第25話龍の谷にきたけど大丈夫だよね?

翌日、湊を連れて武器屋にきた。聖魔法で湊を浄化したとき、鎧と一緒に剣も消えてしまい武器がないからだ。

「ボクも先輩みたいな日本刀がいいなぁ。」

「これはこの武器屋で1つだけ売れ残ってたやつなんだよ。昔俺達と同じように召喚されたやつが鍛冶屋に作らせたらしい。」

「そっかー。残念。」

そしていろいろ剣を見て回る。

「なんかしっくりくるのがないなぁ…。まぁ、これでいいかぁ。」

湊はごくありふれた普通の剣を買うことにした。

いったん家に帰りスキルを試してみることになった。

「とりあえず練習だからこの木刀でな。」

木刀を湊に渡し、兄も木刀を構える。

「スキルもイメージが重要なんだ。早く動くイメージをしながら…。電光關火っ!」

兄が超スピードで湊の後ろに回る。

「わ、すごっ!全然見えなかった…。」

湊が驚いている。

「いや、湊もおんなじことができるんだって。実際にやってたんだから。」

「そうかな?じゃあやってみるね。イメージ…イメージ…。神速剣っ!」

すると湊が超スピードで兄に向かう。

そして木刀と木刀がぶつかり合う。

「ほら、できたじゃないか。このまま手合わせするぞっ!ついてこい!電光關火っ!」

二人とも超スピードで動きながら打ち合っている。そして兄の木刀が湊の木刀を弾き飛ばした。

「まいりました!さすが先輩だね。やっぱ敵わないや。」

「いや、お前もだいぶウデをあげたな。俺がいない間にずいぶん練習したんだな。じゃあ次はディスペルだな。湊、ほのかに向けて、魔法を封じるイメージでやってみてくれ。」

そして湊が私に向けて片手をつきだす。

「ディスペル!!」

すると私が魔法を使おうとしても魔法のイメージがまったくできなくなった。

「成功ですっ。全然魔法が使えませんっ!」

「よしっ。これはなかなか使えそうな技だな。魔術師の敵相手なら無敵だ。」

「そっかー。役に立てそうで良かった!」

湊がそう言うと兄が提案する。

「戦う準備はもう十分だろう。よし、なら実践に行こうか。」

そして私達は最初に特訓した森に行くことにした。

森に入るといきなり魔物があらわれた。熊の魔物、テリーベアだ。

「よし、湊。試しにあいつを倒してみてくれ。お前のレベルなら絶対大丈夫だから。」

兄が湊に話しかける。

「わかった。やってみるよ。」

そして湊が剣を抜き、構える。

「神速剣っ!!」

湊が超スピードでテリーベアに斬りかかり直撃した。

テリーベアは真っ二つになったが、『カキンっ』という音とともに湊の剣が折れた。

「あれっ!?折れちゃった…。」

湊の技の威力に耐えられなくて剣が折れてしまったのだ。

「ありゃ。湊が強すぎて剣がついていかなかったんだな。」

兄が話す。

「どうしよ。もっといい剣がないとダメですなのかなぁ。」

湊が落ち込みながら答える。

「湊さんに合う武器を探しに行きましょうっ!」

私が提案すると、

「そうね。きっとミナトにふさわしい剣がどこかにあるわよ。」

ミンティアが答える。

そして、一度戻ることにした。

「ミナト、鍛冶屋にオリジナルの剣を作ってもらうのはどう?」

「鍛冶屋かぁ。行くだけ行ってみようかな。」

湊がうなづく。

「鍛冶屋さんはどこにあるんですか?」

わたしが尋ねると、

「こないだの帝都ルマンダで見かけたわ。」

「よし、じゃあ早速行ってみよう!ほのか、頼む。」

「はいっ!行きますよ。テレポっ!」

帝都ルマンダの鍛冶屋に到着した。

「あの、すみません。剣を作ってほしいんですけど。これが折れちゃって、これより硬い折れない剣をお願いします!」

湊が折れた剣を見せて説明する。

「どれ、…ふむふむ。この剣の素材は一般的な中でも割と硬いほうなんだが。これより硬い剣となるとなぁ。」

店主が悩んでいる。

「あの、やっぱりムリでしょうか。」

「いや、ムリということはないが…。それには素材が足りない。あんたらが素材を持ってきてくれるんなら作ってやるんだが。」

「どんな素材が必要なんだ?」

兄が店主に尋ねる。

「ミスリル鉱石があればなんとかなる。でもこれは貴重で滅多に市場に出回らないんだ。」

「あの、どこにあるかはわかりますか?」

私が尋ねる。

「自分で取りに行くのかい?それはやめといたほうがいい。危なすぎる。」

「大丈夫ですっ!私のお兄ちゃんは世界最強なので!」

「まぁそこまで言うなら…。この大陸の東の果てに龍の谷という場所がある。そこにある巨大な洞窟の中にミスリル鉱石があるらしい。しかし、その洞窟に辿りつくまでがやっかいなんだ。レッドドラゴンの巣になっていてな。大量にいるらしい。」

「ドラゴンなら大丈夫ですね。私にはバハムートもついてますし。」

「そうだな。まずは行ってみよう!」

そして私達は龍の谷を目指すことにした。

ルマンダを出て、風力車で東に向かう。

「ほのかすごいね。魔法でこんな車動かせるなんて。」

湊が言うと、

「そんなことないですよ〜。疲れたらリアが交代してくれますし。車輪が木ですから乗り心地は悪いですけどね。」

しばらく走ると龍の谷の入り口についた。

「地図をみるかぎりここのようですね。」

「みんな、ここから先は油断するなよ。湊は俺のそばを離れるなよ。武器がないんだから。」

「わかった!先輩がボクを守ってね。」

そして龍の谷に入り少し歩くと、

「あぶないっ!上から来ます!」

私が未来視で予知する。上空から炎が迫ってくる。

「エアストシールドっ!!」

私がとっさに防御する。

「ドラゴンかっ!?」

兄がそう言って上を見る。

はるか上空を赤いドラゴンが3匹飛び回っている。

「3匹か…。やっかいだな。」

「バハムートなら一撃でしょうけど使ったら魔力切れになりますからね…。」

「しかも空を飛んでるしな。よし、リア。俺達を乗せて飛んでくれっ!」

兄がリアにそう言うとリアは、

「うん、いいよっ!」

と言って変身した。

「わっ!リアが鳥になったっ!?」

湊がリアを見て驚いている。

「そういえば湊さんには言ってなかったですね。リアはエンシェントバードっていう鳥の魔物なんですよ。」

わたしが説明する。

そしてみんなを乗せてリアが飛び上がる。

「蒼き炎よ、光となりて焼き尽くせ。ファイヤショットっ!!」

炎をドラゴンに放つ。直撃したのだが全くの無傷だった。

「炎耐性があるようね。ほのか、この瓶を投げるから風で飛ばしてくれない?」

ミンティアがカバンから小瓶を取り出した。

「わかりましたっ。風よ舞え、エアショット!」

ミンティアが投げた小瓶が突風でドラゴンにぶつかり割れた。中の液体が出てくるとドラゴンの体が溶けてきた。ドラゴンは悲鳴をあげると近くの湖に落ちていく。

「よし、あと2体だ。ほのか、1匹頼めるか?」

兄が言う。

「はいっ!まかせてくださいっ!アップドラフト!」

私は上昇気流をおこしリアから飛び降りる。

「お兄ちゃん、気をつけてくださいっ!」

「ああ、ほのかもな。」

そしてドラゴンが炎をはいてきた。

「ウォーターショットっ!」

高圧放水で相殺しようとしたのだが炎の温度があまりに高く蒸発してしまった。

「いけない、テレポっ!」

間一髪で地上に転移して炎をかわした。

「アップドラフト!!」

ふたたび空に飛び上がり、

「エアカッターっ!」

風の刃で片方の羽を斬ることに成功し、ドラゴンが落下する。

「さぁ、地上戦ならもうこっちのものですっ!」

怒ったドラゴンが炎を溜めている。

「え…。この攻撃はヤバそうです。炎よ、業火になりてすべてを焼き尽くせっ!」

そしてドラゴンの最大の炎がきた。高温すぎてやや白い光のごとく放たれた。

「マキシマムヘルファイヤ!!」

私も最大威力で炎を放つ。

2つの炎がぶつかり合い、やがて消えてしまった。

「はぁ、はぁ…。なんとか防ぎきりましたね。」

そしてドラゴンも疲れ果てたのかじっとしている。

「今ですね。テレポっ!」

ドラゴンの背後に回り込み、ドラゴンに手を当てる。

「絶対零度フリーズエレメントっ!!」

ドラゴンが一瞬にして氷漬けになった。

なんとかドラゴンを倒すことができた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る