第9話家族が増えたけど大丈夫だよね?

そして次のフロアが開いた。

「にしてもやばかったな。あんな強い敵がいるなんて。」

兄が言う。

「いえ、お兄ちゃんなら大丈夫です!世界最強なんですから♡」

そしてしばらく進むとまた魔物がでる。

大トカゲだ。

「お兄ちゃん、ちょっと試したいことがあるんです。」

「よし、やってみてくれ。」

まずは、風魔法で、トカゲの周囲に結界をはって、

「風よ、壁になりて囲いたまえ。エアウォール!」

するとトカゲの周りに空気の壁ができる。

その中にはこれを入れてと、

「土よ、軟き砂になりて空中を舞え。ミクロサンドウォーム!」

すると結界内に細かい鉱石の粒子が舞う。

「ラスト、滅びよ!ファイヤ!」

ボーーン!結界内で爆発が起こり、トカゲは跡形もない。

「ほのか、今のは!?何か起きたの?」

ミンティアが尋ねる。

「粉塵爆発です。密閉空間で可燃性の細かい鉱物をまいて火をつけると爆発的に燃えるんです!」

「なるほど、粉塵爆発か。よく勉強してるな。えらいぞ。」

兄が頭を撫でてくれた。

「ちょっとちょっと、しっぽが欲しかったのに全く何も残ってないじゃないの!」

ミンティアが怒っていた。

「あ、ごめんなさい。ちょっとやってみたくって…。次から気をつけます!」

そして洞窟の最深部に到着した。

「ここが洞窟の終わりか。ん、あそこに何かあるぞ。」

兄が何かを見つけ近寄っていく。

そこには宝箱が置かれていた。

「お兄ちゃん、気をつけてください!ミミックかも!?」

ゲームでよくあるパターンで、宝箱に化けたモンスターだ。

宝箱をあけると、中には卵が入っていた。ダチョウの卵くらいはある。

「え〜、ここまできて卵だけですか!?」

私ががっかりしていると

「たぶんこれは魔物の卵でしょうね。宝箱に入っているくらいだから貴重な魔物かもね。」

ミンティアが答える。

とりあえず持ち帰ることにした。

「よし、そろそろ戻ろう。」

「そうですね、私も魔法の使い過ぎでヘロヘロです…。」

そしてようやく家に戻るのだった。


「ただいまです〜…。もう今日は動けません…。」

私は家に着くなりリビングのソファーに倒れ込む。

「だなぁ。お疲れ様。ほのかもよく頑張ったな。」

兄が隣に座り頭を撫でてくれた。

「ふぇぇ。ありがとうございます♡」

「ミンティア、疲労回復のポーションとかないのか?」

兄がミンティアに尋ねる。

「あるにはあるけど、自然回復できるならそのほうがいいわ。身体の負担になるから。薬も万能じゃないのよ。」

そしてミンティアもソファーにぐったりとなる。

「ところで、卵はどうしましょうか?」

私が聞いてみる。

「魔物の卵は魔力をそそぐと孵化するらしいわ。まぁ、今日は疲れたから明日にしましょう。私はもう寝るわ。おやすみ。」

ミンティアが部屋にもどる。

「俺も寝ることにするよ。おやすみほのか。」

そして兄も部屋に行く。

しばらくして私は兄の部屋に入る。

「スースー…。」

よく寝ている。

私はこっそりと兄の布団の中に忍び込む。

(あ〜、お兄ちゃんっ♡大好き…。お兄ちゃんにくっついてると魔力が回復していくみたいです!)

「ん、ほのか。全く甘えん坊だな。今日は頑張ったから特別だぞっ。」

そう言うと、兄はうで枕してくれた。

そして兄の腕の中で眠りにつくのだった。


翌日、手に入れた卵を孵化させることにした。

「何が産まれるか楽しみね。」

「あぁ、そうだな。じゃあほのか頼む。」

「はいっ。じゃあ魔力を入れますよ!」

そして私は卵に手を当てる。

卵に魔力を注ぎこもうとしたのだが、なんと卵のほうから魔力を吸い取ってきた。

「わ、わ。勝手に魔力が持って行かれますっ!ん…。もうダメっ!」

限界に達し思わず手を離す。

すると卵が光だし、割れていく。

パリ、パリ…。

そして大きなピンクのヒヨコが孵った。

「ピィ、ピィっ!」

「おいおい、孵したのはほのかだろう。なんで俺にくるんだよ。」

ヒヨコは鳴きながら兄にかけよる。

「どうやらユウタを親だと思ってるみたいね。」

「これはなんて魔物なんでしょうか?」

「さぁ。大人ならまだしも魔物のヒナは初めてみたからわからないわ。」

ミンティアが答える。

「まぁ、とりあえず育ててみようか。魔物なんだから育てば戦力になるかもしれない。」

「そうですね。エサは何を食べるんでしょうか。」

とりあえず肉のかけらを与えてみると喜んで食べ始め、結局1人前分食べてしまった。

「とりあえず名前をつけないとな…。」

兄が提案する。

「鳥だからチキンか?」

兄が言う。

「絶対イヤです!可愛いのがいいです。そうですね…。リアなんてどうでしょう?」

「いいんじゃない?」

ミンティアが答える。

「よし、今日からお前はリアだっ!」

「ピィっ!」

リアが返事をする。

「私は今日も魔力切れでもう動けません…。」

今日はここまでにしてみんな休むことになった。リアは兄から離れようとしないため兄の部屋で飼うことにした。


翌日、いつものように兄を起こしに行く。

「お兄ちゃんっ!朝ですよ〜♡」

兄の布団を見ると異様に膨らんでいる。

布団をめくって驚いた。

なんと裸の少女が兄にしがみついているではないか。

「ちょっと!!あなた誰ですか!?」

「ん、ほのかか。…わっ!!なんだこの子は!?」

兄が驚いて離れようとする。

すると少女が目を覚ます。

「お兄ちゃん…。」

少女の口がひらく。

「お兄ちゃんって、あなたは誰ですか!?この人は私のお兄ちゃんですっ!」

私が少女に問う。

「ん、リアはリアだよ…?」

少女が答えた。

「リアって…。昨日うまれたリアか!?」

兄が尋ねる。

「そーだよ?お兄ちゃん♡」

少女がふたたび兄にしがみつく。

「ちょっと!離れてくださいっ!お兄ちゃんは私のですよ!」

するとミンティアが入ってくる。

「ちょっと、やけに騒がしいわね。何があったの?って…その素っ裸の子は誰よ!?まさかユウタ…。」

ミンティアが兄を軽蔑の眼差しで見る。

「ミンティア、ちがうんだ!朝起きたら布団の中にいて、本人はリアだっていうんだ。」

兄が答えた。

「リアですって?そういえば髪の色が同じね。」

少女は見た感じ10歳くらいで、肩くらいあるピンクの髪だった。

「魔力の強い魔物は人型になれるらしいけど…。そう、成長してほのかの魔力で人間の姿になったのね。」

「そうなんですか!?そんなことがあるんですね…。それはそうとお兄ちゃんから離れてください!」

リアを兄から離す。

「うー…。」

リアはむくれていた。とりあえず大きいけど私の服を着せる。

「まぁ、これでもないよりはマシでしょう。」

するとリアが笑顔で答える。

「うん、ありがとうっ!お姉ちゃん!」

(お姉ちゃん!?初めて言われました…。妹がいるみたいでいいですね♡)

「そういえばリア、あなた昨日はヒヨコの姿だったけどもう元の姿に戻れないの?」

ミンティアがリアに尋ねる。

「ん、なれるよ〜。えいっ。」

するとリアが大きな鳥の姿になった。

「わ〜!リア、戻れっ!この部屋じゃ狭すぎる!」

「う〜、苦しい…。」

私はリアに潰されそうになっていた。

そしてリアが人間に戻る。魔力の変身のせいか服は破れていない。

「まさか一晩でこんなに大きくなるなんて。今のを見て確信したわ。この子はエンシェントバードね。昔、本で見たことがあるわ。」

ミンティアが説明する。

「エンシェントバードは大人になったら今の3倍くらいの大きさになるわ。飛ぶ速度は音の速さを超えるらしいわよ。」

「3倍ってマジかよ。今のままでも全員乗れそうなくらい大きいのに…。」

兄が驚いていた。

「まぁ、連れて帰ったのは俺達なんだ。これからよろしくな、リア!」

兄がリアの頭を撫でる。

「あー、お兄ちゃんっ!私も撫でてください♡」

「しかたないな。ほのかも仲良くするんだぞ。」

「お姉ちゃん、よろしくねっ!」

リアが私に笑いかける。

「はい、私は年上のお姉さんですからねっ。」

私も笑顔で答える。

そうして私達に家族?が増えたのだった。


「リア、今から買い物に行きますよ。」

ひとしきり昼食を終えると私はリアに話しかける。

「かいものってなに?」

リアが尋ねる。

「買い物っていうのは、お金というものと交換にいろいろなものをもらうことです。今から私と一緒にリアの服を買いに行きましょう。」

そうしてリアと市場にでかける。

「わ〜、家の外にはいろいろなものがあるんだね〜っ!あ、お姉ちゃん!あれは食べていいの!?」

リアが屋台の焼き鳥を指差す。

(それってともぐいになるんじゃ?(笑))

「勝手に食べてはだめですよ。ちゃんとお金を払わないと。はい、これで食べていいですよ。」

私は焼き鳥を1串買ってリアに渡す。

「ありがとう、お姉ちゃんっ!」

リアが喜んで焼き鳥を食べている。

さっき昼食を食べたばかりなのに…。

「さぁ、服屋さんに行きますよ。」

そしてリアの服を買って帰るのだった。


「お、リア似合うじゃないか。かわいいよ。」

リアの見て兄が褒める。

「ありがとう〜、お兄ちゃんっ♡」

リアが兄に抱きつく。

「リア、そんなに抱きついたらお兄ちゃんに迷惑ですよっ!」

私がリアに言う。

「お兄ちゃん、私がくっつくのめいわく?」

リアが兄に涙目で言う。

「いや、めいわくじゃないから大丈夫だぞ。よしよし。」

そう言うと兄はリアの頭を撫でる。

「う〜、私のお兄ちゃんなのに〜…。」

私がむくれていると

「そんなにむくれるなよ。どっちも大切な俺の妹だよ。」

そう言って兄が私の頭も撫でてくれた。

「それはそうと、リアは今日から私と一緒に寝ますからね?」

私がリアに言う。

「お兄ちゃんと一緒がいいっ!」

「リア、お姉ちゃんと寝なさい。」

兄がリアを説得する。

「は〜い…。」

納得してくれて何よりだ。

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