第28話火山にきたけど大丈夫だよね?

翌日、ミンティアがみんなを集めた。

「昨日帝都で宝玉について聞いてきたわ。」

「で、何かわかったのか?」

兄が尋ねる。

「この大陸の宝玉は、ハイデンベルクからずっと南に行ったところにある、火山の洞窟にあるらしいわ。」

「火山ですか〜。熱そうですね。」

「そうなのよ。溶岩が流れている場所もあるみたいだから魔法でなんとかしないと難しいでしょうね。」

すると湊が話しかける。

「ボクの空間制御魔法ならなんとかなるとおもう。みんながボクから離れなきゃ大丈夫だとおもうよ。」

「そうですね。火山の熱エネルギーを変換したらなんとかなりそうですね。でもまだ複数同時のベクトル操作はできないんですよね?」

「そうなんだよ。だから敵が現れたらボクは戦えないと思う。ごめんなさい。」

湊が少ししょんぼりして答える。

「心配するな。俺達でなんとかするから大丈夫だ。」

兄がそう言うとリアも

「うんっ。リアもがんばる!」

と張り切っている。

「よし、じゃあさっそく出発しよう!」

そして火山を目指して旅立つのだった。

ハイデンベルクを出発してしばらく走り、草原に出たところで魔物に遭遇した。

「まずい、ウェアウルフの群れだ!」

小型の狼の魔物が大量に現れた。数はおよそ50匹と行ったところだ。

「みんな、気をつけろ!電光關火っ円月斬り!」

兄が超スピードで刀を抜き、5匹をまとめて斬った。

「蒼き炎よ、光となりて焼き尽くせ。ファイヤショット!」

炎で私も5匹倒した。

「リア、この瓶の中身を風でぶつけて!」

「わかった!エアショット!」

ミンティアが瓶から液体を出してそれをリアが風でウェアウルフに飛ばした。

10匹ほどに液体がかかり、苦しみ出して倒れた。

「よーし、ボクだって!空間制御っ!空気を圧縮、圧縮…。風の流れを計算してっと。」

そしてウェアウルフの群れが湊の空間に入る。

「よし、今だっ!」

圧縮した空気を一気に開放し、空間内で大爆発が起こる。そして中にいたウェアウルフが粉々になった。

そして残りは10匹ほどになり、それらは逃げてしまった。

「ふぅ、なんとか乗り切ったな。」

ウェアウルフを倒し、しばらく進むと火山の洞窟に到着した。

「わ、まだ入ってないのにすごい熱気ですっ!」

「みんな、僕のそばから離れないでねっ。空間制御っ!」

湊の半径10mが制御された空間で覆われる。

「さぁ、行きましょう。」

そして洞窟へ入る。中はところどころ溶岩が流れていて割と明るい。

しばらく進むと魔物が現れた。炎の魔物メラゴーストだ。

「ここは私がっ!右に炎を、左に冷気を!消えてなくなりなさい、ドルモーア!」

消滅の魔法でメラゴーストは消え去った。

そしてさらに進むと今度は小さなドラゴン、ベビードラゴンがあらわれた。

「俺にまかせろ!」

兄がそう言うと、あっという間に真っ二つにした。

「さすがお兄ちゃんですっ!」

私が兄に抱きつこうとした時、

「あぶないほのか!ホーリーショット!」

私の後ろにいたメラゴーストを兄が真っ二つにした。

「まったく、油断するなよ!」

「ふぇぇ、ごめんなさい〜。」

私は兄に謝る。

さらに進むと、巨大な溶岩の川に行く手を遮られた。

「これはどうしようか。空間制御じゃ渡るのは難しいかも。」

「私にまかせてください。土よ、カベになりて防げ。アースウォール!!」

溶岩の吹き出し口を巨大な土のカベでせき止める。

「急ぎましょう!長くはもちません!」

そしてみんなで急いで渡るのだった。

だいぶ洞窟を進み、やがて火山の中心部まできた。そこには人口的に作られた扉があった。

「なんだこの扉は。こんなところに。」

そして中に入ると中は神殿のようになっていた。しかも全く火山の熱が届いていない。

神殿の中心部に祭壇があり、白く光る玉が供えてあった。

「これが宝玉ですね。やりましたねっ!」

「そうだな。意外とあっさり手に入ったな。」

そして宝玉を手にし、神殿を出ようと引き返したその時、目の前に剣を持った大きな猫が現れた。

「我が名はケット・シー。宝玉を守るものなり。そなたらの力、試させてもらおう!!」

そう言うとケット・シーが襲い掛かってきた

「くるぞっ!」

剣を振り上げて近づいてくる。

「私がやります!ファイヤショット!」

炎がケット・シーに向かっていく。しかし、光のカベに反射して戻ってきた。

「ほのか、あぶない!」

兄がとっさにマジックブレイカーで反射された魔法をかき消した。

「まさか、魔術反射!?」

「そうみたいだ。ほのかは下がっていろ!」

「わかりました。私はサポートだけします!クイック!」

私は兄にクイックをかける。

「電光關火!」

兄がケット・シーに超スピードで斬りかかるがすべて防がれる。

「光よ、守りの力を与えたまえ。プロテス!」

私は兄に防御魔法をかける。これで多少の物理攻撃は軽減される。

「湊っ!俺がスキを作るから合図したら攻撃してくれ!」

兄がケット・シーの攻撃を防ぎながら湊に話しかける。

「わかった!」

そして湊が攻撃に備えて待機する。

「身体強化!」

剣と刀がぶつかり合い、兄の刀がケット・シーの剣を力で上に押し上げた。

「今だ湊っ!!スイッチ!!」

腕が上に上がり、無防備になった胴体に湊が攻撃をしかける。

「神速剣!!二刀剣舞六連!!」

2本の剣で連撃を放つ。

かなりのダメージを与えたが、ケット・シーが倒れることはなかった。攻撃を終えた湊にケット・シーの剣が襲い掛かってきた。

「湊!あぶないっ!」

兄がとっさに湊を突き飛ばす。

そしてケット・シーの剣が兄に直撃する。あまりの威力にプロテスが破られ、兄の右腕が肩から切断された。

「ぐあぁぁ〜!!」

兄が倒れ込む。

「お兄ちゃんっ!!今治癒魔法を!!」

私は兄に駆け寄り斬られた腕を治そうとする。

「よくも先輩を!!」

湊がケット・シーに攻撃していく。

「ダメです!!全然治りません!!誰かお兄ちゃんを助けてください!!ふぇぇ〜…」

治癒魔法では全然治る気配がない。

するとミンティアが駆け寄ってきた。

「ほのか!!これをユウタに飲ませて!」

ミンティアから小瓶を受け取り、意識朦朧(いしきもうろう)の兄になんとか飲ませた。

するとなんと斬れた右腕がくっついた。

「良かった、間に合って。」

ミンティアがほっとしている。

そしてダメージを負って動きが鈍くなったケット・シーの剣を湊がはじき飛ばした。

「これでトドメだよ!!ツインエクスストリーム!!」

超高速で無数の斬撃をケット・シーに浴びせついに倒したのだった。

「見事だ。我の力をそなたに貸そう。我の力は魔術反射。必要な時に呼び出すがよい。」

そう言うとケット・シーは消えてしまった。

私達は苦闘の末、召喚獣ケット・シーを手に入れた。

「先輩!!大丈夫ですか!?」

ケット・シーを倒した湊が兄に駆け寄る。

「あぁ、なんとかな。ミンティアのおかげで助かった。」

「あなたが飲んだのは自己治癒力を一時的に数百倍にあげる薬よ。身体に負担がかかりすぎて確実に寿命を縮めてしまうからもう二度と使うことがないよう気をつけて。」

ミンティアが説明する。

「とりあえず今は帰りましょう!みなさんつかまってください。テレポっ!」

そしてなんとか一つ目の宝玉を手に入れたのだった。

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