第17話潜入捜査だけど大丈夫だよね?

城に到着し、とりあえず木の陰にかくれることにした。

「まずは私が偵察してくるからあなたたちはここで待っててくれるかしら。」

「わかった。無理はしないでくれ。」

「えぇ、行ってくるわ。」

そしてミンティアが城にいく。

「待て!お前は何者だ!」

門の前で兵士がミンティアに尋ねる。

「私は旅の兵士が薬売りでございます。この度は大変貴重な薬が手に入りましたので、ぜひご領主様に見ていただきたく参上いたしました。」

ミンティアが薬を見せて説明する。

「ふむ。薬売りか。いいだろう。通りなさい。下手なマネはするなよ。」

「はい、ありがとうございます。」

そしてミンティアが中に入る。

(なるほど、あちらこちらに兵士が配置されてるわね。)

城の中を見回しながら進む。

「あら、見慣れない顔ですわね?商人かしら?」

1人の少女が話しかけてきた。

「はい、私は旅の薬売りでございます。ご領主様にお会いしたくやってまいりました。」

「あら、お父様に?なら私が案内いたしますわ。ついてらして。私は領主ムスカの娘リサと申します。以後お見知りおきを。」

そして領主の部屋に着いた。

「兵士より話はきいておる。そなたは薬売りだそうだな。して、どのような薬があるのかね?」

領主が話しかけてきた。

「はい、体力・魔力回復薬から毒消し、希少薬のエリクサーまで揃えてございます。どんな薬をご所望(しょもう)でしょうか?」

「ねぇ、薬売りさん、美容に効く薬はございますか?」

リサが尋ねる。

「はい、ございます。こちらのオイルを毎日入浴後または洗顔後に塗ることでリサ様のお美しさをいっそう美しくすることができます。」

ミンティアはそう言うと小瓶を差し出す。

「私はエリクサーをあるだけいただこうか。」

領主が言う。エリクサーとはどんな病気でも取り除くことができるS級ポーションだ。

「ありがとうございます。ではこちらを。」

ミンティアがエリクサーをだす。

「この美容液はいくらになるかしら?」

リサが尋ねる。

「エリクサーをこれだけ購入いただいたのでそちらはサービスさせていただきます。」

「ほう…。よいのか?金がというのは取れるところから取れるときに取れるだけ取るというのが基本的だぞ?」

領主が言う。

「これからもこちらで取引させていただけたら安いものでございます。」

「ありがとうございます、薬売りさん。あなたお名前は?」

リサがが尋ねる。

「ミディアと申します。」

(ここは偽名を名乗るのがいいわね。)

そして領主の部屋を出る。

「ところで最近よくない噂を耳にするんですけどご領主様に最近何かございましたか?」

ミンティアがリサに尋ねる。

「そうなのですよっ!お父様、昔はあんなことを言う人ではなかったのに、いつからか人が変わったようにお金を集めるようになったのです。以前は周辺の村々にも支援をなさるほど優しいお方でしたのに。」

「そうだったんですね…。話してくれてありがとうございます。」

「いえ、また他に美容に効くお薬がありましたら持ってきていただけますか?」

「もちろん最優先でご用意いたします。本日はありがとう御座いました。」

そしてミンティアが城を出る。


ミンティアが戻り、城の中のことを説明する。

「なるほど、人が変わったようにか…。」

兄が言う。

「まさか、魔物に乗っ取られているのでは?」

「そうかもしれないわね。確かめてみる必要がありそうね。世界のどこかにある『真実の鏡』があればわかるのだけれど。」

「しんじつのかがみ?」

リアが尋ねる。

「えぇ、どんな真実をも映し出す鏡だそうよ。私もどこにあるかはわからないのだけど。昔からいるような宮廷魔術師なら知ってるかも。」

「あ、それならあの人ならわかるかも!?」

「そうだな。行ってみよう!」

そして私たちはある家に着いた。

「おや、あんたたち久しぶりねぇ。ずいぶんと魔力が強くなったこと。」

でてきたのは黒いローブを着た初老の女性だった。

「この人は?」

ミンティアが尋ねる。

「私達に魔法の使い方を教えてくれた元宮廷魔術師のリディアです。」

「それで一体なんの用だい?ただ久しぶりに遊びに来たというわけでもないのだろう?」

リディアが尋ねる。

そしてリディアに事情を話す。

「なるほど、真実の鏡か。それならこのハイデルベルクから東に行ったところにマリンダという村がある。そこから海を渡り北にある小島にそびえ立つ真実の塔の最上階の神殿に収められておる。しかし、あの塔はいまや魔物の巣窟になっておると聞くぞ。それでも行くのかい?」

「はい、真実をあばくため、村の人たちのためにも行かなきゃいけないのです。」

私は言う。

「リアも、がんばるっ!」

「そうね。もし乗っ取られているのならリサも、かわいそうだし。」

「よし、真実の塔へ行こう!」

「お兄ちゃん、今日はもう遅いので明日出発しましょう。」

私達はリディアの家を出て真実の塔に向かうことにした。

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