第12話魔物の集団が攻めてきたけど大丈夫だよね?
久しぶりに家に帰ってきた。帰るための転移魔法を使える魔力は残っていなかったのでミンティアから魔力のポーションをもらって回復させた。
「ただいま〜、やっと帰ってきたな〜。みんな砂まみれだから先に風呂に入ったほうがいいな。」
兄が提案する。
「お兄ちゃん、一緒にはいろっ!」
リアが兄のうでにしがみつく。
「お兄ちゃんは私と一緒に入るんですっ!」
私も反対のうでにしがみつくと、
「どっちも入らないよっ!俺は後でいいからみんなで入ってきなさい。」
兄が振りほどいて言う。
「は〜い…。」
私とリアが声をそろえて返事する。
「さぁ、いきましょう。早くからだを洗いたいわ。」
ミンティアが先導する。
「じゃあせめて覗くだけでも!?」
「覗かないよ!」
兄が叫ぶ。
そして3人でお風呂に入る。
リアとは毎日入るが3人で入るのは初めてだ。
「ほら、リア。髪を洗うからそこに座って目をつぶってください。」
「は〜い!」
私がリアの髪を洗っていると、
「あなたたちを見ているともうすっかり姉妹みたいね。」
ミンティアが言う。
「だってリアはまだうまれたばかりの赤ちゃんですからね。」
私が笑いながら言うと、
「リア赤ちゃんじゃないもんっ!おっぱいだってミンティアより大きいもん!」
リアがむくれて反論する。
「う…。そんなに変わらないと思うけれど…。」
ミンティアが少し落ち込んでいる。
リアの身体は幼いわりには胸はCカップくらいある。初めて人間の姿になったときにはぺったんこだったのに。
「リアは成長期でしょうかね。」
そんな話しをしながら入浴を終える。
そして翌日、新たに手に入れたスキルを試してみることにした。
「さすがに召喚魔法は試しに使えないからとりあえず俺のスキルだけ試してみよう。」
「そうですね。マジックブレイカーでしたっけ。」
「よし、危なくないように水魔法で頼む。」
兄がそう言うと両手をかまえる。
「じゃあお兄ちゃんいきますよっ!」
兄に向かって軽く水鉄砲のように水をとばす。
すると半分くらい兄に水がかかり、途中で消えた。
「あちゃ〜、タイミングが難しいな。魔法がくるタイミングにうまく合わせて念じないと発動しないみたいだ。」
兄が話す。
「じゃあ、今日はマスターするまで練習しましょうっ。」
「じゃあリアも手伝うねっ!」
そばで見ていたリアがくる。
そして半日ほどでうまく使えるようになった。
次の日、王都ハイデルベルク中に大きなアナウンスが流れた。
「冒険者の皆さん、至急南門に集まってください。」
なんだろうか。こんな放送は初めてだ。
「一体何事でしょうか。」
「こんな放送が流れるなんてただ事じゃないだろうな。」
「とりあえず行ってみましょう。」
そして全員で南門に行ってみることにした。
すると王国の兵士が勢揃いしており、一団を指揮する人が、みんなに事態を説明する。
「王国部隊ならびに冒険者の諸君、私はハイデルベルク王国兵隊長マルクです。現在この国に対して魔物の軍勢およそ1万が向かっているという情報が入った。どうか魔物を打ち滅ぼしこの国を守るのに協力してほしい。」
(魔物が1万体!?)
「マジかよ!?1万なんて倒せるのか?ここにいる戦力はせいぜい200人ってとこだぞ!?」
兄が驚いている。
「とにかく迎撃するしかないでしょうね。ここには私達の家があるんですからっ!」
そして全員で魔物の襲撃にそなえる。
1時間ほど経過すると見張りの兵士が叫んだ。
「前方に、魔物の群れが出現しました!」
そして全員で身構える。
「私がやってみますねっ!」
私は杖を構える。
「星たちよ、空より舞いて敵を打ち滅ぼせ!メテオストライク!!」
すると魔物の群れに向かって隕石が降り注ぐ。
私の先制攻撃で魔物の半分を倒した。
「くそ、まだあんなにいるのか…。」
兄が言うと、
「リア、私を乗せてあいつらの上空にのぼってくれる?ほのかも一緒にきて。お願いしたいことがあるの。」
ミンティアが言う。
「わかった!じゃあリアに乗ってっ!」
そして私とミンティアを乗せて魔物の集団の上空に飛ぶ。
「私が薬品をまくからほのかの風魔法で範囲を広げてくれるかしら?」
「わかりましたっ!お願いします。」
ミンティアが瓶をだし魔物に向けて振りかける。
それを私が風魔法で全体に散らすように広げる。
すると薬品のかかった魔物が苦しみだす。
「わ、魔物たちが倒れていきます!」
「魔物にだけ効果がある猛毒よ。これでだいぶ死んだかしら。」
ミンティアが説明する。
残りの魔物はおよそ3000くらいだろうか。
「召喚魔法を試すときがきたみたいですね。」
私が杖を構えて精神を集中させる。
「バハムートよ、お願い!私に力を貸してください!」
すると私たちが飛んでいるよりはるか上空からバハムートがあらわれた。
「我を召喚し主よ。我の力を使うがよい。フレアブレス!」
バハムートが灼熱のブレスを吐くと魔物の群れが消滅していく。
しかし、全滅とまではいかずあと100体ほど残った。
「お兄ちゃん、あとはお願いしますっ!私は魔力切れみたいです…。」
フラフラの、私をミンティアが支え、リアが地上に私たちを下ろす。
「リアだってやるんだから!風よ刃となりて切り刻め。エアカッター!」
リアが風魔法で魔物を倒していく。
「身体強化!電光關火っ!」
兄が次々と魔物を切っていく。
そして最後に残ったのは意外と小さかった。人間と同じくらいだろうか。人型で杖を構えている。
「よくも我ら魔王軍をここまで倒せたな人間どもよ。魔王様の名にかけてわたしがじきじきにそなたらを滅ぼしてくれよう。」
「魔王軍だって!?ついに魔王が攻めてきたのか…。でもやられるわけにはいかない!俺の後ろには大事な妹たち、仲間がいるんだ!お前はここで止めてみせるっ!」
兄が刀を構える。
「面白い、やってみるがいい。これでもくらえっ!」
魔物が杖をかざすと巨大な竜巻が巻き起こる。どうやら風魔法の使い手のようだ。
「マジックブレイカー!!」
兄が魔法をかき消す。
「何っ!?なんだ今の力は!これならどうだ。」
魔物がエアカッターを飛ばしてくる。
しかし兄は次々に魔法をかき消す。
「身体強化!!パワー全開!天駆ける龍の息吹っ!」
そして魔物を一刀両断する。
「そんなバカな…。私が人間ごときにやられるなんて。グフ…。」
「ワーっ!やったぞーっ!我々の勝利だー!」
兄が最後の魔物を倒すと王国軍、冒険者たちが拍手喝采をあびせる。
「さすがお兄ちゃんですっ!う〜、私はもう動けません…。」
「大丈夫かほのか!お前はもよく頑張ったな!」
私が兄に倒れかかると優しく抱きしめてくれた。
「ふぇぇ…。しあわせです♡」
「お兄ちゃん、リアも抱きしめてほしいのっ!」
リアも兄に抱きついてくる。
「しかたないな、よしよし。」
兄がリアの頭を撫でる。
こうしてハイデルベルクでの魔王軍攻防戦は幕をとじた。
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