第26話空間制御魔法でどんな攻撃も大丈夫だよね?

一方その頃ユウタたちは…。

「左に避けろっ!次は上をだっ!」

飛んでくる炎攻撃からリアが避けている。

「く、これじゃ近寄れないな…。ホーリーショットっ!」

しかし距離がありすぎて届かない。

「私が動きを止めてみるわ。ダークアイ!」

ミンティアが闇魔法でドラゴンの視界をうばう。

「よし、リア行くぞっ!」

「うん!お兄ちゃん!」

「身体強化っ!!」

そしてリアがドラゴンに最接近する。

「七閃っ!!」

斬撃がドラゴンを直撃する。しかし大ダメージは与えたものの倒すまではいかなかった。

「なんて硬いウロコなんだ。リアっ!ドラゴンから離れろっ。」

そして闇魔法の効果が切れる。

「全身の力を一撃に込めて放つしかないな。リア、あいつより上空に飛んでくれ。やつに向かって飛び降りるから攻撃したあと俺を受け止めてくれ!」

「わかったっ!お兄ちゃん気をつけてね!」

そして炎をかわしながらドラゴンの上に行く。

「ミンティア、もう一度魔法できるか?」

「ええ、あと一回だけなら。」

「よし、頼む!」

ミンティアがロッドをかまえる。

「闇よ、視界を奪え。ダークアイっ!!」

次の瞬間俺はドラゴンめがけて飛び降りる。

「身体強化全開!!行くぞ!天龍閃!!」

全力の力を込めて落下スピードも合わさりドラゴンの首元に一撃を入れる。そしてキレイに首が真っ二つに切断された。

「お兄ちゃんっ!やったねっ!大丈夫?」

ドサッとリアの背中に落下した。

「先輩すごいっ!あんなドラゴン1人で倒しちゃうなんてっ!」

湊が俺のウデをつかみながら興奮している。

「まぁリアとミンティアの協力があったからだけどな。はぁ…。でも身体強化の反動でもうクタクタだよ。リア、ほのかのところに降りてくれ。」

「うんっ!わかった!」

そしてリアが方向転換しようとしたまさにその時、白に近い色の凄まじい威力の炎がとんできた。

湖に落ちたドラゴンがかろうじて生きており、最後の力で全力の攻撃を放ったのだ。

「ヤバイっ!回避が間に合わない!!クソッやられる!!」

俺はもう1人で立つことすらできない。

「先輩っ!!危ないっ!!」

湊が俺の前に立ち両手を広げた。

「バカっ!やめろっ!」

俺が必死に叫ぶ。

「先輩はボクが守るっ!!!」

するとなんと半径10mくらいの光でできた球体の壁が現れた。

そこに炎がくる。カベの中に入り、こちらに届く直前炎は向きを変えドラゴンの方に向かった。超高温の自分の炎を受けてもともと体が溶けて瀕死のドラゴンは跡形もなく燃え尽きてしまった。

「やった…の?」

ミンティアが言う。

「そうみたいだな…。湊、今の力は?」

「そんなのボクに聞かれても。とにかく炎を跳ね返さなくちゃって思ったら。」

「今のが空間制御魔法なんだろうな。とにかく降りよう。」

そして地上に降り立った。


「お兄ちゃんっ!大丈夫でしたかっ!?」

私は湊に支えて歩いてくる兄に走り寄った。

「あぁ、なんとかな。湊のおかげで助かった。」

「遠すぎてよく見えなかったんですけど、炎がお兄ちゃんたちに当たる直前跳ね返ったように見えたんですけど。」

「そうなのよ。ミナトが光の壁を作ってそこに炎が入ってきたら炎が向きを変えたのよ。たぶんあれが空間制御魔法ってやつね。」

「湊さんすごいですねっ!!」

「無我夢中だったから…。」

湊が少し顔を赤くして照れている。

「これは私の推測なんですけど…。湊さんの空間制御魔法って、一定の空間の中であらゆる力の向き、つまりベクトルを制御する力なんじゃないでしょうか。あの光の壁はその効果範囲内ということでしょう。」

私が説明する。

「なんか難しい話ね。つまりなんでも反射できちゃうってことよね?」

「そうですね。魔術的なことはわかりませんが効果範囲内では物理攻撃は完全に通用しませんね。湊さん、重力の向きが逆さになるよう強くイメージしてみてください。みなさん湊さんから離れてください!」

「わかった。やってみる。」

すると湊の周囲に光の壁があらわれ湊が宙に浮く。

「すごいすごいっ!空を飛んだっ!」

湊が自由に空を飛び回る。

「成功ですね。重力のベクトルを変換できたようです。」

「なんだそりゃあ。最強の魔法じゃないか。湊の前じゃ、力なんて意味をなさないってことだな。」

兄がそう言うと湊が降りてきた。

「まだ加減が難しいみたい。みんなと飛んでみたいけどムリッぽいや。」

「まぁ、また練習するとして、先に進もう!」

「そうですね。鉱石を見つけないと。」

そしてしばらく歩くと洞窟を発見した。

「わーっ!大きな洞窟ですね〜。今明かりをつけます。フラッシュボール!」

光の玉が宙に出現する。

「前から思っていたのだけれど、その魔法ってどういう原理なのかしら?」

ミンティアが尋ねる。

「これはですね、風魔法で一定空間を真空にして、その中で高圧力の炎を火魔法で出してるんです。真空内では炎は燃え広がりませんから。電球のイメージですね。」

この世界に電球はなく、みんな光る魔石で作られた灯篭を使って生活している。

そして洞窟を進んでいき、最深部に到達した。

「ここまで全然魔物がでませんでしたね。」

「そうだな。だが油断するなよ。」

最深部には大きな青色の鉱石があった。

「あれがミスリル鉱石ですねっ!」

そしてミスリル鉱石に近づくと鉱石が動き出した。

「わ、動いたっ!!まさか魔物!?」

ミスリル鉱石の甲羅でできた亀の魔物、ミスリルタイマイだ。

「ミスリル鉱石って魔物だったのか!」

「私がやります!」

兄はもう体力が残っていない。

「ほのかちゃん、ボクにと一緒に!」

そしてミスリルタイマイが氷の息を吐いた。

「亀なのに冷気攻撃した!?」

「ファイヤウォール!」

とっさに炎のカベで防ぐ。

「ほのかちゃん、あいつのそばに連れて行って?」

「わかりましたっ!テレポっ。」

そしてミスリルタイマイの真後ろに転移する。

「行くよっ!」

光のドームがあらわれ、ミスリルタイマイが宙に浮き、逆さに落下する。

「ほのかちゃん、今だよ。やつのお腹は鉱石じゃない!!」

「炎よ、槍となりて突き刺され。ファイヤジャベリン!!」

逆さまになったミスリルタイマイの腹に複数の炎の槍が突き刺さる。そしてミスリルタイマイは息絶えた。

「やったねほのかちゃん!」

湊が喜ぶ。

「よし、ミスリル鉱石をとって帰ろう。」

ミスリルタイマイからミスリル鉱石を取り出し持って帰ることに成功した。よく見るともっと奥の空間にもミスリルタイマイがウヨウヨしていたが特に襲ってこないためそのまま引き返した。




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