

私は部屋を飛び出した。

(あ〜っ、まだ胸がドキドキしてます…。お兄ちゃんが私の胸を…。嬉しいような恥ずかしいような…。)

私は心臓が落ち着くまで待ってからみんなのもとへ戻った。

「よし、みんな準備はいいな?」

「はいっ!いつでも!」

「大丈夫よ。」

「ボクもいいよ。」

「リアもいけるよっ」

兄の声かけにみんなが答える。

「さぁ、出発だっ!」

そして町を出て少し歩くとすぐに目的地についた。

「ここですね。」

「ああ、どうみても廃城だな。」

それはいかにも何かが出そうな古い城だった。

「とりあえず入ってみよう。」

兄がそう言うと扉を開ける。

中に入ると声が聞こえてきた。

「何者ですか?私の城に御用かしら?」

現れたのは美しい女性だった。

「俺は勇者ユウタ。お前は魔王の手先だな?」

「なに?勇者…。魔王様にあだなす人間はここで葬りさらなければなりませんね。私は魔王軍四天王が1人メルム。まぁ死にゆくあなた達に名乗るのもムダなことでしたね。さぁ、死になさい。」

そう言うと突然床に大穴が空いた。

「えっ!!??」

私たちは突然のことになす術もなく真っ逆さまに落ちていく。下を見ると地面には無数の刃の山が。

「リアっ!!」

兄が叫ぶとリアが変身し、間一髪で私たちを背中に乗せて飛び上がる。

「リア、ありがとうございます。助かりました。」

私がリアにお礼を言う。

「リア、えらかったぞ。」

兄がそう言うとリアの背中を撫でる。

そして城の床に降り立つ。

「あらまぁ。残念。エンシェントバードがいたのね。これならどうかしら?」

メルムがそう言うと突然消えた。

「な、逃げたのか!?」

兄が言うと、どこからか地響きが聞こえ城が崩壊した。

「みなさん!私につかまってください!テレポっ!」

私は急いで城の外に転移した。

すると城は跡形もなく崩れ落ちた。

その様子を眺めていると空から声が聞こえてきた。

「転移魔法が使えるのね。これは誤算だったわ。」

見上げるとメルムが浮いていた。

「どうやらメルムは魔術使いのようですね。それなら!ケット・シー!!」

私はケット・シーを召喚し、リフレクトシールドを展開する。

するとメルムが杖をかかげ、

「私が手を下す必要がありそうですね。」

そう言うとエアカッターを放ってきた。しかし魔法は反射される。反射された攻撃をメルムはひらりとかわす。

「あらまぁ。そんなことができるのね。でもそんなことは私の前では無意味。」

メルムが手を突き出すとあたりが激しい光につつまれる。

するとリフレクトシールドが消えてしまった。

「なっ!魔法効果を解除された!?」

そしてすかさずファイヤジャベリンが飛んできた。

「くそっ!」

兄はそう言うとマジックブレイカーで魔法をかき消す。

「エアカッター!!」

私が風の刃を放つ。しかし、魔法で防御されてしまう。

「なんとかやつの懐に入れればいいんだけど。」

兄がそう言うと私は兄の腕をつかむ。

「私がテレポで背後に転移します。」

そしてメルムの背後に転移すると兄がすかさず攻撃をしかける。

「電光關火!!」

スキをついて見事に真っ二つにした。

・・・はずだったのだが、すぐにくっついてしまった。

「なんだ、今のは。斬った手応えが全く感じられなかった…。まるで空を斬るみたいな。」

私はとりあえず兄を連れてテレポでメルムから離れる。

「私にはそんな攻撃なんて効かないわ。だって不死身だもの。」

メルムが言う。

「ホントに不死身なのか?それならどうすれば…。」

すると次は大量の氷の槍が降り注ぐ。

「ファイヤウォール!」

私が炎のカベで防御する。

「ちょっと待てよ?今の攻撃、微妙に飛んできた方向が違くないか?」

兄が何かに気づいた。

「そう言われると何か違和感がありますね。」

私が答えると、さらに攻撃が飛んできた。

兄がマジックブレイカーでかき消す。

「やっぱりそうだ!魔法はやつの後ろから飛んできている!」

メルムの後ろをよくよく見てみると、一部の空間が歪んでいるように見える。

「ファイヤショット!!」

その空間めがけて魔法を放つと目の前にいたメルムが消えて、その空間の前に魔法のカベが現れファイヤショットが防御される。

すると空間からメルムが姿を現した。

「あら、ばれちゃったのね。やるじゃないのあなたたち。」

「お前が本体だなっ!?」

兄がそう言うとメルムめがけて走り出す。湊も後につづく。

攻撃をかき消しながら進み、ついにたどり着いた。

「電光關火!」

「神速剣!」

兄と湊が同時に仕掛ける。

するとすかさずメルムが上空に逃げる。

「それを待ってましたっ!!サンダーボルト!!」

私が用意していた雷雲から雷を放つとメルムに直撃した。

「そ、んな。私がやられるなんて…。まお、うさ…ま…。」

メルムがそのまま地面に落下し、消えてしまった。

こうして二人目の四天王を撃破したのだった。


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